「東京ひとりごはん」は、“ひとりでも妥協なし、きちんと美味しいもの”をテーマに、ひとりごはん&お酒の良質な空間を紹介してきました。ですが、今月は番外編として、“お家で楽しむひとりの時間”をテーマにお届けします。
今注目の日本ワインは
家ごはんのお供にもぴったり
Stay Home (ステイホーム)で過ごす毎日にもちょっとした楽しみを見つけたい。たとえば、食事の時間に、今ますます注目を浴びている日本のワインを加えてみるのはどうだろう? そこで、今回は日本ワインのセレクトが秀逸な酒販店『SAKE MIZUHASHI』の店主水橋信也さんに、家でカジュアルに楽しめる日本ワイン5本を紹介してもらった。
「日本ワインは造り手たちの努力もあり、年々品質がアップして
ますます美味しくなっています。
北海道から沖縄まで幅広い地域で造られていますが、
海外のワインと違って、その土地柄を想像しやすいですよね。
そんな親しみやすさが人気の秘密かもしれません。
そして飲んでみると、その土地ならではの風土はもちろん、
造り手がワインに込めた想いや人柄までもが伝わってくるんですよ」
日本ワインの魅力について聞くと、水橋さんはそう教えてくれた。
日本ワインは国産ぶどうを100%使って国内で造られたワインを指す言葉。ちなみに、海外から輸入したぶどうなどを使って国内で造られているワインもあるが、こちらは国産ワインと呼んで区別されている。
日本で育ったぶどうから造られる日本ワインは、同じ日本で育った食材との相性も抜群。外国のワインのように強く主張しない反面、優しいテイストは和食とも馴染みやすく、家飲みワインとしては料理をあまり選ばないのもうれしいところだ。それではさっそく水橋さん推薦の5本をご紹介しよう。
●大分県・安心院葡萄酒工房 「安心院スパークリングワイン」 3500円
大分県北部、霧深い盆地が広がる安心院町にあるワイナリーで造られている。実は麦焼酎「いいちこ」を造る三和酒類株式会社が手がけていると聞けば、その品質にも安心感がある。スパークリングは地元安心院で収穫したシャルドネだけを使い、本格的なシャンパーニュと同じ瓶内二次発酵で丁寧に醸造されている。
安心院葡萄酒工房 http://www.ajimu-winery.co.jp/
「瓶内二次発酵という製法なので泡立ちがきめ細かく、上質な味わいです。爽やかな酸があり、トロピカルフルーツや香ばしいトーストのような香りがあって飲み飽きしません。これからの暑い季節に飲むにもうってつけです。夏はよく冷やしてどうぞ」(水橋さん)
●長野県・ファンキー・シャトー「ソーヴィニヨンブラン 2018」
長野県・千曲川に沿って広がるワインバレーの一端、山に囲まれたのどかな青木村にあるファンキー・シャトー。ワインに魅せられたオーナー夫妻が異業種から転身して立ち上げたワイナリーは、クオリティの高さでワインのプロからも注目されている実力派だ。自然発酵、無濾過、無清澄を基本にすることで、丁寧に自然と向き合いながらワイン造りを行っている。
ファンキー・シャトー http://funkychateau.com
「ファンキー・シャトーは日本ワインの中でもとくに注目されている生産者です。このワインには2つの異なる個性の畑で育ったソーヴィニヨンブランを使っています。爽やかな酸があり、柑橘系の果実とともにナッツ、ほのかにスモークの香りも漂います」(水橋さん)
● 山梨県・勝沼醸造 『アルガブランカ クラレーザ 2018』 2200円
1300年以上という長い歴史を持つ、日本固有のぶどう品種『甲州』にこだわってワイン造りをするのが勝沼醸造。世界的にも高品質の甲州ワインの造り手としてよく知られている。 数ある甲州ワインの中でも『アルガブランカ クラレーザ』は透明感のある穏やかな味わいで、リーズナブルな価格帯でありながらハイクオリティ。
勝沼醸造 https://www.katsunuma-winery.com/
「レモンやグレープフルーツのような柑橘の香りとすっきりした酸味をもつ白ワインです。穏やかな味わいで、味噌、醤油、わさびによく合うので、和食にもぴったり寄り添ってくれます」(水橋さん)
●長野県・リュードヴァン 『ヴァンミニヨン カベルネ 』 2900円
長野県・千曲川に沿って広がるワインバレーの中でもひときわ注目されているワイン産地が東御市。ここには個性的なワイナリーが集まっているが、リュードヴァンもそのひとつ。かつてりんご農園だったという土地にぶどうを植え、荒廃した農地にもう一度命を吹きこもうという試みがなされている。Vin Mignon(ヴァンミニヨン)とは「可愛らしいワイン」という意味で、テーブルワインとして気軽に飲んで欲しいという思いから名付けられた。
リュードヴァン https://ruedevin.jp/
「2018年はボルドーの代表的なワイン用ぶどう品種である、カベルネ・ソーヴィニョンなどが3年ぶりに良い作柄に恵まれました。その年のぶどうを使って、ヴァンミニヨン”シリーズの新作として登場したボルドーブレンドです。軽やかですが、しっかりと飲みごたえもあります。」(水橋さん)
●山梨県・KIZAN WINERY 「KIZAN 赤」 1362円(ワイナリー直売価格)
KIZAN WINERYは自家ぶどう園のぶどうを主体に家族でワインを作る小さなワイナリー。丁寧に作られたワインは驚くほどリーズナブルで、気楽に家で飲めるのがうれしい。このワインに使われているのはブラッククイーンという品種。日本ワインに詳しくなければ、初めて聞く名称かもしれないが、これは日本固有の赤ワイン用ぶどうだ。酸味があるのが特徴で、滑らかなタンニン(渋み)を持つバランスのいい赤ワインになる。
機山洋酒工業株式会社 https://kizan.co.jp/
「いろいろな料理に合わせやすい赤ワインです。トマトの葉やハーブのようなニュアンスがあるので、トマトを使ったパスタにはよく合います。クセのあるラム肉にも合うので、BBQのように肉をシンプルに焼いただけの料理にもいいですね。しょうゆを使った中華風の炒め物もいいですよ」(水橋さん)
手に入らない希少なものから高価なワインまで、今や日本ワインは驚くほどバラエティが豊か。そして多くの生産者が、日常の食卓にワインを届けたいという思いをいだいてカジュアルな価格帯と飲み疲れない味わいのワインを造っている。そんなワインを家で飲みながら、そのワインが生れた土地を想像して、旅する気分を味わってみたい。
SAKE MIZUHASHI
サケ ミズハシ
住所:東京都港区六本木3-3-4
電話:03-5545-5910
営業時間:10:00~19:00
定休日:日曜・祝日
※掲載価格は税込価格です(2020年5月現在)
(取材&文・岡本ジュン)