大阪市内に誕生した隠れ家ホテル「Cuvée J2 Hôtel Osaka by 温故知新」に驚かされました。こだわりをここまで貫くとは…!妥協を許さず、本物のシャンパン(シャンパーニュ)にこだわるホテルが、2024年1月13日、大阪の心斎橋エリアに産声を上げました。ここは個性的なホテルの運営を手掛ける企業「温故知新」が、フランスのシャンパーニュ地方のメゾン(生産者)協賛の下に開業した世界初のオフィシャル・シャンパン・ホテルなのです。
お分かりかと思いますが、世界中でシャンパンと呼ばれるのはフランスのシャンパーニュ地方特産のスパーリングワインであり、日本では、グラスに注がれた時の優雅な黄金色と泡から、多くの人が‘乾杯’ワインとして、また食前酒としても愛飲されています。知らなかったのですが、(ウィキペディアによりますと)「ベネディクト派修道士ドン・ペリニヨンが確立したと伝えられる瓶内二次発酵と、アッサンブラージュと呼ばれる様々な原酒のブレンド、さらにティラージュおよびドザージュと呼ばれるシロップ糖分を含んだリキュールの添加に大きな特徴がある」とあります。製造工程や奥深い歴史、シャンパーニュの華やかなストーリーはさておき、「Cuvée J2 Hôtel Osaka」では、シャンパーニュの世界を知ると日常はもっと優雅になると力説。シャンパーニュの魅力を前面に押し出し、この美酒をもっと楽しんで欲しいと誘っています。
ホテルは14階建ての建物であり、外側も館内も純白に統一されています。このWHITEには意味があり、シャンパーニュを造るためのブドウが育つには石灰質の土壌(仏語:sol calcaire)が重要となることから、石灰質の「白」にこだわったと言います。シャンパーニュ地方の地表堆積物は75%が石灰質で水捌けがよく、白亜質土壌、泥炭土質土壌、石灰石を含むと言われています。地層がスポンジのように柔軟で、湿気の少なさを好むブドウにとっては苗の成長や果実の成熟に最適だと言うのです。
ここでは世界初のオフィシャル・シャンパン・ホテルに滞在する愉しみをご紹介しましょう。客室は全11室、いずれも白一色に違いはないのですが、デザインやポイントカラーがそれぞれに違い、1室ごとにメゾンの特徴がわかるようになっています。部屋数の少なさもスタッフがすべてのゲストに細やかに注意を払うことのできる規模です。さらに、ワンフロアに1室のみというのも隣室を気にせずに寛げ、まるで自分のアパルトマンに戻ったようなプライベート感があるのも特徴的です。窓が大きく開放感のある白い客室や、ミニマルな館内デザインを手がけたのは、世界的な建築家として知られる小川晋一氏です。真っ白な客室に、それぞれのシャンパーニュ・メゾンの個性あふれる彩や、歴史ある特徴的なロゴ、ストーリーなどを感じることのできる空間です。
またシャンパンホテルのプロデューサーとして大きく貢献したのが、山本一人氏です。ホテル関係者は口を揃えてこういいます。‘彼抜きではこのホテルはできなかった!’と。日本にシャンパーニュ文化を広めた第一人者のひとりであり、シャンパン愛好家、J.S.A.認定シニアソムリエ、シャンパーニュ騎士団オフィシエ、ワインスクール講師など華やかな経歴を持ち合わせ、「ホテルを通してシャンパンの魅力を届けたい」と発信中です。ホテル内の鮨レストラン「AWA SUSHI」料理長の辻本暎治氏も、その魅力を食と合わせて発信しています。鮨とシャンパーニュは良く似合うのですね。
全11室に11のシャンパーニュ・メゾン。お気に入りのメゾンは、果たして…?「ボランジェ」「シャルル・エドシック」「レア・シャンパーニュ」「テタンジェ」「ジョセフ・ペリエ」「ニコラ・フィアット」「ラリエ」「ジャン・ヴェッセル」「テルモン」「キュペルリー」「ドゥモアゼル」
取材・文/せきねきょうこ
Photo: Cuvée J2 Hôtel Osaka by 温故知新
せきねきょうこ/ホテルジャーナリスト
スイス山岳地での観光局勤務、その後の仏語通訳を経て1994年から現職。世界のホテルや旅館の「環境問題、癒し、もてなし」を主題に現場取材を貫く。スクープも多々、雑誌、新聞、ウェブを中心に連載多数。ホテルのアドバイザー、コンサルタントも。著書多数。
Instagram: @ksekine_official
DATA
Cuvée J2 Hôtel Osaka by 温故知新
大阪市中央区南船場2丁目6-7
📞:06-6262-3600(代表)