いつか絶対に観ようと思いつつも、その機会を温存し続けている映画があります。「なんで観ないの、観てないの!?」と言われるのを覚悟で申告いたしますが、大作『スター・ウォーズ』シリーズの全てがそうです。

全9作品にもわたる『スター・ウォーズ』シリーズの第1作目、『新たなる希望』が公開されたのは1977年、私が生まれる2年前のことでした。1980年に『帝国の逆襲』、1983年に『ジェダイの帰還』が公開されたときも、私はまだまだ幼くて、興味の有無どころか、その存在すら知らずにいました。1999年に4作目が公開され、ようやくこの辺りから興味を持ち始めるわけですが、『スター・ウォーズ エピソード1 / ファントム・メナス』というタイトルで見事に観る意思を削がれます。「4作目なのにエピソード1って、その1って何?!」と困惑したのです。

難色を示し続ける間にも、2002年に5作目『クローンの攻撃』、2005年に6作目『シスの復讐』が公開されました。そして2015年から2019年にかけて、怒涛の5作品公開ラッシュ。これで完全に置いてけぼりをくらった気分に陥ります。マニアの友人からの親切なアドバイスも馬の耳に念仏です。そんなこんなで、私はいまだ完結してしまった『スター・ウォーズ』シリーズを1本も観ておらず、くる2月26日(金)に「金曜ロードSHOW!」で放送される『スター・ウォーズ』シリーズの完結編にして集大成、『スカイウォーカーの夜明け』を観ようか観まいか現在大いに悩んでいます。

たまにはお気に入りの本を読み返す夜も

もう一つ、観る機会を温存し続けた大作シリーズがあります。『ゴッド・ファーザー』です。昨夏の外出自粛期間中に、通称『極妻』シリーズを全作鑑賞したのですが、あの時の満たされた気持ちが忘れられず、今月から『ゴッド・ファーザー』3部作に着手しました。大都市ニューヨーク、マフィアの抗争、アル・パチーノ、ロバート・デ・ニーロ、ダイアン・キートン。まさに大好物が大渋滞な映画です。では、なぜ今まで観なかったのか。それには2つの理由、くだらない理由とロマンティックな理由がありました。

くだらない理由というのは、単純に長いから。1作目が177分。それってもう3時間。2作目に関しては200分。そんな長時間の大作をぶっ通しで観るには、それなりの覚悟が必要でした。そしてもう1つの理由。ロマンティックな理由というのは、愛する人とベッドで一緒に観たかったから。恐らく、くだらない理由の2番目になるのでしょうが、映画『セックス・アンド・ザ・シティ2』を観たことがある人なら、きっとわかってくれるかも?

こうやって原稿をベッドで書くこともしばしば


サラ・ジェシカ・パーカー演じるキャリーとクリス・ノース演じるジムが、滞在先のホテルでベッドに並んで横たりながら、クラーク・ケーブル主演の『或る夜の出来事』を観るシーン。興味なさげに「Never seen it (観たことないわ)」とつぶやくキャリーに対して、この映画の良さを知るジムが「You’re in for a treat (まぁ、お楽しみに)」と期待を煽るシーン。このシーンに、そんな二人に、そんな風に枕元で「良い映画だよ」と囁かれながら『ゴッド・ファーザー』を観ることに憧れてしまったんです。そして、それがようやく叶ったのがつい最近というわけなんです。

ベッドサイドに置いている映画鑑賞中の定番スナック

2作目鑑賞後の感想は「まだ観てないなら、すぐ観ましょう」です。ここで『ゴッド・ファーザー』について書き始めると、4,000文字を優に超えてしまうので割愛させていただきますが、是非観ましょう。暴力的な勧め方ですが、是非。そしてテレビはベッドルームに置くのがオススメです。プロジェクターなら尚良しです。予定のない夜に何も予定が立てられず、映画三昧な毎晩です。外食もできず、友人たちを家に招いてのご飯会もできず、ひたすら持て余したお家時間は映画観賞をして過ごしています。おかげでエクセルに書き込んだ未鑑賞の映画作品リストが、最近どんどん消えていきます 。

クリスウェブ佳(モデル・コラムニスト)

 1979 年10 ⽉、島根⽣まれ、⼤阪育ち。4 年半にわたるニューヨーク⽣活や国際結婚により、インターナショナルな交友関係を持つ。バイヤー、PR など幅広い職業経験で培われた独⾃のセンスが話題となり、2011 年より雑誌「VERY」専属モデルに。ストレートな物⾔いと広い⾒識で、トークショーやイベント、空間、商品プロデュースの分野でも才覚を発揮する。2017 年にはエッセイ集「考える⼥」(光⽂社刊)、2018 年にはトラベル本「TRIP with KIDS―こありっぷ―」(講談社刊)を発⾏。

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