千 麻子さんによる人気連載「うつわと料理」から、春の食卓を華やかに彩る、軽やかで色鮮やかなおもてなしレシピを集めました。旬の食材をふんだんに使い、見た目も味わいも春らしさに満ちた一品ばかり。気軽に作れる一品料理から、季節を感じるスイーツまで、食卓に春の光がそっと差し込むような、おもてなしのヒントをお届けします。
海老とアスパラのチーズリゾットとマヨリカ焼き

日本人として生まれたからなのか、お米に対する執着は人一倍強い。毎日炊き立ての白いご飯が食べたいし、外国で生活しても週に数回は手軽に和食・米料理が頂ける寿司屋に通う。我が家でよく作る米料理といえば、シンプルに炊いた白飯、短時間に火を通して香ばしく仕上げるチャーハン、そしてリゾットがある。
リゾットは吸水具合を見ながら作りたいので20分近くも鍋の横に付きっきりとなる。そう、家で作る米料理にしては少々手間がかかるのだ。とはいえ他の何ものにも変えられない美味しさがある。出来立てとろとろのリゾットを皿の中心に一気呵成に流し、すぐに皿の下に手を入れてトントンと叩く。すると、ふわりと一面に米粒が均等に広がる。この瞬間を逃さぬように熱々をいただくのがこの上なく贅沢である。
ホタルイカと空豆の唐和え

この時期に近所のスーパーに寄ると必ずと言って良いほどホタルイカが並んでいる。昨年に続き、今年も豊漁らしい。つい買って帰り、お酒のあてにと酢味噌を作りながら、まだタレのかかっていないホタルイカを素手でぱくぱく食べる。手で持った時のぷっくりした感じが好きで、思わず手で摘んでしまうのだ。
そもそもホタルイカは、体に発光器を持っていて蛍のように光ることから、この名前がつけられた。光る目的は敵を惑わすためらしい。ここにいるよ、とピカッと光って敵がその場所を狙ってくる間に素早く別の場所に移動する。体にそんなシステムが組み込まれているなんて、ホタルイカの祖先はどれだけ危険な目に遭ってきたのだろうか。
ゴーフルとヘレンドのアポニーグリーン

まもなくバレンタイン。以前は手間のかかるお菓子を作ることもあったが、ここ数年は気づけばゴーフルが続いている。理由は、各々がトッピングを好きなようにアレンジして楽しめるから。家族が増えた今、以前よりも柔軟な食卓に変わりつつあるように思う。
ゴーフルに出会ったのは、フランスで料理の勉強をしていた頃のこと。あつあつでサクサクの軽い生地に、クリームやチョコ、そしてコンフィチュールを思う存分のせて、週末のご褒美としてしばしば食べていたことを思い出す。すでにお腹はいっぱいなはずなのにいくらでも食べられてしまう、甘いものは別腹とはよく言ったものだ。
ネギとホワイトアスパラのヴィネグレットと柿右衛門白磁陽刻松竹梅文輪花皿

春になると桜の開花はまだかまだかと外の景色に目をやる機会が増える。幼い頃から目にしている風景に、翌年もまた出会えることが待ち遠しくてそわそわしてしまうのだ。1年のうちの限られた期間にだけ咲き誇る桜を見ると、まるで日本中が祝福されているような、おめでたくて嬉しい気持ちになるこの時期は、四季のある日本でも特別な季節だと思っている。
リチャード ジノリのお皿とグリーンアスパラガスのソテー

19世紀にフランスで活躍したエドゥアール・マネ。それまで裸体を描くのは、神話画もしくは歴史画でというのがお約束だった時代に《草上の昼食》と題し、ピクニックの場面に現実の女性のヌードを描いたことでセンセーショナルな話題をもたらした人物だ。
彼は50歳手前で体調を崩し、片手に収まるほどの小さな静物画を手がけるようになる。その中に、アスパラガスを描いたものが2枚ある。1枚は20本ほどのアスパラの束がテーブルの上に置かれた絵。この絵を手に入れたコレクターは、余程気に入ったのか、800フランの値が付けられた作品に対して、1000フランを支払った。












