「賃貸はいざというときに引っ越せばいいから安心」「家の購入のローン=借金だから怖い」とずっと思っていた私が、中古マンションを購入しました。SUMAUでライターを担当しているまついが、購入を決めた瞬間からローンを組んで中古マンションを購入するまでの実体験をなるべく時系列でお届けしていきます。


家の購入を考え始めたところから、家探し、購入までをお伝えしてきました。最終回となる今回は、実際に中古マンションを購入して住み始めたからこそ気づいたことをまとめました。


その1■夫婦で協力し合ったことで絆が深まった

もともと会話も多く、休日には2人で出かけるのが日常の私たち。周囲から仲が良いねと評される夫婦ではありましたが、「家を買う」という人生の一大イベントを一緒に成し遂げたことにより、さらに絆が深まりました。

一生涯にわたるお金の話や、どのくらいでリタイアするか、将来どこに住むのか…などなどこれまでにあまり深く考えもしなかったことを話し合うことで、お互いのことをさらに知る良い機会になりました。また、仕事の合間を縫って、一緒に書類を確認したり、急ぎの物は足で直接届けにいったり、大変でしたが、2人で連携して作業をしたことで、これまで以上に家族としてチームとしての信頼感も生まれたと思います。

また、夫の意外な一面も知ることができました。これはリフォームの相談をしているときのこと。やはり、キッチンの設備は絶対に最新にしたいと意気込んで、当然のように食洗機をプランに入れていました。

リフォーム業者との打ち合わせのときにそれを見た夫が、

「洗い物は自分でしたいから食洗機をつけないでほしい…」

と言いにくそうにつぶやいたんです。それには私もリフォームの担当者もびっくり。

確かに、食器洗いをしてくれてはいましたが、そこまで洗い物が好きだったとは…。

というわけで、我が家のキッチンは新しくしましたが、食洗機はついていません。

そんな洗い物への熱い思いを知る機会にもなりました。


その2■不安→安心にお金に対する考え方が変わった

家を買うまではあまりお金のことは深く考えたことが無かった2人。購入のためにファイナンシャルプランナーのアドバイスのもと、生涯にかかる資金や仕事を辞めたらどうなるか、などのシミュレーションをしてグラフとして可視化してもらったことで、漠然と抱いていたお金への不安がなくなり、人生設計が立てやすくなりました。

そして、あんなに怖い怖いと思っていたローンですが、「35年で払い終える」という期限が見えたことで、逆に安心感が生まれました。賃貸の家賃だと、一生払い続けないといけない、ローンは払い終えることができるという、考えれば当たり前の事実ですが、いざ住み始めるとさらに気持ちが穏やかになりました。

毎月毎月支払いのたびに、ローン残高が減っていくというのも、なんとも楽しい気持ちになります。


その3■家賃よりローンの支払いのほうがお得だった

お金やローンに対して不安が安心に代わったのは、最初に無理なく払える金額設定にしていたのが大きいと思います。

ローンの支払いだけなら、一人暮らしのときの家賃と同じくらい、さらに毎月の修繕積立金、管理費を足しても、賃貸で暮らしていたマンションよりも月々の支払い金は低くなりました。それなのに、以前より広いというのもとっても“お得”な感じがしています。

また、賃貸のように2年に一度の更新料がありません。ただ、不動産を所有していると、固定資産税・都市計画税がかかるので、そこに関しては我が家の場合は五分五分くらいでしょうか。

戻ってくるお金もあります。住宅ローン控除です。

無理のない負担で居住ニーズに応じた住宅を確保することを促進するため、住宅ローンを借り入れて住宅の新築・取得又は増改築等をした場合、年末のローン残高の1%を所得税(一部、翌年の住民税)から、契約時期と入居時期に応じて最大13年間控除する制度です。(参考:https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk2_000017.html

年末のローン残高の1%なので、ローンが4000万円なら、40万円ということですね。我が家はこの制度の恩恵をうけるため、住宅ローン控除が受けられる間は、繰り上げ返済せず、その分は貯金しておき、控除が終わったらそれを繰り上げ返済に充てようという計画をしています。


その4■夫がタバコを吸わなくなった

愛煙家の夫。賃貸の時はキッチンの換気扇の下でタバコを吸っていたのですが、引っ越してからはぱったり家では吸わなくなりました。

これまでと違って「自分の家・資産」という気持ちがとても強くなったようで、リフォームをして綺麗になった部屋を汚したくないと思ったようです。

いくら税金が上がっても、タバコを減らすことはなかったので、これにはとても驚きました。


その5■家が広くて快適に。リモートワークもしやすい

月々の住居にかかる費用が低くなったにも関わらず、2LDKから3LDKになったこと、引っ越しを機に物を減らしたことで、かなり家が広いと感じます。

引っ越しから約半年で、新型コロナが広まり、リモートワークをすることになりました。予想もつかなかった事態でしたが、それぞれの部屋で仕事をすることができ、その点ではストレスなく、仕事をすることができました。

仕事のスペースとプライベートスペースを分けることができるので、仕事のオンオフの切り替えもしやすい環境です。

立地の面でも川の近くというロケーションもよく、出かけにくいご時世ですが、休日にはふらっと河原に散歩に行くだけでも気分転換ができました。

また、通勤することは減りましたが、やはり駅近くは便利。駅周辺はスーパーや飲食店が多いので、様々なテイクアウトを楽しんで、ステイホーム期間も乗り越えることができました。


住んで気づいた賃貸との違い。管理組合・理事会とは?

ほかにも、住んでから気づいたことがあります。

マンションの管理組合があるのは賃貸との大きな違いの一つ。マンションを購入すると自動的に管理組合の構成員になり、そのなかで選出された代表者が理事会として活動します。

じつは、引っ越して早々に、いきなりマンションの理事会の理事長になりました。

役員をやったことがない人のなかでのくじ引き制度で、中古マンションということでほとんどの人が経験者…。数戸しかいないなかで、見事に(?)くじを引き当て、理事長となりました。

正直に言うと、共働きだし面倒だなと思いましたし、マンションの購入が初めてで何をするのかわからなかったので不安もありました。

今となっては管理組合の仕組みやマンション内の方をよく知ることができたので、良い機会だったかなと思います。

理事会では、月に1度くらいのペースで会議をして、駐輪場の自転車の並べ方、ゴミ出しについてなどの小さなことから、大規模修繕のことまで、毎回様々な議題で話し合いました。

理事長の仕事は…というと、会議の司会と書類にハンコを押すこと、でした。と言っても、管理会社の方がある程度仕切ってくれますしすごく苦労するようなことはありませんでした。

管理組合の大きな目的が「マンションの価値を保つ」ということなので、みんなでマンションを良くしよう、という雰囲気がありその点から安心感にもつながりました。

基本的には自分たちが住むために購入しましたが、何かがあって貸したり売ったりするかもしれません。そのときには、価値が保たれたマンションであるのは大事ですよね。


マンションを購入して後悔したこと

マンション購入を経て、ひとつだけ後悔したことがあります。

それは、もっと早く購入を考えればよかった!ということ。

“なんとなく”ローンが怖いというイメージだけで、しっかりと調べなかった過去の自分にいろいろと教えてあげたい気持ちです。

もちろん、買ってよかったのは私個人の感想。

買ったほうが良いかどうか、自分たちのライフスタイルと照らし合わせながら、きちんと考えるのが大切なことだと思います。


この連載は今回で終了となります。家を購入すると決めたときは、右も左もわからず何から始めたら良いのかもわかりませんでした。SUMAUでのお仕事を通して、最低限知ったことだけで、なんとか手探りで前に進んで、マンション購入までたどり着きました。

一生のうちに何度も家を購入する人のほうが少ないはずで、私と同じように購入に興味があっても何をして良いのかわからないという方がほとんどではないかと思います。

そういった方のために、私が失敗したと思ったこと、これは正解だったと思ったことを正直にお伝えしてきました。

そんな皆さんに、この記事が何かの役に立てば幸いです。

(文・まつい/イラスト・カラシソエル)

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