磯野家リノベーション後の間取り 波平さんとフネさんの畳の寝室だけ少し増設しました。カツオとタラちゃんは相部屋です。その隣はマスオさんとサザエさんの寝室。

日本で最も知られている家の間取り。それはおそらく磯野家の家。サザエさんのご自宅でしょう。

家主の磯野波平に妻のフネ。長女のサザエと夫のマスオに一人息子のタラオ。そして磯野家の長男であるカツオと次女のワカメに、忘れちゃいけない猫のタマ。磯野家とフグ田家の合計7人と猫1匹が暮らすのは東京都世田谷区桜新町。架空の住所、あさひが丘3丁目という場所です。

磯野家オリジナル間取り 世田谷区桜新町1丁目で予想価格1億5千万円、築50年なので少しお安いんです。

最寄駅は東急田園都市線の桜新町駅、もしくは用賀駅になります。渋谷駅から電車で10分圏内という、思ったよりも都心寄りの立地です。かもめ第三小学校3年生、優等生タイプのワカメちゃんも、いつかはラフォーレ原宿や渋谷パルコに一人で出掛ける典型的な都会っ子になることでしょう。観たいかもです。『ワカメ、渋谷センター街で絡まれる』とか。

桜新町が住宅エリアとして最初に人気を博したのは、日本で初めて分譲住宅地として街開発が始まった1912年にさかのぼります。当時は「新町分譲地」、別名「東京の軽井沢」と呼ばれていましたが、開発時に植栽された桜の木々が時を経て立派な桜並木へと成長したことを機に、現在の名称「桜新町」へと改名されました。

さて、私的に全く憧れない磯野家の二世帯住宅は私的にとても憧れる平屋造りで、5LDK・推定115㎡とかなり大きな家になります。建ぺい率50%で計算すると、都心では願ったり叶ったりな225㎡の敷地面積。バスルームとトイレが1つずつしかないのが難有りですが…。もっと言えば、4.5畳の子ども部屋を共有する9歳のワカメと11歳のカツオが「別々の部屋がいい」なんて言おうものなら、リノベに頭を悩ませることになりそうですが…。それでも、やはり磯野家のような都心に建つ平屋には憧れがあります。

ワカメの寝室 お年頃のワカメちゃんの寝室にはドレッサーを設置しました。(余計なお世話)

とは言いつつも、私は都会に住むなら絶対的にマンション派。気軽に引っ越せる手軽さ、ゴミがいつでも捨てられる便利さ、修繕のタイミングを考える面倒臭さもなく、掃除も楽だし、簡素なご近所づきあいですませられるし、階段の上下移動もない。それに加えて、玄関がひとつだから超安心!怖がりの私にはコレがなによりも大事です。

島根県の山間傾斜地に建つ2階建ての祖母の家は1階がガレージ倉庫、2階が居住スペースになっています。祖父が健在だった頃、そのガレージ倉庫には米袋と収穫した野菜の山、そして古い三菱のジープとTOYOTAのクレスタにHONDAのスーパーカブが1台収められていました。特にエンジンのかからない1960年式のウィルスジープは私にとって格好の遊び場でした。

家の両左右にある玄関は家族用と来客用に分かれていて、どのみち家に入るには玄関までの階段をのぼらなければいけません。幼い頃はその家族用玄関の階段に一人腰掛け、空に浮かぶ雲をぼぉ〜っと眺めては、色々な動物を見つける遊びをしていました。一人で暮らす92歳の祖母が今でもあの階段を荷物を抱えて上り下りしていると思うと、少し不憫な気持ちになります。

祖母の家にはその他にも出入り口が3つあります。台所と風呂場、そして納戸のそれぞれに庭へと続く勝手口があるものですから、いつ誰がどこから入ってくるか分かったものではないのです。毎日15人と会話することを自らに課す祖母にとっては、出入り口が5つもある一軒家は丁度良いのかもしれません。

がやはり、玄関ひとつ、平屋のように家族の気配を感じられるワンフロアの暮らし。祖母のこれからを考え、自分の老後に想いを馳せると、結局はマンションでの暮らしが私の理想です。磯野家とフグ田家が暮らす桜新町界隈であれば、桜新町駅の隣駅、用賀駅から徒歩4分の場所にある22タイプの多彩なプランを取揃える総戸数52戸の「ピアース用賀レジデンス」などが最適です。ワイドスパンな2LDK+W1C、60.13㎡の間取りが特にお気に入りです。

キッチンからの眺め 雰囲気はミッドゼンチュリー。部屋をより広く見せるため、リビングダイニングにはラグを2枚設置しています。リノベーション後の販売価格、上がりますように…。

こんなご時世、次の旅先を探すために世界地図を広げるよりも、国内の販売物件概要と間取り図を眺めてることが、ここ最近の私の楽しみです。


クリス‐ウェブ佳⼦(モデル・コラムニスト)

 1979 年10 ⽉、島根⽣まれ、⼤阪育ち。4 年半にわたるニューヨーク⽣活や国際結婚により、インターナショナルな交友関係を持つ。バイヤー、PR など幅広い職業経験で培われた独⾃のセンスが話題となり、2011 年より雑誌「VERY」専属モデルに。ストレートな物⾔いと広い⾒識で、トークショーやイベント、空間、商品プロデュースの分野でも才覚を発揮する。2017 年にはエッセイ集「考える⼥」(光⽂社刊)、2018 年にはトラベル本「TRIP with KIDS―こありっぷ―」(講談社刊)を発⾏。interFM897 にてラジオDJ としても活動中。

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