海外旅行。ここ数年は行きたいから行くというよりも、行かないとやってられない。そんな気分です。特に年末年始はその気持ちがむくむくと膨らみます。だから、今年の年始も行ってきました。久しぶりのカンボジア、そして頻繁に訪れているタイ王国へ。現在、東京からカンボジアへの直行便はなく、ベトナム(ハノイ、ホーチミン)、タイ王国(バンコク)、シンガポール、マレーシア(クアラルンプール)、韓国(ソウル)、中国(広州や上海)での乗り換えが必要です。せっかくの海外旅行。できることなら複数国訪れたい。ということでカンボジアに加え、周遊チケットを購入してバンコクでの滞在も決めました。

海外旅行で大切にしているのが歴史学習と滞在するホテル選び。「このホテルに泊まりたい」というのが目的なこともしばしばです。今回は『最初に父が殺された (First They Killed My Father)』という映画を通じて、女優アンジェリーナ・ジョリーのインタビュー記事のなかで知ったリゾートホテルが目的地。『最初に父が殺された』はポル・ポト政権下のカンボジアを舞台に、5歳の少女の目を通して内戦の悲劇を描いた実話ベースの映画で、アンジェリーナ・ジョリーが監督を務め、カンボジア出身の彼女の長男マドックスがエグゼクティブ・プロデューサーとして参加したことでも話題を呼んだ作品です。私が生まれた年、1979年1月7日に崩壊したポル・ポト政権についての本を読み、この映画に出逢い、監督を務めたのがアンジェリーナ・ジョリーだと知り、ようやく辿り着いたのが今回の目的地、ザニエール・プム・バイタン(Zannier Phum Baitang)というわけです。

「田園の中の村」をコンセプトに、カンボジアの伝統的な農村をイメージしたデザインで、広大な敷地にクメール様式を用いた木造建築のコテージやヴィラ、洒落たバーや2軒のレストラン、屋外プールやキッズクラブ、最高級のスパが点在しています。水田では実際に米作りを行なっていて、レストランでは収穫した米はもちろん、手作りのバターやヨーグルト、畑で採れた新鮮な野菜や果物を使ったカンボジア料理が味わえます。

高床式ヴィラの階段を上がるとエクステリアラウンジがあって、所々にニョキっと生える椰子の木とのコントラストが不思議な田園風景が見渡せます。部屋の中心にはキングサイズの快適なベッドとソファー。ファブリックは爽やかな肌触りのリネン100%。アンコールワット遺跡を観光するのに便利なシェムリアップの中心街から車で15分、シェムリアップ空港からだと10分という距離ですが、敷地内はとても静寂。日本では耳にしたことのない鳥のさえずりに心が癒されます。

2015年に開業したザニエール・プム・バイタン、そして映画『最初に父が殺された』の監督を務めたアンジェリーナ・ジョリーの関係性。気になるでしょう?実はこのリゾートホテルの最初のゲストがアンジェリーナ・ジョリーなんです。この映画をカンボジアで撮影するにあたって、アンジェリーナ・ジョリーだけでなく6人の子どもたち、そして当時の夫ブラッド・ピットも伴って、この美しいリゾートホテルに3ヶ月間(も!)滞在したんです。なんという贅沢!さっき気になって調べてみたら、9月末までは1泊2名5万円台でヴィラに泊まれるとのこと。年末年始より断然お安い!カンボジアの雨季は5月から10月、特に9月と10月は降水量が多くなります。しかし日本の雨季のように一日中降るということはなく、午後にザァーっとスコールのように降るだけ。雨季は緑が豊かになり、アンコールワットの遺跡もより美しく見え、さらに観光客も比較的少ないとのこと。平均気温は30℃〜33℃。高温多湿ではありますが、それは日本のどこにいても同じこと。だったらいっそのこと!行かなきゃやってられない、という方におすすめしたいです。いざ、カンボジアへ!

Zannier Phum Baitang : https://www.zannierhotels.com/phumbaitang/

クリス‐ウェブ佳⼦(モデル・コラムニスト)

1979 年10 ⽉、島根⽣まれ、⼤阪育ち。4 年半にわたるニューヨーク⽣活や国際結婚により、インターナショナルな交友関係を持つ。バイヤー、PR など幅広い職業経験で培われた独⾃のセンスが話題となり、2011 年より雑誌「VERY」専属モデルに。ストレートな物⾔いと広い⾒識で、トークショーやイベント、空間、商品プロデュースの分野でも才覚を発揮する。2017 年にはエッセイ集「考える⼥」(光⽂社刊)、2018 年にはトラベル本「TRIP with KIDS―こありっぷ―」(講談社刊)を発⾏。

Share

LINK

  • ピアース石神井公園
  • ディアナコート永福町翠景
×
ページトップへ ページトップへ