「賃貸はいざというときに引っ越せばいいから安心」「家の購入のローン=借金だから怖い」とずっと思っていた私が、中古マンションを購入しました。SUMAUでライターを担当している私が、購入を決めた瞬間からローンを組んで中古マンションを購入するまでの実体験をなるべく時系列でお届けしていきます。

■1日目・賃貸派が購入派になった日

はじめまして。出版社勤務、編集プロダクション等で雑誌や書籍の制作に携わり、現在はこのSUMAUでもライティングのお手伝いをしているまついです。

賃貸派だった私がマンション購入を決めたのはライターとして携わっていたこのSUMAUでの連載、白澤貴子さん&大日方久美子さんの最強タッグによる連載『私たちだって自分らしい家が欲しい 』の連載原稿を書き終えてすぐのこと。

12回にわたる連載のなかで、目からウロコが何枚落ちていったことか…。

「住宅ローンの借入時には保険に加入するから万一の場合には、保険が適用されて支払いが不要になる」「購入=終の棲家ではない!」 などなどこれまで賃貸が正義だと信じ込んでいた私には刺さりすぎる言葉の連続でした。

私はというと18歳で大学進学のために上京して以来ずっと賃貸。結婚しておよそ10年になりますが、もちろん賃貸住まいは変わらず。

結婚当初、夫と家買う選択肢について話したこともありましたが、特に何も調べないままイメージだけで「35年もローン払うのは怖い!」という結論に。「買うのは怖い、賃貸は安心」ということに特に疑問を持たずに生きてきました。

・お金と向き合ってみる

しかし、家の売買で家賃が実質0円だったという白澤さんの実体験や、中古物件を購入して買ったときより高値で売れたという購入者の方のお話、高値で売れなくてもマイナスにはならないというファイナンシャルプランナー田中さんのお話など聞いているうちに、購入のほうがもしかしてお得‥?と感じるようになりました。

しかし、まだどこか自分事にできず決め手がないまま、連載の原稿制作が終了。

パソコンを閉じて数秒考えた後、電卓を片手にこれまで怖くて考えなかったお金について見つめなおしてみることにしました。

これまでの人生で一体いくらの家賃を払ってきたのだろうか…。

家賃×12(ヵ月)×住んだ年数=?

例えば家賃15万円で10年住んでいたら、それだけで1,800万円!

さらに2年に一度更新料を支払って、それも含めると…ローンだったら3分の1くらい払い終えた金額になるのでは?上京した時からの金額を入れるととんでもない金額になるから考えるのをやめよう…。

過去には戻れないので、今後のことに頭を切り替えて、もし、このままずっと定年まで賃貸で住み続けると仮定して、約30年としていくら支払い続けることになるか…。

月々の家賃×12(ヶ月)×30(年)=?

同じく家賃が15万円だったら、5400万円!

確実に家を買える金額。

もし賃貸だったら、定年後もずっと同じ家賃を払い続けられるのかという不安もある。賃貸は住み続ける限り支払いが続くけど、住宅ローンには終わりがある。こうなるともう、「買う」という選択肢しか残らないではないか!

・夫と話し合う

というわけで、思い切って夫に相談することに。夫婦で「買う」「買わない」で意見が合わないというのもよく聞く話。ローンが怖いと話していたうえ、クレジットカードすら所持していない夫が納得してくれるのだろうか…。

私「最近、不動産関係の仕事をして気づいたんだけど、このまま家賃を払っていくより、買ったほうがお得みたいだよ」

夫「え?そうなんだ」

と、意外にも“お得”という言葉が響いた様子。

夫「でもローンは怖いし嫌だな…ローン地獄になるよ」

私「ローンって保険がつけられるから、かえって安心なんだよ(まさに連載記事の中で自分に響いた言葉)」

夫「そうなんだ!知らなかった…」

そうそう、知らないだけで、「怖い」と決めつけてしまっていただけだったんですよね。いまこのタイミングで気づいて本当によかった。

夫「買ったほうが良いなら買おう!」

ここから、「家を買う」という今まで体験したことのない旅がスタートしました。

■1週間後・ファイナンシャルプランナーに相談だ!

さて、家を買おうと思ったところで、まず何をすべきかわからず、ふらりと立ち寄ったのがモリモトでいうところの「モリモト スマウカウンター」のような施設でした。

物件情報を見せていただきつつ、家の購入を考え始めたばかり、ということを伝えると、そこでは無料でファイナンシャルプランナーの相談が受けられるとのこと。

第一歩をどこに踏み出すか迷っていた私はすぐに相談をセッティングしてもらいました。

・お金を考えるのは人生を考えることだった

そもそも私たち夫婦のお財布はとてもざっくりしていて、共働きなので、何となく全部割り勘で特に家計簿などもつけず、私よりも(お金に関しては)しっかりしている夫が貯蓄をコツコツしてくれているという状態。お互いに細かい収入や支出は把握していないし、一人暮らしのときと変わらず特に細かい管理もしていませんでした。

そんな状態でファイナンシャルプランナーへ相談しても大丈夫なのかと思いましたが、必要なのは保険や電話代、趣味の習い事など月々必ず支払っているものだけで、それもざっくりとしていてもOK。あとは、年間でなんとなくかかるお金のこと。私たちの場合は夫婦ともに地方出身で、毎年里帰りにお金がかかることや、趣味の旅行や外食でおおまかにかかっている金額を伝えました。

また、はっきりとは考えたこともない何歳まで働くのか、ずっと同じ場所に住むのか…などどれもこれも予想でしか答えられないライフプランについても聞かれました。

夫婦でいろいろ考えた末、60歳で退職し無職になり、65歳から年金をもらう、でも絶対に生活レベルは下げずに旅行や外食はしまくるという超身勝手な人生設計を想定しました。

それでもファイナンシャルプランナーの先生は「無理をしないのが一番。趣味の習い事も、旅行もやめる必要はないですよ」「無駄を省くならこの保険はもっと安いものに変えてもいいですね」と、なんとも冷静に受け止めて的確で具体的なアドバイスをしてくれました。

(もちろん「日々の生活費など細かくわかればそのほうが良い」ともファイナンシャルプランナーの先生に言われましたよ)

■1ヵ月後・家の購入額が決まる

・人生にかかる金額に衝撃

出版社勤務で忙しい夫に変わり相談に行き、家では先生と話した内容を夫に伝える、という往復を3回ほど繰り返したところで先生がこれまで話したデータをまとめて、私たちの今後の人生にかかる金額をわかりやすい棒グラフにしてだしてくれました。それを見て衝撃!

人生100年時代というのに、75歳からどんどん赤字になっていくという事実をつきつけられました。賃貸でいると、そのグラフは急降下するということも…。

住宅を購入すればローンを支払い終えるタイミングで住宅にかかる費用が抑えられ、赤字のカーブがとってもゆるやかになるというのが目に見えてわかりました。

これを見て、ますます購入意欲が高まる私。

無理なく購入できる金額も算出してもらいました。

借りられる金額と返せる金額は違う」というのは連載でも学んでいましたが、ネットでよくある住宅ローンシミュレーションとは全く違う金額になりました。

これがその後に続く家探しにおいて大きな基準になったので、結果として最初にファイナンシャルプランナーに相談したのは大正解でした。

・迷っている人ほどプロに相談を

自分の人生にまつわるお金のことがわかれば、「ほかの生活費を節約してもっと良い家を購入しよう」、「家の購入金額を抑えてリフォームや家具にお金をかけよう」などの考え方もできるのではないでしょうか。

また相談をしてみて、やっぱり賃貸に住み続けよう、という選択肢もあると思います。

細かいことですが、年金がいくらくらいもらえるのか、物価がどのくらい上昇するのか、安心できる貯蓄額などもそこで知ることができました。個人のお金のことだけではなく、世の中のお金の動きについても学べて、夫婦で将来について話し合う良い機会にもなりました。

家の購入に関わらなくても、人生設計の一つの指針になることは間違いありません。

ここからやっと、私たちの家探しに突入します。

(文/まつい・イラスト/カラシソエル)

Share

LINK