爽やかなホテル名に惹かれ、東京が放つ未来のホテルの姿を見ようと立川へ向かいました。都庁のある新宿から中央線でわずか30分弱。立川の駅周辺は、確かに都会的な発展を遂げていますが、駅周辺を離れると、まだまだ緑多い静けさ残す環境にあります。その立川に、2020年6月8日「SORANO HOTEL」という興味深いホテル名を掲げたリゾートホテルが誕生したのです。さらに、‘コンセプト’に「Well-Beingウェルビーイング」と掲げられています。 

そもそも‘ウェルビーイング’とは何を意味するのでしょうか。それは、簡単に言えば「心身ともに健康で幸せな状態」のことであり、ここ「SORANO HOTEL」でも同様に、‘心にも体にも健やかであるライフスタイル’を提案しています。つまり、ホテルに滞在し心も体も解放し、健康で安全で美味しい食事をし、そして自然環境の中で過ごそうというのです。現在、世界中で蔓延する新型コロナ感染症や、日本で頻発する大雨による甚大な被害など、多くの人々が仕事さえままならないことの多い昨今。日常の悲喜交々を背負う現代の私達は、それでも、未来を見つめて希望を持つしかありません。そんな時代だからこそ、一筋の光のように誕生した未来型ホテルのような気がしたのです。

客室のひとつ、ワンちゃんと過ごせる「和モダン」のドッグ・フレンドリールーム。

立川駅からは徒歩8分。360度を見渡せる大きな空も、隣接する国営昭和記念公園も、都心に近いとは思えないのどかな情景を魅せています。それもそのはず、「SORANO HOTEL」が建つ区域は、“空と大地と人がつながる、ウェルビーイングタウン”と掲げて再開発された新街区「GREEN SPRINGS」としてデビューし、約3.9万m2 もの広大な土地の一角にホテルが建っています。新街区には、ホテルの他に、レストラン、カフェ、コンサートホール、ブティック、案内所、美術館、オフィスなどが新設され、無料開放されている自由なオープンスペースもあり、そこではパソコンで仕事をする人も、本を読む人も、ただ休憩する人もいる…そんな羨ましい限りの施設なのです。そしてこの新街区のコンセプトが‘ウェルビーイングタウン’であり、まさにコンプレックス全体がアーバンリゾートとしての機能を備えた未来型の地域でした。

ホテルは高台に建つことでエントランスは2階となり、同階にはロビーを挟むように、左右にラウンジとオールデイダイニング「DAICHINO RESTAURANT」があります。客室は全81室という、プライベート感のあるほどよい規模です。また、リゾートらしく客室は最小で52㎡以上と贅沢な造りで、シンプルでスタイリッシュ、細部にまで上質なマテリアルにこだわりが感じられます。

キチネット付きのステュディオルーム。どの客室も「歯ブラシ」は持参して欲しいと提案、持参しない場合は有料だが上質の歯ブラシを用意。

「JUST SMILE」。歯ブラシは環境にも優しく使い捨てではないものを用意。

メインダイニング「ダイチノレストラン」のテラスエリア。この場ならワンちゃんと一緒に過ごせる。

大人気の「大地のサラダ」は旬の野菜を30種以上も使う、見ても食べても笑顔を呼ぶ贅沢サラダ。

ウェルビーイングと掲げる以上、食事のこだわりも楽しみでした。レストランでは地元の食材にこだわる「適地適作」を柱に、アラカルトでもコースでも選べるディナーを提供しています。朝食は2種、「晴れ(ハレ)の朝食」(Well-being Slow Breakfast)とし小さなポーショが6種のウェルビーイング活性御膳。もう一方は、一汁三菜の健康食「褻(ケ)の朝食」(Well-being Light Breakfast)とし、これも健康的でお薦めです。

ソラノスパに造られたアウトドアのインフィニティプール。長さが60mは、東京随一の長さを誇る。

ソラノルーフトップ・バーからは遠く山並みが見え、ここがホテル内最高のサンセット・ビューポイント。

ソラノスパ(10F、11F)の10Fに造られたナノミストサウナ。同階には水着で入る天然温泉「INDOOR SPA 」もある。

ホテルのコンセプトをディープに感じるのは、やはりSPAの存在でしょう。館内10~11階に造られた「SORANO SPA」は、温浴施設のインドアスパ、ジャクジー、ナノミストサウナ、ジムスタジオなどが備わり、中でも、ルーフトップのインフィニティプールは長さ60mあり、東京では初の醍醐味といいます。この斬新で特異なホテルデザインは、グローバルに活躍するフランス人のグエナエル・ニコラ氏が担当しました。アーバンリゾートとして、そして理想を掲げた「ウェルビーイング」を体感するホテルとして、東京の未来型ホテルの新潮流が生まれたような気がします。

取材・文/せきねきょうこ

Photo: SORANO HOTEL

せきねきょうこ/ホテルジャーナリスト

スイス山岳地での観光局勤務、その後の仏語通訳を経て1994年から現職。世界のホテルや旅館の「環境問題、癒し、もてなし」を主題に現場取材を貫く。スクープも多々、雑誌、新聞、ウェブを中心に連載多数。ホテルのアドバイザー、コンサルタントも。著書多数、現在、新刊出版を準備中。

http://www.kyokosekine.com

SORANO HOTEL

東京都立川市緑町3-1 W1

Tel: 042-540-7777

https://soranohotel.com/

客室数:全81室

室料:¥39,800~(開業記念プラン、1泊1室の室料、最大4名まで宿泊可能、消費税別)

施設:レストラン(含・シェフズテーブル)、ラウンジ、ルーフトップ・バー、スパ

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