仕事が早く終わった日、急に予定が空いた夜はひとりで気ままに過ごすにはいいタイミング。カウンターがあるレストラン、ワインや日本酒の注目店など、今やひとりで行っても十分に楽しいお店は増える一方です。ここでは“ひとりでも妥協なし、きちんと美味しいもの”をテーマに、ひとりごはん&お酒の良質な空間を紹介します。
深夜もウエルカムな
ワイン&フレンチの新店
フレンチは2人で行くもの、一人で行くなんてちょっとハードルが高そう。そう思い込んでいない? 本当は、一人でも通える行きつけのフレンチを持っていたら、それはすごくカッコイイことだと思う。
そこで、今年はおひとりさまフレンチデビューを目指してみては? それには次のセオリーを知っておくといい。
まずは一人でも気兼ねがないカウンターがあること。カウンターならホールを見渡すテーブル席よりも、周りを気にせず食事ができる。そしてコースがある方がうれしい。しっかりといろいろ食べたいという時にも、コースなら一人で数皿を食べられるからだ。
逆にそこまでお腹いっぱいになりたくない時のために、ワイン一杯からでもOKで、ア・ラ・カルトもあれば安心。こんな融通の利くレストランなら、おひとりさまでもふらりと行けそうだ。そんなおひとりさまのわがままをかなえてくれる店が、去年5月、神楽坂にオープンした『フロレゾン』。
オーナーでシニアソムリエの佐々木利雄さんとベテランシェフの鳴海陽人さんという、実力派の二人が手がけるレストランだ。神楽坂の人気店「しゅうご」を手掛けた佐々木さんは、いったん東京を離れ、福岡でこれぞと見込んだ料理人と店を立ち上げていたが、新しく店をやるならと、また神楽坂にカムバックを果たした。
そんな佐々木さんに「この料理人と店をやりたい」と決断させたのがシェフの鳴海陽人さん。フレンチの名店『エメ・ヴィベール』で腕を磨き、『フィリップ・ミル東京』では副料理長等を務めた経験の持ち主だ。
その料理は、フレンチの基本であるクラシックに敬意を持ちつつも、現代的なセンスを巧みに取り入れている。食べれば素材の味がくっきりと導き出されたシンプルな美味しさだ。
美しい盛り付けで登場する「ノルウェーサーモンのタルタル」は、モダンで軽やかなプレゼンテーションに目を奪われる。サーモンを和えたマヨネーズには隠し味に白みそを使っているので日本人にも親和性があり、食べ疲れず、誰もが美味しいと思える料理に仕上がっている。
「昔ながらの重たいフレンチではありませんが、
料理そのものにはフレンチのバックボーンをきちんと持たせています。
昔からある食材の合わせ方や、ソースをしっかり作ることも
そのひとつです」と鳴海シェフ。
この鳴海シェフの料理をさらにひきたてるのが、佐々木さんが選ぶワイン。フランスを中心に、厳選した日本ワインなどもあり、料理に寄り添って実力を発揮する。コースならペアリングもおすすめだが、ア・ラ・カルトでもグラスワインで料理に合わせてもらうことができる。
「お客様にとって、できるだけ自由度の高い店にしたいと考えました。
そこでコストパフォーマンスのいいコースもご用意していますし、
ワインバーのように、軽く料理とグラスワインという使い方もできます。
どちらも歓迎します」と佐々木さん。
その上、深夜12時を過ぎても営業しているなんて、おひとりさまにはますます使い勝手がいい。仕事を頑張り過ぎて食事の時間を逃した夜も、ここに来れば自分だけのご褒美ディナーが待っているというわけだ。
「フロレゾンは」は神楽坂の路地、見番横丁にあり、ビルの2階という目立たない立地。だからこそ静かで落ち着いた雰囲気だ。シャープでスタイリッシュなインテリアや開放的なオープンキッチンという気取らなさも、おひとりさまにはちょうどいい。
Floraison
フロレゾン
住所:東京都新宿区神楽坂3-6-29 MIビル2F
電話:03-5946-8676
営業時間:18:00~翌2:30(LO翌2:00)
※4月頃変更予定あり
定休日:日曜、第2月曜※変更予定あり
※コース 6,500円 (LO21:30)、コースのワインペアリング4500円~
※掲載価格は税別価格です(2020年1月現在)
(取材&文・岡本ジュン 撮影・貝塚隆)