愛する人、かけがえのない相手が旅立ったとき、それでもその相手のことを近くに感じていたい
と思うのは、とても自然なこと。

朝、目覚めたとき、食事をするとき、本を読んでいるとき。ふと目が合うようにそばにある、
あたらしい祈りのかたち、それが「tenohiranoniwa |花 |FLOWER」です。
< FLOWER01>は、
「S1_Unit」:ご遺骨を収めるスペースと故人への思いを収めるスペースに加えて、
季節の一輪の花をいける桜の花入
「S2_Unit」:自然を表す桜の塊(無垢材)、
そして「MienaiMono ( 透明なアクリル )」で構築した立方体、
自由に並び替えでき、様々な関係のすがた(形)を作ることができます。

< FLOWER02 >は「S1_Unit」と二つの「MienaiMono ( 透明なアクリル )」で構築した立方体。

どちらも見るだけでなく、桜の木に触れ、ぬくもりを感じ、
大切な存在をいつでも近くにイメージすることができます。
手がけたのは彫刻家、デザイナーとして世田谷パブリックシアターのマーク・ロゴから彫刻、そしてファサードデザインにつながるトータルなプロジェクトや伊勢丹のフロアーインテリアデザインをはじめ、ホテルのロビー彫刻制作など、多様な作品を残してきた小野亮二さん。
小野さんがこの作品のインスピレーションを得たのは、自身の体験からでした。
「友人のご家族がなくなった際に墓石のデザインを頼まれました。それをきっかけに20年近く前から商品としての墓石デザインに携わりはじめ、今の時代に合った“あたらしい祈りのかたち”について考えるようになったんです。樹木葬や永代供養などの選択肢もありますが、ずっと遺骨のそばにいたいという方もいらっしゃいます。いろんな方に寄り添うことができないか…と模索し続けていました。

あれこれと考える中で、お参りの時に手を合わせたら、自分のからだの温度に驚いたことがありました。
外側の自分と、内側の自分が出逢った気がしたんです。その瞬間、“祈り”が実体化したように感じました。
そんなふうに内側と外側の自分が出会う空間・時間を“庭”ととらえたときに生まれたのがこの「tenohiranoniwa |花 | FLOWER」です。
私が敬愛する作曲家・武満 徹さんの本にこんな言葉があります。
“友が言うように、音楽は祈りの形式(フォーム)であるとすれば、人間関係、社会関係、自然との関係、(そして、神との関係)すべてと関わる関係(リレーション)への欲求を祈りと呼ぶのだろう。”
武満 徹エッセイ選—言葉の海へ Mirrorちくま学芸文庫 2008年 p.58

もともと、もの・人・社会・時代など、ものごとの関係をデザインや作品として表現してきた。武満さんのこの言葉も深く心に残っていました。様々な関係性のなかで、生きている私たち。季節の移ろいとともに姿を変える動的な庭は、祈りの表現にあっているのではないかと考えました」
tenohiranoniwaマーク:光の三原色の青と赤の立方体は二人の存在を表し、中央の二面は、緑を加えて生まれた白( 光の三原色の Red と Blue に Green の総和 )、二人が共有した 「かけがえのない時間 ・Mienai Mono」 を表しているそう。

存在を示す立方体は、6面すべてが等しい形。それは平等ということをも意味しているといいます。
この形にたどり着くまでには、素材をいくつも試したり、でイメージをつかむために別のサイズで試作品を作ったりしました。
最終的にのサイズは15㎝、やわらかな木目を持つ桜の無垢の樹の二つのUnit、透明アクリルのMienai Monoという光のコントラストのある組み合わせにたどり着きました。

そこにもまた、込められた意味がありました。
「 tenohiranoniwa │花│FLOWER」
「ご遺骨をいける桜の花入│二人で暮らす│祈りのとき・祈りのかたち」
永遠性を持つ堅牢なつくりの 「 S1_Unit 」は、ご遺骨は、愛する人の命 (桜に眠る命)、
故人への思い (桜の樹に一緒に生きる時)、花は、今咲いている命 (木目を横に使い倒木に宿る命)
を表しています。
「 S2_Unit 」は、木目を縦に使うことで、樹木のように自然のなかで生きていることを表現しています。
それにもう一つのMienaiMonoは、二人が共有したかけがえのない関係・時…。
二人の生の表しであり、私たちをとりまく「光」でもある。

これは言葉にすると恥ずかしいですが、すべてを包括する“愛”ともいえます。
それぞれ自由に動かすことができるので、並べ替えることで常にそれらの関係性を変化させることができます」
小野さんはこの「tenohiranoniwa |花| FLOWER」との暮らしを楽しんでほしいとも話します。
「大きさはちょうど文庫本とおなじくらいの高さ。間に写真をはさんでもいいですし、ブックエンドのように好きな本を並べてもらってもいい。とにかく触ってほしくて動かしてほしくて。例えば夜、お酒を飲みながらかけがえのない相手を思い…触れる。

そうやって過ごしていくと、一緒にいるときには気がつかなかったことに気がつくようになるかもしれないし、改めて悲しくなるかもしれません。
そういったことが特別な場所ではなくて、ベッドサイドやキッチンなど、いつもの居住空間にあってほしい。
どこでも いつでも はじまる 対話のとき:祈りのとき。
『祈り』というものが手を合わせることだけではなくて、日常の中で一緒に遊ぶ、一緒にいるというふうになれば、あたらしい幸せのかたちにつながるのではないでしょうか」
「tenohiranoniwa|花|FLOWER」の詳細は公式サイトでご確認ください。
小野亮二さん・プロフィール
1977 年より脇田愛二郎主宰 スタジオA (~1982)にて主に彫刻・モニュメント等のアートワークを担当。
1984年 株式会社オノデザインオフィス設立 : 世田谷パブリックシアタープロジェクト・グランドHYATT 福岡 ロビー彫刻・ホテルオークラ静岡ロビー彫刻・伊勢丹フロアーインテリアデザイン ・東急百貨店手提げ袋 グラフィックデザイン・日本映画監督協会協会賞トロフィデザイン (YIDFF)・竹中工務店本店サインデザイン (設計部協働)・群馬県庁舎前庭モニュメント…等: デザインとアート制作にて現在に至る。
原美術館所蔵 (Screws 64) アートコンペ最優秀賞、SDA賞、街並み景観賞、グッドデザイン賞ほか受賞歴多数。
撮影/古本麻由未
取材・文/SUMAU編集部










