「家は欲しいけれど、本当に自分たちで買えるの?」「買うならどんなマンションを選べばいいの?」家が欲しいと思ってもいざとなるとすぐに踏み切れないもの。今回は、ファイナンシャルプランナー田中佑輝さんとともに、家の購入について悩んでいる3名の読者との相談会を実施しました。


Aさん
28歳
内勤事務
年収400万円
未婚(結婚を前提に付き合っている彼氏がいる)

A「今は、新横浜で家賃9万円の賃貸マンションで彼と2人暮らし。彼は自営業で、お店の近くに実家があるんです。彼のお母さんから2人で近くに家を買っちゃえば、という話をされて、はじめて家を買うことを考えました」

田中「9万円だと払い続けるのはもったいないですね。彼が自営業ということなので、会社員のAさんのほうが、ローンを組むのには有利です」

大日方「何度も言いますが、私が人生で唯一後悔しているのが、会社員時代にローンを組まなかったこと! でも、やっぱり自分がローンを組もうと思うには抵抗がありますよね」

A「そうなんです。彼は今ご両親と3人でお店を切り盛りしているんですが、ご両親がリタイアされたら今の状態がどうなるのか、出産や子育ては…と考えてしまいますね。いずれ実家は彼が継ぐことにはなっているから、いま買わなくてもいいんじゃないか、とか」

田中「ご両親が元気なうちに住む場所と考えると、あと2~30年は住むことになりますよね。そのとき、いまの家賃を払い続けたらいくらになるか、数字で出してみるのが良いと思います。まだ28歳ですから、長くても払い終えるのは63歳。単純計算をしても同じ条件で20代の人と30代の人が家を買った場合、20代の人の方が手元に残る金額が多くなります」

A「私はマンションの方がいいと思うんですが、彼は戸建派で。ご近所づきあいがいやだっていうんです。騒音も気になると」

田中「新築なら全員が同時期に入居する“同期”になりますので、ご近所づきあいはだいぶ軽減されると思います。騒音も築30年くらいまでなら、二重天井、二重床のことも多いです。賃貸専用は壁も薄いですが、分譲マンションはもっとしっかりしていますよ」

白澤「人の騒音もそうですが、どのくらい自分たちの音が聞こえるのかは気になりますよね。私は今のビンテージマンションを買う時に、音が響かないように床や壁を工事してもらいました」

A「買うならどういうマンションを選べばいいですか」

田中「まずは駅近!  ターミナル駅や再開発が予定されている駅の周辺はなおさらいいですね」

大日方「ターミナル駅の徒歩15分と、その隣の駅の各停徒歩3分だったらどっちがいいですか?」

田中「ご自身だったらどうですか? 渋谷駅徒歩15分と神泉駅徒歩3分だったら」

大日方「神泉!」

田中「そうですよね。その考え方でいいんです。自分だったら、と。神奈川なら、おすすめは桜木町やみなとみらいのマンションですね」

A「間取りはどうですか? 将来子どもができることを考えたら、広めの方がいいんでしょうか」

田中「一般的な考え方は、家族の人数―1LDKが基本です。4人だったら3LDKですね。都内なら2LDKの方が売りやすいですよ。ただ、神奈川だとファミリーが多いので、3LDKの資産価値が高いんです。横浜に近づくほど2LDKや1LDKに価値が出てきます。ファミリー向けの駅近もしくは、みなとみらいや桜木町の2LDKがおすすめですね」

白澤「2人っきりの若い間は、狭くてもすぐに遊びに行ける中心地に住むというのは経験としても楽しいと思いますよ」

大日方「今を楽しむというのも大事!」

ここがポイント!

  • 28歳のいまローンを組んだ方が将来残る金額が多くなる。
  • マンションを買うならまずは立地のよさ。都心部なら1~2LDKを選んで。
  • 住み替えを前提に、今どうするかを考えよう。


Bさん
27歳
金融業
年収450万円
既婚

B「結婚したばかりで賃貸に引っ越して4ヶ月。彼は32歳でフリーのスポーツトレーナーです。まず、家は欲しいと思っているんですが、正直なところ貯金はほとんどなくて頭金を支払えるのかなって」

田中「頭金はいれない方がいいです。なぜなら今、金利が低くて0%に近いので、例え頭金を300万円入れても利息は大きく変わりません。また、10年は住宅ローンの残高によって控除されるので、ある程度ローンがあるほうがお得ともいえます。ただ、フリーランスの彼は銀行から頭金を出すことも要求される可能性は高まります」

大日方「頭金を入れないと買えないのでは、と思いますよね。私も前はずっとそう思っていました!」

田中「ローンの限度額いっぱいだと払わないといけないこともありますよ。また、中古を購入する場合には仲介手数料を不動産屋さんに支払う必要がありますから、その分くらいは用意したほうがいいですね」

B「個人事業主の彼より、自分の方がローンを組みやすいのはわかっているのですが、できれば彼にローンを組んで欲しいと思っているんです。どうすればいいんでしょうか」

田中「個人事業主の場合は、確定申告で3期分黒字になっているのが前提になってきます。ほとんどの銀行で、税金を引く前の所得の3期分の平均値で審査をしますよ」

大日方「私も、いまそれを目標に、がんばっているところです!」

B「彼が働けなくなったらどうしよう、という不安もあります。支払えなくなったら…」

田中「最近はペアローンでどちらかに万一のことがあるとローンの返済が不要というものもできていますよ。そのぶん0.2%くらい金利は上がってはしまいますが…。フラット35でも、今は結構安い金利で借りられますし三大疾病になった時に返済が免除になる団体信用生命保険にも加入できます」

白澤「夫婦として今後はどう考えていますか? お子さんが欲しいとか」

B「オリンピックイヤーには子どもがほしいなって。一緒にテレビの前で観たいんです!」

白澤「私は子どもが生まれる前にどちらかではなく『一緒に育てよう』ということを彼と話し合いました。話していたから、生まれたあと子育てと仕事の両立でつまずいても2分の1が前提だから話し合いやすい。お金のことや子育てのライフプランは一回しっかり話し合っておくといいですよ。2人の関係と子供ができた後では関係が変わるから、お互いにいつでもストレスフリーでいるためにも大切だと思います」

田中「ライフプランは大事ですね。ダブルインカムだから今は収入があるけど、旦那さんが35年後にも仕事を続けているのかどうか。あと、価値観の整理が大事です。家にお金をかけたいか、食費やファッションにお金を掛けたい人もいますから」

白澤「保育園問題があるので、なるべく子供ができる前に家を探した方がいいですよね。家探しの一つのアイデアとして、住みたいエリアに住んでる友達に頼んで、ポスティングされたチラシを送ってもらうのもいいですよ」

田中「通勤の距離を考えて、ご主人の仕事場の近くに保育園を探すというのも手。送り迎えしてもらうことで子育てに慣れてもらう作戦です」

ここがポイント!

  • 金利が低い今は頭金を入れなくてもOK!
  • 個人事業主は3期分は黒字になるように準備を
  • 子育てのことを含め、ライフプランを夫婦で話し合おう


Cさん
32歳
マーケティング
年収700万円
既婚(子ども1人)

C「子供が生まれたばかりで育休中です。主人の会社の福利厚生で、埼玉の一軒家に家賃6万円で住んでいるのですが、あと1年でサポートが終わるので家を探したいと」

田中「ご主人の年収はどのくらいかわかりますか?」

C「主人は年収900万円です。ただ、家にはあまりお金をかけたくなくて。それよりも海外旅行をしたり、ビジネススクールに通ったり、趣味や自己投資に使いたいんです。あと、リスクを負いたくないというのが本音ですね」

田中「もし5000万円の物を買って、その価値が0になるならただの損失ですよね。でも、不動産の場合はそうではないんです。昨年のデータでは、5000万円以下の物件の価値は下がっているんですが、5000万円以上の物件は価値が上がっているんです。価格が高いところは資産価値が維持されやすくなる傾向にあります」

C「そう言われても、本当に売れるのかなって…」

白澤「私は3回住み替えているけど、全部すぐに売れました。住みたい場所やエリアはライフスタイルや年齢で変わっていくものだから、売って住み替えていく方が自然な気がします」

大日方「白澤さんは本当に良いお手本。だけど、私はこれまで家賃をただただ払い続けて、もったいないことをしたなって…」

田中「ローンは年齢が上がるにつれて組みにくくなるから早めの決断が大事です。10年間でローン残高は75%くらいになると考えて、計算してみてください。全てのポイントは立地で、誰でも買いたくなるような場所と造りであること」

大日方「どんなところに住みたいとか希望はありますか?」

C「戸建がいいなって思いますけど、そうすると都心は難しいのかなって」

田中「都内なら、今は戸建の方が安い場合がありますよ」

白澤「でも、3階建てとかだと老後が大変になりますよ。私は以前、メゾネットタイプに住んでいて気に入っていたんですが、足をケガしたときに、階段の昇り降りが大変で。老後を考えたらフラットな場所に住みかえたいって思いました」

田中「そうですね。子どものためと思っても、高校生くらいまでで家を出ちゃうじゃないですか。その期間だけならマンションの方がいいんじゃないかと。戸建を買うなら、最後に住みかえることになるという前提でいた方がいいですね」

C「リノベも気になっています。白澤さんのご自宅を見て、素敵だなって思って! あと、リノベの方が安いのかな、とも思ったんですが」

白澤「フルリノベだったから、間取りやドアの開き方まで全部決めて、本当に大変でした! もちろん満足していますが、決してその方が安いというわけではないですよ」

C「中古か新築かはどう考えればいいですか」

白澤「個人的には自分にピタっときたら中古でもいいと思います。その時のフィーリングで決めちゃってもいいんじゃないかなって」

田中「旧耐震の物件は地震の時に危険なので、1981年以前の物件はしっかり耐震性の確認をしたほうがいいですね」

白澤「私の家は旧耐震で、心配だったので専門業者にチェックしてもらって大丈夫でしたが、できれば新耐震の方がいいと思います」

田中「あと、よく排水溝の匂いが気になる場合があると思いますが、それはだいたい水を流せば大丈夫です。見比べて割安だなって思う方を選べばいいんです」

白澤「出会いが大事! 本当にいっぱい見に行ってみてください」
田中「Cさんご夫婦の世帯年収なら、1億円くらいは借りられます。ただ借りられることと返せることは違いますから。何にお金をかけたいか、ご主人と価値観をきちんと話し合うことですね」

大日方「例えば、資金のために1億円の物件を買って、次に5000万円に買い換えるというのもありですか?」

田中「もちろんです! 将来住みかえる前提で、一回買っちゃうというのもいいですよ」

大日方「今の二人ならそれができる!」

ここがポイント!

  • 将来住み替えることを見据えた家選びを
  • 中古か新築は考えすぎずに良いと思う方を選ぶ
  • 借りられると返せるは違う! 価値観を話し合って

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