待ちに待ったホリデーシーズンが到来!

この時期は、友人を招いてホームパーティを開いたり、家族でいつもとは違う特別な食卓を囲んだりと、心弾むシーンが増えるもの。そんな華やかなひとときを彩るのにぴったりのレシピを、料理家・千 麻子さんの人気連載「うつわと料理」から5品セレクトしました。

牛ほほ肉の赤ワイン煮込みとダンスクのディナープレート

寒い季節、我が家の食卓には牛ほほ肉が欠かせない。箸で触るだけで、ほろっと崩れるほほ肉は体だけでなく心まで温かくしてくれる。

ほほ肉は、文字通りほっぺたの肉である。顔の表にあるにも関わらず、肝臓や胃などと同類の内臓に分類されており、咀嚼をする度に動かすので筋肉が発達しスジが多いためにちょっと加熱するくらいでは硬くて食べにくい。

ところが、この部位は時間をかけてゆっくり火を入れることで、コラーゲンがゼラチンに変性しトロトロの食感に生まれ変わる。口に嬉しく、さらに食べた翌日は肌艶が良くなるのだ。

ミネストローネとロイヤルコペンハーゲンのブルーフルーテッド

なかなか帰る時間がなくなってしまったが、実家を思い出すとき、時折脳裏に浮かぶのはダイニングルームである。そこで1日を過ごし、その時の気分に合わせて好きな食器を手に取っていた。飾り棚の中にいくつかのブランドの洋食器が積み重ねられていて、それを見ているだけで豊かな気持ちになったものだ。どの食器も美しいけれど、中でもロイヤルコペンハーゲンの器は格別だった。はっきりとしたコバルトブルーの優雅な線描と、繊細に形づくられた器は料理を盛らずとも、そこにただあるだけでその存在感が空間を支配しているようにも思えた。

ボローニャ風ラザニアと大倉陶園のディナープレート

2021年もあっという間に終わりに近づいている今日この頃。幼い頃に比べて、時の流れが早く感じられるようになり、年の瀬が訪れる度に来年こそは一瞬一瞬を確実に掴みながら過ごさなければと決意するのだが、やはり今年も1年がそそくさと過ぎてしまった。

この時期になると、フランスのビストロの混み合った店内で老夫婦が小さなテーブルに向かい合って座っていた姿が目に浮かんでくる。寒い真冬のある日、店員がストウブの鍋をテーブルの中央に置いて蓋を開けた瞬間に、もわっと湯気が立ち込める。横の窓硝子から差し込む光を背景に本当に神々しかった。その時一人で食事をしていた私は、家族と美味しいものを分かち合えることを羨ましく思った。

ミラノ風カツレツとフランス製アンティーク皿

私はとんかつが好きで、激戦区では果たしてどれだけの時間並んだのか、わからないほどだ。ある時、これだけ想っていたはずのとんかつについて何一つ知らないことに気がついてしまい、早速そのルーツについて調べてみた。そしてたどり着いたのは「ミラノ風カツレツ」だった。ミラノ風カツレツとは、薄く叩いた仔牛肉に細かいパン粉をつけて、バターの香ばしい香りを移しながら揚げ焼きにしたイタリア料理である。

ひとくちシーザーサラダと黒田泰蔵の白磁銘々皿

つい先日まで薄手のシャツ1枚で過ごしていたというのにあっという間に季節は巡り、時はすでに年の瀬に。歳を重ねるほど、時間の経過が早く感じられるというけれど、今以上に早くなるのだとすると、なんだかもう…、目の前の小さな幸せに感謝しながら日々を慈しんで生活したいと思う今日この頃。

年始はおせちが続くこともあり、その前後はとっておきの洋食を作ることが多い。中でも欠かせないのはシーザーサラダだ。ロメインレタスに、サクサクのクルトン、濃厚なドレッシングにパルメザンチーズ。グルメなサラダで食事が始まることで、先に続く料理への期待値が上がる。

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