千年の都‘京都’にふさわしいホテル、「千年ホテル」として知られる「ザ・サウザンド京都」は、ホテルとしての社会的責任において、さらに京阪グループ全体のサステナビリティ牽引にもつながるとして、2022年7月からリブランドを実施しました。「パーソナル・コンフォート・ホテル」と掲げていたメインのコンセプトを、「千年ホテル」と変えたのです。


 2019年1月29日の開業以来、2度目の宿泊となった今年の桜満開の季節、私は当時のホテルとは全く異なる雰囲気をホテル内で体感いたしました。サービスやスタッフの動きもとてもスムーズになり快適なのは当然かもしれません。ただ同時に、待ったなしの地球環境の変化や温暖化現象に、公共施設としてホテルも真摯な対応が必要とされています。そこで「千年ホテル」を新たなコンセプトに掲げる「ザ・サウザンド京都」では、これからの千年に向け、京都の町も、文化も、ホテル自身も継続しより躍進できるよう、快適さとサステナビリティを追求した感動体験を人々に届けるために、京阪グループ全体の取り組みとして、注目度の高い「BIOSTYLE PROJECT(ビオスタイルプロジェクト)」を始めていました。

そのスローガンを「Think 1000 year comfort.」と決め、1年間で100のSDGsアクションの実施や、ゲスト参加型の館内イベントなどを実施したといいます。また、無限大(∞)を意味するロゴマークよりもホテルのロゴマークは円の数がひとつ多く、数字の1000を表すと同時に、「千年=無限大」という意味を含み、心地良いサービスを追及していく意思を表わしているのです。


ロビーに飾られている不思議なアートワーク、ゆらゆらと揺れる「wind_form」by WOW。


「TEA AND BAR」で人気のアフタヌーンティーは季節感のあるテーマで提供。今年、4月22日~6月30日までは「千の茶会アフタヌーンティー ~一期一会の時間~」と題し、お茶と茶室に至るまでの「露路」を演出。


庭をイメージした「TEA AND BAR」のシグネチャースイーツ「奥庭 ~OKUNIWA~」


ホテルが放つ幾つかの具体的なSDGsの取り組みは、プラスチックフリーの推進、客室のカードキーを竹製に変換、「自然との共生」では都市養蜂の取り組み、食品ロスのために削減メニュー開発など、様々な日常のシーンですでにアクションを起こしていました。ホテルが掲げるこうした主体性は多くの都市型ホテルのお手本となるに違いありません。


 さて、「ザ・サウザンド京都」はロケーション抜群の京都駅前に立ち、京都駅烏丸口からは徒歩で2分、目と鼻の先という絶好の場所に立っています。同時に、都会の雑踏の中にありながら、ホテルに一歩足を踏み入れると静けさに包まれたアートな別世界が広がっていることに、だれもが驚くことでしょう。シンプルモダンなデザインの空間には、随所に日本の魅力も鏤められており、吹き抜けロビーのシンボルでもあるダイナミックな大階段と、繊細なロビーアート「wind_form」が目を引きます。また館内には京都の自然を感じさせる‘緑’を多く配しているほか、太陽光発電による自然エネルギー利用、京都の豊富な地下水脈を活かす井水活用システム(くみ上げた地下水を高度な膜ろ過処理で安全・安心な飲料水として供給する分散型自家用水道システム)も導入。CO2 削減の実現や、地域の防災拠点としても機能しており、まさに京都の玄関口に建つホテルとして、様々な観点から価値のある存在感を示しています。


客室は全222室。なかでも緑に囲まれたガーデンテラス付きのスイートルームや坪庭のある部屋、2フロア吹き抜けのザ・サウザンド・スイートなどは、都会にありながらも自然を感じる部屋作りが人気です。京都に伝わる茶の湯文化を現代的にアレンジしたカフェ&バー「TEA AND BAR」では、季節ごとにそのテーマを替えるアフタヌーンティーが好評。こうして、世界遺産でもある悠久の都の真ん中で、「ザ・サウザンド京都」は様々なシーンを演出し、世界中から訪れる観光客や、日本人である私たちをも大いに喜ばせているのです。


客室の一つ「ハーモニースイートルーム」。窓の外には京都らしい坪庭が望める。


ホテル随一の広さを誇るガーデンテラス付きの「ガーデンスイート」。十分な広さの快適な空間でスタイルのある部屋。


外観を写したホテルの夜景、植栽が多い客室やテラスなどから活気が伝わる。


SDGsを意識した養蜂プロジェクトから出来上がったオリジナルの蜂蜜。京都のホテルとひては初めて屋上にミツバチの巣箱を設置し蜂蜜を採取。貴重な蜂蜜が出来上がる。


取材・文/せきねきょうこ

Photo: THE THOUSAND KYOTO





せきねきょうこ/ホテルジャーナリスト

スイス山岳地での観光局勤務、その後の仏語通訳を経て1994年から現職。世界のホテルや旅館の「環境問題、癒し、もてなし」を主題に現場取材を貫く。スクープも多々、雑誌、新聞、ウェブを中心に連載多数。ホテルのアドバイザー、コンサルタントも。著書多数、21年4月、新刊出版。

http://www.kyokosekine.com


DATA

「ザ・サウザンド京都」

京都府京都市下京区東塩小路町 570番

📞 :075-354-1000 (ホテル代表)

https://www.keihanhotels-resorts.co.jp/the-thousand-kyoto/

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