仕事が早く終わった日、急に予定が空いた夜はひとりで気ままに過ごすにはいいタイミング。カウンターがあるレストラン、ワインや日本酒の注目店など、今やひとりで行っても十分に楽しいお店は増える一方です。ここでは“ひとりでも妥協なし、きちんと美味しいもの”をテーマに、ひとりごはん&お酒の良質な空間を紹介します。
予約困難な人気が
下北沢で2号店をオープン
扉を開けると、スパイスの香りがふわ~っと飛び込んでくる。ここはカレーの店であり、ジェラートの店でもある。そう聞くと、少し不思議な取り合わせに思えるけれど、そのナゾを明かせばなぁるほどと納得できる。この店を開いたのは、千歳船橋『カルパシ』の黒澤功一さん。カレー好きに熱烈なファンを持つ『カルパシ』は、電話番号非掲載、予約はSNSのみという狭き門の人気店だ。南インド、ネパール、スリランカなど、幅広いレパートリーから繰り出す黒澤さんの料理は、鮮やかなスパイス使いがとても印象深い。
黒澤さんが食後を〆るデザートとして取り組んできたのが、スパイスを使ったジェラートだ。それを主役にしたのが下北沢店。気軽に行けるこの『カルパシ』の新店はカレー好きにとってもうれしいニュースといえる。
「千歳船橋とは違って、ここは気軽に味わってもらえる
場所にしたいと思っています」と店長の内田さんはにっこり笑う。
ジェラートは常時8種類で、定番は4種類。「カルダモンピンクグレープフルーツ」や「花椒ショコラーデ」など、スパイスに詳しくないと名前を聞いただけでは味の想像は難しいけれど、何やら美味しそうな響きであることは間違いなし。
「カルダモンピンクグレープフルーツ」はグレープフルーツらしい酸味、香り、ほろりとした苦みにカルダモンの甘くエキゾチックなフレーバーが香る大人のジェラート。「花椒ショコラーデ」は濃厚なチョコレートの中に花椒の刺激的なパンチがきいている。2種盛りでそれぞれを味わった後、両方を混ぜて味の変化を楽しむのもおすすめという
ここではジェラートだけを味わうことももちろんOKだが、
「カレーを食べてからジェラートを食べると、
ジェラートがさらに美味しく感じますよ」
とこっそり教えてくれたのは料理人の妹尾さん。
黒澤さんが信頼を置く料理人・妹尾さんが作るカレーも、『カルパシ』らしく、鮮やかなスパイスの香りとオリジナリティのある組み合わせが魅力的だ。本日のカレー3種類の内容は入れ替わるが、必ずあるのは豆のカレーだとか。
この日は、南インドのお味噌汁的な「サンバル」、ココナッツミルクがきいた「ケーララチキン」、豚肉を使った「グリーンチリキーマ」という組み合わせ。爽やかなレモンピックル(ピクルス)やごまをまぶしたゴーヤ、秋ナスなどのアチャールも一緒に盛り付けて、辛い、酸っぱい、苦いなど様々な味のバラエティを一皿に盛り付けている。
それぞれのスパイス使いも秀逸だが、混ぜ合わせて食べることも計算されているので、2種や3種の盛り合わせをオーダーして、最後は全部を混ぜて食べるというカレー文化圏のスタイルも試してみたい。
スパイシーなカレーのアフターには、もちろん冷たいジェラートで口の中をリフレッシュして。
Curry Spice Gelateria KALPASI
カリースパイスジェラテリアカルパシ
住所:東京都世田谷区北沢2-12-2 サウスウェーブ下北沢1F
営業時間:11:30~20:00LO
定休日:木曜
※掲載価格は税別価格です(2020年10月現在)
(取材&文・岡本ジュン 撮影・マツナガナオコ)