「賃貸はいざというときに引っ越せばいいから安心」「家の購入のローン=借金だから怖い」とずっと思っていた私が、中古マンションを購入しました。SUMAUでライターを担当しているまついが、購入を決めた瞬間からローンを組んで中古マンションを購入するまでの実体験をなるべく時系列でお届けしていきます。
・家探しスタートから約2か月後
■中古マンション値引き交渉体験談
家の購入を本格的にスタートしたのが2019年5月はじめごろ、そこからおよそ2か月後の6月末には気に入った物件と出会い、ついに購入を進めることになりました。
夫婦ともに気に入った中古マンションでしたが、リフォームなども考えると少しでも安く購入したいところ。
中古マンションは新築と違い、明確な定価が決まっていないため、売主さんによっては値下げ交渉も可能、ということも仲介業者から聞いていました。
今はインターネットでエリアの相場や、過去にこのマンションのほかの部屋がいくらで売りに出されているか、なども簡単に確認できます。見比べたところ、過去にもう少し低い価格で売られていたことがわかりました。そこで、値下げ交渉に挑戦することにしました。
その際のフローをご紹介します。大事なポイントは「値下げしてくれたら買う!」という強い意思が売主さんに伝わることです。
■値引き交渉のフロー
①仲介の不動産会社へ相談
値引き交渉は基本的に不動産会社を通して行います。そこでやはり、信頼できる不動産会社の担当者を見つけることが重要です。ネームバリューだけではなく、中古マンションの売買で実績や、担当者との相性がいかに重要か…は前回の私の失敗談をもとに、ぜひ気をつけてください。
②住宅ローンの仮審査を済ませておく
この段階でもまだ少しローンには恐怖感があり、住宅ローン審査を後回しにしたことで、大慌てで準備することになりました。仮審査は受けたからと言って、絶対にその銀行で借りないといけないわけではありません。
(参考記事:~本音で向き合う”私”の家探し~Vol.04お金のプロに聞く、家の購入のこと【後編】 もっと知りたい、住宅ローン)
新築マンションであれば、購入申し込みから竣工までにある程度の期間があるため、その間にローン審査を進めていくので焦ることはありません。
でも中古物件の場合は「購入申込書」を提出した人から順番に購入権が発生します。要するに早い者勝ちです。
さらに、住宅ローンの事前審査を通過していれば、売主さんに「すぐ買います」という気持ちをアピールしやすいので、もし同時に購入したい人がいた場合は有利になります。
通常は4日程度で審査が終わるそうなのですが、私たちが仮審査を申し込んだ時期は、銀行が混みあっていたため、1週間以上かかりその間ずっとドキドキするはめになりました。家の購入金額の目安が決まったら早めに仮審査を受けておくのが良いと思います。
③購入申込書を提出
「購入申込書」といってもA4サイズの用紙1枚で、希望金額や名前や住所など基本情報を書くだけの簡単な書類でした。迷うのは希望金額…これも、もしライバルがいた場合は金額が高いほうが優先されてしまいます。でも、後悔はしたくない。ダメ元で端数を切り捨てる―280万円の金額で提出しました。
そこからおよそ5日後に返答がありました。さすがに、300万円近くの値下げはできませんでしたが、交渉の末に130万円の値下げに成功しました!
リフォーム代や家具の購入費などを考えると、大きな値下げとなりました。
・約2か月半後
■いよいよ購入契約の日!
ここで初めて売主さんと顔を合わせることになります。私の場合は企業が購入して賃貸に出していた物件だったので、企業の担当の方でした。
もし、個人の方だったら、家での思い出など、もうちょっと感慨深い話ができたかもしれませんが、ここは事務的な契約という雰囲気。
でも、契約を終えたあとに不動産会社のスタッフのみなさんが「おめでとうございます」と声をかけてくれ、お土産にシャンパンを用意してくれていたので、いよいよ自分たちの家を持つのかと胸がじーんと熱くなりました。
■契約時に必要だったお金のこと
契約時に必要になるお金が「手付金」です。もっと細かい話をすると、収入印紙代も。
手付金は、売主に決済前に預けるお金のことで、物件価格の5~10%が相場のようです。キリ良く100万円にすることも多いようで、私たちの場合は100万円でした。
現金で手渡しをするので、事前に準備する必要があります。
結構な大金…と思いますが、これは(問題なく引き渡しに進めば)決済時に物件の購入金額に組み込まれて、頭金の扱いになります。
4000万円の家を購入して200万円の手付金を渡せば、ローンで返すのは3800万円ということになります。
■どうやって選ぶ?共働き夫婦の住宅ローン
やはり一番メインとなるのが住宅ローンのこと。本当はじっくり考えたかったのですが、中古マンション購入はとにかく時間との闘い。家の購入の検討ともに、ローンの種類も検討をもっとしっかりしておけばよかった…と、苦手分野なので後回しにしてしまったことは後悔しました。
素人では、ネット情報を見れば見るほど混乱してしまい、契約をしたその日に、夫婦でファイナンシャルプランナーの先生に相談に行きました。
金利の低い変動型か、多少金利が高くても変化がないので計画的に返済ができる固定型か、というのをまず悩んだところ。
いくつかのパターンを相談したのですが相談の中で知ったのは一定の期間のみ固定金利の「固定金利選択型」もあるということ。最初の10年など決まった期間だけ固定で、あとは変動となるタイプです。
また共働きのため、夫婦それぞれがローンを組む「ペアローン」や、二人の収入を合わせて「収入合算」して借入額を増やすという選択肢もありました。しかし、もともと一人の収入でも購入できる予算にしていたことや、手続きにかけられる期間が短いということもあり夫のみローンを組むことにしました。
(参考記事:https://sumau.com/2019-n/article/456)
ネット銀行のほうが全体に金利が低いことと、特にメガバンクなどにこだわりがなかったので、ネット銀行で探しました。
ファイナンシャルプランナーの先生の「固定金利選択型」でおすすめの銀行を教えてもらい、あとは「変動金利型」で自分たちが気になった銀行、仲介不動産会社が提携している銀行の3行に絞りました。
■ローンの手続きは大変。余裕をもって準備を
慣れない書類を書くのにも苦労しました。ファイナンシャルプランナーの先生や仲介業者の担当者に教えてもらいながら書いたものを、2人で何度も確認し、何とか書類を提出。
その間にも、リフォーム業者探し、登記に関する手続きのやりとりや住所変更、火災保険の手続き…とやることが多すぎて記憶がなくなるほどに大変でしたが、手分けをしながらまさに二人三脚で行っていました。
また仲介の不動産会社の方も、私たちの仕事の終わる時間に合わせて、夜遅くにわざわざ家まで書類をチェックしに来てくれるなど、とても協力的でした。
住宅ローンは本審査の書類提出から2週間ほどで結果がきました。仮審査に通ったからといって必ずしも審査に通るわけではないとも聞いていたので、もし審査に落ちたら…というどきどきはありましたが無事、借り入れすることができました。
結局、いま多くの人が選んでいるという変動金利タイプに落ち着きました。限られた期間のなかではベストなものを選んだつもりですが、もっと考える時間があれば違ったかも…とも思います。ライフプランや考え方の違いで住宅ローンも様々な選択肢があります。ぜひじっくり考える時間を作ってください。
■中古マンション購入にかかったリアルな諸費用
さて、今回は住宅ローンのほかにかかった主なお金についてざっとまとめておきます。
・登記費用
これは、司法書士の方への依頼料のほか、登記にかかる税金も必要になります。
・仲介手数料
中古マンションの購入の際に不動産会社に支払うもので、これは上限が決まっています。
400万円を超える物件の場合…取引物件価格(税抜)×3%+6万円+消費税
参考:国土交通省サイト(宅地建物取引業法)
https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/1_6_bt_000266.html
https://www.mlit.go.jp/common/001307055.pdf
・リフォーム・リノベーション代
これはこだわればこだわるほど、当然金額はかさんでいきます。私の場合は、一括見積もり依頼サイトを利用したほか、地元の工務店や、建築士などで見積もりを取りました。正確な見積もりは、現地で立ち合いが必要になるので不動産仲介会社の方にも協力してもらう必要があります。
リノベーションにこだわる場合は、住宅購入時にリノベの代金を住宅ローンと合わせて借り入れができるリフォーム一体型の住宅ローンもあるそうです。(私はあとで知りました…)
・住宅ローン借り入れにかかる銀行の諸費用
住宅ローンを借りる銀行に支払う手数料が、借入金の2%ほどかかりました。これは住宅ローンの種類や、銀行によって差があるので、ローンの検討時に一緒に確認したほうが良いですね。
その他、細かい事務手数料や管理費の清算金などを含め、計算すると、購入した家の金額の20%ほどの諸費用がかかりました。
中古物件の購入時にかかる諸費用は6~10%と言われています。
確かに、リフォーム費用を除けば10%程度でしたが、新築マンションと比べると諸費用が多くかかることは考えて資金計画を立てることをお勧めします。
お金に関しては、事前に知らないことが多く、額も大きいので手続きを進める中で不安になることもたくさんありました。そんなときは小さな疑問でもファイナンシャルプランナーの方や不動産会社の方、購入経験者に相談して、不安要素を消しながら進めました。
次回は最終回、実際に購入して感じたこと、購入後に起きた出来事をご紹介します。
(文・まつい/イラスト・カラシソエル)