今回は、大日方久美子さんに電話でいまの生活についてお話をお伺いしました。「家で過ごす時間が長いいまだからこそ見えてくるものがある」という大日方さんのお話には、おうち時間がもっと豊かになるヒントがたくさんありました。


居住空間の大切さを改めて実感

――最近の生活スタイルについて教えて下さい。

朝8時頃には起きて、朝ごはんを作りながら、犬たちのお世話をしています。朝の時間については大きな変化はないのですが、野犬の子を2匹預かっているので、その子達のお世話が増えました。あとは1日1箇所をきれいに掃除するようにしています。今日はここをやろうと決めているわけではないのですが、いまも床がちょっと気になって水ぶきしたら、止まらなくなって気づけばメラミンスポンジで家のフローリングを全部磨いて、ひざが真っ黒になっていました(笑)。

――何か新しく始めたことはありますか?

一番変わったのは料理をするようになったこと! 料理は苦手どころじゃなくて、正直に言うと嫌いだったの。今だからこそできる、自分が一番やらなそうなことをやろうって思って始めたんですね。本当に知識がないので、わからないことや失敗したこともインスタのストーリーに載せるんです。そしたら、みんな大爆笑で(笑)。ありがたいことに「気持ちが落ち込んでいましたが丸焦げの魚を見たら元気が出ました」とも言ってもらえました。

たくさんの方がアドバイスを送ってくれるので、それでまた作り直したのをアップして…と新しいコミュニケーションが生まれています。

これまで、自分ができることをシェアして人の役にたったらいいなって思っていたのに、できないことをシェアして喜んでもらえるなんて(笑)。面白いですよね。



――今の生活のなかでの癒やしや楽しみはなんですか?

犬たちがいてくれるのもあって、よくよく考えてみたら、家で生活するのは全く苦じゃないんですね。でも、そんななかで、一番心がざわつくのは、花がなくなることだったんです。そこまでお花にこだわっているつもりもなく、それまでは置いているお花が枯れちゃったこともあったはずなのに、生花が大切だったんだなって気づいて。だから注文して届けてもらったり、週に一度くらいの食料の買い出しのときにお花屋さんがあるスーパーへ行ったりするようにしてお花を絶やさないようにしています。



こういった事態になったときに、本当に大切なものが見つかるんだなと思いました。私にとって街での買い物や飲みに行くことは重要じゃなかったんですね。

掃除してひとつひとつがきれいになっていくのも気持ちいいし、洗濯してたたんで…ときちんとした生活を送るということだけで楽しいんです。でもそれは、SNSで発信できる場所があるのも大きいですね。SNSでのコミュニケーションがあるから、人と会う事にそこまで固執しなくて済んでいます。ゆっくり本を読む時間もできて、久しぶりに昼寝もしてすごく幸せを感じます。



――そんな風に日常のなかに幸せを見つけられるのは素敵ですね。

何気ない幸せを感じられるのは、居住空間が自分にとって心地いいからだと実感しています。広さに関係なく、きちんと整理されていて自分が好きだと思える空間がいかに大切か。帰りたくなる、ずっと居たくなる場所は、自分のために自分で作るべきだと思います。

まず内側を満たすことが大事かなと。私も以前は外見を整えることで、内面も整えていたんですが、内面を自分で整えることができるようになると、外見はすごくシンプルになってきて。それも家と一緒だなあって。外で素敵なカフェやレストランで過ごすより、今は家でちょっとしたものをデリバリーする食事が素敵で楽しい。そういう風に気持ちを整えるのが健康的だと思います。


今しかできないことに目を向けて

――あまり大変さは感じていないですか?

そうですね。やはりお金のことで苦労されている方も多いと思いますが、私自身も会社員ではないので、色々と実感はしています。でも政府や周囲のせいにしても何も変わらないですから。自分に何ができるのか、と考えることが重要ですよね。

私の友人でもクラウドファンディングを始めた人もいますし、小さなことならメルカリで不要なものを売るとか、他の方法を考えて実行してみるというのもいいと思います。


――夫婦の関係性で変化はありましたか?

より仲良しになったかも! 私が料理にチャレンジし始めて、それも彼は「おいしい」って食べてくれるし、私が料理をした分、必ず洗い物をしてくれますね。これまでは掃除も彼がやってくれていたので、私ができていないことを注意されることもあったんですが、最近は掃除をがんばったことを報告すると、小さなことは見逃して褒めてくれるんです。

部屋がメゾネットタイプなので基本的には彼が2階で仕事をしている間に、私が1階で犬の世話や家事をして…とそれぞれのプライベートタイムが持てることもありがたいなって思います。


――生活の中で変えないように心がけていることはありますか?

出かけなくても2日に一度はメイクしたり髪の毛を巻いたり、おしゃれを忘れないように新作のお洋服に着替えるようにしています。

実は、普段でも家にこもることがあって、お風呂に3日間くらい入らなくても大丈夫なタイプなんですよ(笑)。でも、ちゃんとお風呂にも入っていますし、お風呂上がりに今こそできるスキンケアをやってみるのも楽しいですよ。

美容院にも行けないのでホームケアをやってみようかなとも思い始めています。人に会わないから失敗してもいいし、金髪にチャレンジしようか、とか。



――おうち時間を本当に楽しんでいますね。いま家でどのように過ごしたらいいのか迷っている方も多いと思います。何か伝えたいことはありますか?

私、30代前半の頃に自分で何をしたいのかがわからなくなってしまった時期があるんです。目標に向かって突っ走って生きてきたタイプだから、それがなくなったときに自暴自棄になって、夜中まで友だちと遊んで飲みまくって…それで現実逃避をしていたんです。そのときに「人と関わって楽しいことじゃなくて、一人で楽しいと思えることを見つけたほうがいいよ」って言われて気づいたんです。私は全部外側に刺激を求めていたんだ、だからダメなんだって。

人と接触できない今こそ、自分が夢中になれるものを見つけられるチャンス!何を言われても私はこれを好きだって言えるものがあるのは、人としてすごく美しいし強いと思います。
今はそれを探す時間だと思考を切り替えました。韓国ドラマが流行しているから、試しに観てみて、それが大好きってなったら絶対幸せだし。なにか一人でずっと楽しめるものをみつけられるといいですよね。いつもは観ないジャンルの作品を観てみて、面白くないって思ったら、それはそれで自分に合わないものを知るきっかけになりますから。自分だけに時間を使えるのってすごく幸せなことですよね。


取材&文・SUMAU編集部


大日方久美子
インスタグラム:@kumi511976

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