昨年8 月からスタートしたコラム、『理想のおうち』も今回で5 回目。今、私は自宅 ダイニングルームにいます。テーブルの一番端。ダイニングルームとリビングルームが 見渡せる場所に座っています。


3月2日から休校になり、短縮形式での卒業式を終え、今春から高校1年生の長女は5月6日まで学校がありません。クラス発表のめ、4 月6 日に1 時間だけの始業式 に出席した次女も同じく、5 月6 日まで学校がありません。こんなにも長い時間を、毎日を子どもたちと一緒に過ごすのは本当に久しぶりです。彼女たちが乳幼児だった初期の子育て期以上に一緒にいるような気がします。今現在、大きくなった子どもたちは携帯電話を握りしめ、友だちと頻繁に連絡を取り合いながら、夕方のニュース番組を観ています。


今日、4 月7 日火曜日の夕方。つい今しがた。東京、埼玉、千葉、神奈川、大阪、兵庫、福岡の各都府県に緊急事態宣言が発令されました。「こんなことになるなんて」と痛感する人もいれば、「いまさらか」と不満を募らせる人もいると思います。この先、約1ヶ月にわたって敷かれる緊急事態宣言。4 月7 日以降に予定されていた撮影の仕事は全てキャンセルになりました。苦渋の決断というよりも英断です。





 

【時勢に応じて自分を変革しろ】
以前、長女が私に教えてくれた彼女の一番好きな座右の銘【時勢に応じて自分を変革しろ】が、今になって心に刺さります。坂本龍馬の言葉です。つまり、こだわりを捨てる勇気と覚悟を持つことは難しいけれど、人生をより良くするためには、それは最適な方法だということ。この状況下、撮影を行わない、収録を制限する状況下で、どのように読者の皆さんに引き続き情報と娯楽を届けていくかをメディアは考えています。

思えば、コロナウィルスのニュースが最初に報道されたのは2019 年12 月31 日でした。中国・武漢で出た死者の第一報は1 月20 日。そして1 月21 日にクルーズ船の記事が浮上し、1 月末からは国内でのマスク不足がニュースで取り沙汰されるようになりました。2 月に入ってからミラノ、パリ、ニューヨークと世界中のあちこちでクラスターが発生していくなかでも、「日本にとっては対岸の火事」と一蹴していた人が大多数でした。

そんななか武漢で死者が出たことを知るやいなや、世情に過剰なまでに敏感な次女は「ちょっと行ってくる!!」と制する私を無視し、ちょうどなくなりそうだったマスクと普段は買わないアルコール消毒液を買いに慌てて家を出て行きました。お小遣いをはたいて次女があの時買ってきてくれたマスクはもうなくなり、最近は手作りのマスクを使っています。危機感の高低差が家族間にあったあの頃とは違い、今では家族で危機感を共有し、そして毎日が同じにならないよう色々なことに変化をつけています。

#DontGoOutside で出来ないことに気を揉むより
#StayHome で出来ることに目を向けよう!

・新しいレシピに挑戦する。
・夕食時には電気を落とし、キャンドルを灯す
・毎日1 本、みんなで映画鑑賞
・ダンベルを使っての家ジム
・ピアノとギターとけん玉の練習
・そして遂に、久しぶりに編み物始めました!
・大掃除と模様替え


などなど、家の中でできること、今までしたかったけれど出来ていなかったことなどに目を向けて、1 ヶ月間を楽しく乗り切ろうと思います。



クリス‐ウェブ佳⼦(モデル・コラムニスト)
1979 年10 ⽉、島根⽣まれ、⼤阪育ち。4 年半にわたるニューヨーク⽣活や国際結婚により、インターナショナルな交友関係を持つ。バイヤー、PR など幅広い職業経験で培われた独⾃のセンスが話題となり、2011 年より雑誌「VERY」専属モデルに。ストレートな物⾔いと広い⾒識で、トークショーやイベント、空間、商品プロデュースの分野でも才覚を発揮する。2017 年にはエッセイ集「考える⼥」(光⽂社刊)、2018 年にはトラベル本「TRIP with KIDS―こありっぷ―」(講談社刊)を発⾏。interFM897 にてラジオDJ としても活動中。

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