暑さは続くものの、今年もすでに9月の半ばを過ぎた。つい先日まで蝉の合唱を聞きながら生活していたのに、今では鈴虫の音と共に床につく。買い物に出れば、ハロウィンにまつわる商品が目に付くようになってきた。一日一日を懸命に過ごすうちに季節は移り変わり、もう秋になっていたのだ。

ハロウィンは、もとは古代ケルト人の収穫祭サウィンに由来している。ケルトの人々は、日本同様に、祖先からの繋がりを大切にし、生きとし生けるものに感謝をしながら生活してきた。そのため日本の習慣と少し似ている行事もある。サウィンについて調べたとき、まるで日本の新嘗祭とお盆の迎火が一緒になったような儀式だと感じた。彼らは1年の収穫を終えて10月31日にそれらを集めて感謝のお祝いをした。そして、翌日は異界とつながる日だと考えられ、魔を避けて、先祖や良い霊だけが家に立ち寄ってくれるようにとその目印に、野菜をくり抜いた中に蝋燭を立てたランタンを家の前に置いた。この野菜は、もとはカブだったそうなのだが、のちにアイルランド人たちがアメリカに移住した際に、より大きく、くり抜きやすい野菜としてかぼちゃに変化した。これが言わずと知れた、「ジャック・オー・ランタン」だ。アイルランドの民話でジャックという人物が悪魔をも騙し、天界だけでなくもはや地獄へも行けずランタンを手に彷徨い歩くことになったという民話に由来することから来る呼び名である。名前のジャックは、現地の一般的な名前から来ているそうだ。日本でいうところの、金太郎・桃太郎・浦島太郎の太郎のような感じかしらと思う。

話は戻り、収穫した野菜は水分が豊富で新鮮なうちに食べるのが一般的だが、かぼちゃは収穫してからしばらく寝かせることでより美味しくなり旬を迎える。保存の効く野菜ということで、我が国でも冬至に栄養豊富なかぼちゃをいただくというのはまさに先人の知恵。かぼちゃがこれからどんどん甘みを増す嬉しい季節となった。

今回はそんなかぼちゃを使ったパスタをご紹介する。かぼちゃはナッツのような香ばしい香りと相性が良いため、同じような香りを持つチェダーチーズのクランブルとピスタチオを合わせた。また、平面的な味にならないように塩気の補充としてベーコンも加えた。パスタはマカロニを使ったが、ペンネやスパゲッティでも。

今回使った器は、リモージュの名窯ジャン・ルイ・コケのエミスフェールシリーズのディナープレート。筋目の規則的な線が印象的で、ブロンズのような落ち着いた色味が秋らしい。

昨年創業200年を迎えたジャン・ルイ・コケは、モダンでありながら上品な器を製造し、多くのレストランで愛され続けている。

かぼちゃのパスタ

ー材料(1人分)

・かぼちゃ(皮無し) 180g

・バター 15g

・牛乳 200ml

・生クリーム 50ml

・塩 適宜

・砂糖 適宜

・チェダーチーズ 25g

・小麦粉 25g

・オリーブオイル 13g

・マカロニ(ペンネ、スパゲッティでも)  70g

・ベーコン 適宜

・ピスタチオ(砕いたもの) 適宜

①かぼちゃのソースを作る。かぼちゃを蒸す。15gのバターとゆっくり炒めて、塩と砂糖を1つまみ加える。200mlの牛乳を加えて弱火で10分程度。ミキサーにかけ、塩1つまみを加え、さらに生クリーム50mlを混ぜる。

②チェダーチーズのクランブルを作る。チェダーチーズ25g、小麦粉25g、オリーブオイル13gをフードプロセッサーで塊になるまで混ぜる。クッキングシートに薄く広げて170度のオーブンで15分程度。冷めてから食べやすいサイズに割っておく。

③ベーコンを細切りにして、油を引かずにフライパンでカリカリに焼く。

④2リットルに対し20gの塩を加えて沸かした湯にマカロニを入れて、所定の時間茹でる。

⑤フライパンにかぼちゃのソース100g(1人分)を温めておき、茹で上がったマカロニを加え、茹で汁で伸ばす。

⑥皿にセルクルを置き、中にマカロニを高さが出るように入れて、チーズクランブル、ベーコン、ピスタチオを上から乗せる。

料理家 千 麻子

学習院大学文学部哲学科および経済学部経営学科を卒業し、史料館に勤めた。また美味しいもの好きが高じて美食の街、リヨンのポールボキューズ料理学校をはじめ、国内外問わず料理を学び、フランスではミシュラン3つ星のレストランの厨房でも研鑽を積む。

Instagram:@asako_sen

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