絶景リゾートと言われるホテルは随所にありますが、ここ「ATAMI 海峯楼」の景色には特別感があり、まさにため息が出るほどに美しい景色はいつまで見ていても飽きません。高台に立つ建物の最上階に造られたガラス張りのウォーターバルコニーに居ると、まるで海に浮かぶような浮遊感を感じてしまいます。


ホテル名は「ATAMI 海峯楼」。熱海の海に面する丘陵地帯の高台に、緑に包まれるように立っています。ここは、企業の迎賓館として1995年、建築家の隈研吾氏による斬新な設計を施し竣工、滞在可能なスモールラグジュアリーホテル「ATAMI 海峯楼」として開業に至りました。客室はたったの4室のみ、スモールラグジュアリーリゾートとして、当時からプライベート感漂う特別な存在感を放っていました。


建物のデザインテーマは‘水とガラス’。最上階のウォーターバルコニーの周囲には水盤が造られ、まるで海面に続くような一体感があり、内部に居ながらにして水盤に浮かんでいるような気分になります。そして、2022年夏からリニューアル工事が始まり、4室の客室のうち、ウォーターバルコニーを挟んで左右に隣接する2室が改装され、贅沢なラグジュアリースイートルームとして、昨年の12月28日にリニューアルオープンを迎えたのです。



ホテルのアイコンでもある総ガラス張りの「ウォーターバルコニー」は最上の3階に。


全面ガラス張りで海に対峙する客室「誠波」(90㎡)、海だけでなく、熱海の街も望める落ち着いた客室「風科」(90㎡)の2室です。客室内は純白とマリンブルーに統一され、ワクワクするような海のリゾートらしさが演出されています。2室のインテリアデザインは異なり、「誠波」の床に波柄の大判タイルが使われ、もう一方の「風科」は半円形を描く7mの高さの天井があり、2室共に高級感を漂わせています。とりわけ、改装に伴い両室に設置された温泉露天風呂が好評で、潮風に包まれてのんびりと浸かる温泉はたまりません。

2階にある他の2室は尚山(しょうざん・50㎡の洋室)と爽和(さわ・50㎡の和室)といい、スイートルームよりも一回り小さな部屋ですが、相模湾を一望する景色に加え、敷地内の庭園に近いために緑に包まれ、心静かに寛げる部屋造りが特徴的です。温泉はサウナ付き貸切温泉があり1組ごとに利用可能です。



ウォーターバルコニーを挟んで2つのスイートルームがあり、そのひとつである「誠波(90㎡)」、窓の外のインフィニティの水盤が海と一体となり、部屋に居ながらにして海に浮かんでいるかのよう。



「誠波」のバルコニーに造られた露天風呂。温泉を楽しみながら潮風に包まれる快適なプライベートアウトバス。



スイートルーム「風科」の景色は街と山が望め、左側には海も見渡せるバリエーション。広さは「誠波」とほぼ同じだが、インテリアデザインが異なる人気の部屋。


宿泊客だけに限られた食事処、3階のウォーターバルコニー以外に、2階にはメインダイニングが設置されています。2023年1月21日、大浴場隣にある大広間も、豪華な食事処「日本料理 楽精庵(らくせいあん)」として開業しました。プライベート感のある食事処は、知る人ぞ知る穴場ですが、外からのゲストも受け入れているといいます。36畳の大広間は、熱海の丸をモチーフに描かれたふすまに囲まれ、食事は、宿泊者と同様に「ATAMI 海峯楼」のオリジナル料理が振舞われます。煌びやかな金のふすまは版画家・徳力富吉郎が描いた作品であり、最上階のスタイリッシュな‘水とガラス’のウォーターバルコニーとは別世界であり、1日2組の限定であり、独特な金色遣いの日本画に包まれます。



ダイニングルームは2室に滞在したゲストの食事処。緑と海のバランスが美しく窓に映える。



夕食は手の込んだ料理がずらり披露される懐石料理。写真は前菜諸々。



スイートルームに滞在すると夕食も朝食もここ「ウォーターバルコニー」が食事処となる。



取材・文/せきねきょうこ

Photo: ATAMI 海峯楼





せきねきょうこ/ホテルジャーナリスト

スイス山岳地での観光局勤務、その後の仏語通訳を経て1994年から現職。世界のホテルや旅館の「環境問題、癒し、もてなし」を主題に現場取材を貫く。スクープも多々、雑誌、新聞、ウェブを中心に連載多数。ホテルのアドバイザー、コンサルタントも。著書多数、21年4月、新刊出版。

http://www.kyokosekine.com


DATA

ATAMI 海峯楼(アタミ カイホウロウ)

静岡県熱海市春日町8-33 

📞 :0570-0117-22

https://www.atamikaihourou.jp/

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