「ひらまつ」という名を聞けば誰もが思い浮かべるのは、まずは「極上のフランス料理」ではないでしょうか。料理業界で一世を風靡したブランド「ひらまつ」は、いつの頃からかその料理は独自の進化を遂げ、一方で、リゾートホテルを全国各地の風光明媚なロケーションに具現化するなど大きな発展を見せています。そして今、美味しい食事と、癒しのラグジュアリー滞在を売りに、ホテル業界を席巻し続けています。食はレジェンドでも、旅の業界では‘新参者’であったひらまつですが、あっという間に多くのホテルファンを定着させ、「HIRAMATSU HOTELS」としてすでに6軒もの極上ホテルを開業・運営していることに驚きます。
ここでご紹介するホテルは、誕生したばかりの最新リゾート「THE HIRAMATSU 軽井沢 御代田」です。浅間山の裾野に広がる広大な自然森の中で、借景には活火山の名峰、浅間山を率いるドラマチックなロケーションに佇み、これまでのリゾートとはかなり趣を変えてお披露目されました。6万㎡を超える広大な敷地に、ダイナミックな開放感と極上の施設、斬新なアート、裏切らない上質なグルメを一体化させた‘森のグラン・オーベルジュをオープンさせました。‘偉大な’という意味もある‘グラン’を名乗る以上、5ツ星を掲げるグランド・ホテルがそうであるように、冠に相応しいクオリティが求められるのは当然のこと。ここ御代田に誕生したグラン・オーベルジュは、ドアを開けて以来、真っすぐにその王道をひた走っているようです。
隣接する軽井沢が、リゾート地としての人気と実力を兼ね備え、優雅な歴史物語を伴う世界的な景勝地であるがゆえに、これまで御代田が大きく注目されることはありませんでした。しかし、今回、御代田町を訪れて感じたのは、森や緑の林に包まれ視界が開けない軽井沢とは異なり、浅間山の裾野に広がる高低差のお蔭で、視界はダイナミックに広がり、開放感溢れるパノラマがたまらない魅力であることでした。「THE HIRAMATSU 軽井沢 御代田」は‘未だ見ぬリゾート地’として未来を託すに相応しく、その御代田の特等席を舞台に、最上質のマウンテンリゾート‘グラン・オーベルジュ’としてデビューしたことに大きな注目が集まることでしょう。
公式なホームページにも宿の思いが綴られています。「THE HIRAMATSU 軽井沢 御代田」におけるフルコースとは、一回のお食事だけで終わるものではありません」と。食事は当然として、寛ぎの時や、ボディケア、アクティビティなど、すべての滞在時間がグラン・オーベルジュという意味に含まれているとの思いでしょう。それを‘TEAM ひらまつ’は「One Stay、One Full-Course」と呼んでいます。とにかく言葉を並べるよりも、まずは体験してみてください。
浅間山麓の開けた森の中では、森林浴をするだけで元気を取り戻し、美しい情景の中を散策するだけで五感が刺激されます。小鳥の囀や、風が木々の葉を揺らすBGMを改めて聞いてみてはいかがでしょう。現地からの最新ニュースによれば、6月になれば「フィトセラピーワークショップ宿泊プラン」が実現しそうとのこと。再び、御代田に向かう理由ができました。前回滞在したのは2泊のみ。それでもこのわずかな時間に、私の心には環境を慈しむ思いが再生され、限られた37室に滞在できた贅沢に満たされました。
取材・文/せきねきょうこ
Photo: THE HIRAMATSU 軽井沢 御代田
せきねきょうこ/ホテルジャーナリスト
スイス山岳地での観光局勤務、その後の仏語通訳を経て1994年から現職。世界のホテルや旅館の「環境問題、癒し、もてなし」を主題に現場取材を貫く。スクープも多々、雑誌、新聞、ウェブを中心に連載多数。ホテルのアドバイザー、コンサルタントも。著書多数、21年4月、新刊出版。
DATA
THE HIRAMATSU 軽井沢 御代田
長野県北佐久郡御代田町大字塩野375番地723
☎:0267-31-5680(代表)
https://www.hiramatsuhotels.com/miyota/
客室数:37室(本館28室、ヴィラ9棟、全室半露天温泉風呂付)
室料:要問合わせ
施設:メインダイニング、オールデイダイニング、焚火ラウンジ、ウェルネスサロン(別館)、他