仕事が早く終わった日、急に予定が空いた夜はひとりで気ままに過ごすにはいいタイミング。カウンターがあるレストラン、ワインや日本酒の注目店など、今やひとりで行っても十分に楽しいお店は増える一方です。ここでは“ひとりでも妥協なし、きちんと美味しいもの”をテーマに、ひとりごはん&お酒の良質な空間を紹介します。

中華にこだわらない薬膳レストランは

和、洋、オリエンタルと多彩なメニュー

新型コロナウイルスの感染拡大で、外食もままならない日々が続いた今年。こんな時代だからこそ、健康に過ごすことが何よりも大切に思えるようになってきた。そんな時代に求められるのは免疫力をアップし、体の中から元気にしてくれる食事。今年11月、銀座にオープンした薬膳がテーマの「銀座しんのう」は、まさにそんなレストランだ。

銀座にありながら、古い民家を改装した一軒家という落ち着いた雰囲気

シェフの三上康介さんは、イタリアンやシーフード料理の店で腕を磨きながら、薬膳の専門学校で学んだちょっと異色の料理人。かつて出身地岩手の老人介護施設で働いた経験から、食事の大切さに目覚め、食と健康の関係に深く関心を抱くようになったという。その時に出会ったのが薬膳という考え方だった。

美味しくて体にいい料理を食べて欲しいという店主の三上さん。

三上さんは、北京で開催される薬膳料理コンテスト「国際養生料理コンテスト」で2009年に日本人として初めて最優秀の世界美食薬膳名師に選ばれた。さらには、中医薬膳師、国際薬膳師、国際中医師などの資格も持ち、中医学に対する深く広い知識を料理に生かしている。

しんのう風サムゲタン 3280円 (ハーフサイズ 1800円)
韓国料理のサムゲタンを洋風にアレンジ。5色の野菜など、バランスのよい食材を使っている。

薬膳というと中華のイメージが強いが、三上さんが作る料理は、今までの調理経験を生かして和から洋、オリエンタルまで幅広いジャンルに渡っている。例えばランチの人気メニューは「薬膳キーマカレー」。約25種類の生薬とスパイスを使った、他では味わえない個性的なカレーだ。夜は洋風に仕上げたポトフのような「しんのう風サムゲタン」、マレーシアやシンガーポールの郷土料理「バクテー」などバラエティ豊か。そのどれもが薬膳という固いイメージをガラリと覆してくれる。地元岩手を含む東北の食材を愛し、契約農家から届く特別栽培米や脂の融点が低くヘルシーな漢方牛、三陸の牡蠣など美味しい東北の食材もたっぷり使っている。

薬膳キーマカレー 1200円
潔くシンプルな見た目だが、生薬やスパイスは25種類も使われている。辛みがきいた大人の味わい。

「目指したいのは“食によるセルフメディケーション”です。

薬に頼るのではなく、食事や生活習慣を改善することで、

身体のバランスを整える中医学の考え方に基づき、

美味しくて身体に良い料理を食べて欲しいと思っています」 と三上シェフ。

薬酒980円~など、ドリンクも体にいいものばかり。チェックシートに記入すれば、体質にあった薬種をブレンドしてくれる。

そこでチェックシートで一人一人の体質を調べ、体調や体質に合わせて約30種からブレンドする薬酒なども出している。またタイミングがあえば、三上さんが話を聞いておすすめの薬酒をアドバイスすることもあるそう。

美味しいだけなく、体のバランスを整えてくれる薬膳のセオリーに基づいたレストラン。たまの外食にはこんなお店で、これから始まる寒い冬を乗り切る体力を養いたい。

銀座しんのう

ぎんざしんのう

住所:東京都中央区銀座3-11-7 鶴見ビル

電話:03-6264-3412

営業時間:11:30~14:30(LO14:00)/17:00~23:00(LO22:00)

定休日:日曜 祝日

※営業時間や定休日は変更されることがあります。

※掲載価格は税別価格です(2020年12月現在)

(取材&文・岡本ジュン)

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