モリモト代官山オフィスにて11月20日、モリモトSUMAU Presents「自分らしい旅の楽しみ方」トークショーを行いました。インスタグラムでも旅を楽しむ様子をシェアしている大日方久美子さんと、ニューヨーク在住のベイカー恵利沙さん、司会に吉村民さんを迎えた同イベント。旅行でのおすすめの場所はもちろん、おふたりが旅に出る際の心持ちや、生きていくうえで本当に大切なことは何か、という深い話まで、今後の人生をより輝かせるためのヒントが詰まった濃密な時間となりました。


旅先のファッション

お買い物事情

大日方「今回は、事前にたくさんの質問をいただいているので、なるべくお答えしたいなと思っています!」

吉村「では最初の質問です。『おふたりの旅先の選び方を教えていただけますか』?」

大日方「最近は、スポーツ観戦を軸にする事が多いです。昨年、テニスのグランドスラムの決勝戦を観戦したのですが、どこの席からでも観やすく、生の楽しさを実感できました! 今度はLAにバスケを観に行くつもりです」

ベイカー「私は一生のうちになるべく多くの場所に行きたいので、行ったことのない場所に行くようにしていますね。とりあえず、3日休みがあったら飛行機を取るようにしています」

吉村「これまでで、一番良かった旅先はどちらでしたか?」

大日方「旅の目的でそれぞれの場所に良さがあるからどこが一番というのは難しいですね。例えば、自分が一つの価値観にとらわれていて窮屈だと感じるときはニューヨークに行きます。いい意味で、自分の考えが壊されて開放される感じがするんです。文化的に新しい発見や驚きがたくさんあったのはモロッコでした」

ベイカー「私はやっぱり人生で一番影響を受けたのがニューヨークです。仕事で訪れた時に『ここに住みたい』と思って、その1年後に引っ越したんです」

吉村「では続いての質問です。『旅先でおしゃれを楽しみたい半面、荷物が増えてしまうのが困ります。おふたりはどう工夫されていますか?』」

大日方「旅先で何かが足りないとものすごくストレスを感じるので、私は出来る限り持っていく!この前も、7日間でスーツケースを2つ持っていったの。そうしたら荷物が多すぎるって、乗り継ぎで時間がないのに、ぜんぶ荷物をチェックされて(笑)。意外でしょ? 仕事柄、シャツ1枚を着まわして、小さくパッキングして…とか思うじゃないですか。実は全然違うんです(笑)」

吉村「じゃあ、7日間だったら7着持っていくんですか?」

大日方「もっとかなぁ?予定が変わるかもしれないし、急に素敵なレストランを予約できたというときにも対応できるように、靴を最低でも4足は持っていって、それに合わせた洋服も。本当は荷物を少なく、もっとスマートに旅行をしたいんですけどね。逆にみなさんに教えて欲しいくらい!」

ベイカー「インスタをチェックしてくださっている方はご存じかもしれませんが、私は旅行の前日にコーディネートの絵を描くんです。カバンから足まで何を着るかは決めていきます。それでも、どうしても荷物は多くなってしまうんですけどね」

大日方「でも共通しているのは、心のどこかに『足りなければ現地で買えばいい』という逃げ道を持っているところかな?ZARAなどで買い足すこともありますね」

吉村「そうなんですね。『旅先で必ず買うものはありますか』という質問も来ていましたがいかがですか」

ベイカー「私は古着を買います。アメリカやヨーロッパで現地のビンテージを買いますね。あとは蚤の市やフリマを見つけて、変な置物とか雑貨とか(笑)、そこでしか買えないものを必ず買います」

大日方「パリのクリニャンクール(蚤の市)も楽しいよね。私はアメリカ圏に、すごく自分に合う目薬があって、それを20個とか、お店にあるだけ買います。あとは、この前はニューヨークにしかないお店に恵利沙ちゃんに連れて行ってもらったんだよね」

吉村「ショップの名前を教えていただけますか?」

大日方「ザ・フランキー・ショップ(https://thefrankieshop.com)。旬なオリジナル商品とセレクトが置いてあるお店です。オンラインショップから始まって、インスタグラムで人気が出て実店舗を作ったという面白いお店と知って前から気になっていたんです。あとは恵利沙ちゃんおすすめのナンバー・シックスにも行きました」

ベイカー「ナンバー・シックス(https://no6store.com/)も同じようにオリジナルの商品とセレクトが置いてあります。あとは、リフォーメーション(https://www.thereformation.com/)も大好き! そこはニューヨークらしい古着もあってオリジナルも置いてあるようなお店です」


吉村「宿についても質問をいただいていたんですが、ホテルはいつもどうやって決めていますか?」

ベイカー「私はエアビー(Airbnb)派なんです。ホテルに比べると安いし、現地の方がコーディネートしているから本当に暮らしているような感覚になれるんです」

大日方「私もエアビーを利用してブルックリンに泊まったこともあるし、タイムズスクエアまで徒歩5分のザ・観光地に泊まったこともあります。あとはブルックリンでは今のムーブメントを感じるために、注目されているホテルに泊まりました。宿もそうやって目的や一緒に行く人で変えているかも。でも、ニューヨークの場合は友人が住んでいるので、基本的には子供部屋の二段ベッドで小さくなって寝ています(笑)」


ニューヨークで感じた

人々の多様性から得たもの

吉村「旅先の選び方を先ほどお伺いしましたが、タイミングや気持ちなど、旅に出たくなるのはどんなときですか?」

大日方「やっぱり、自分が何か停滞していると感じたときやリフレッシュしたいときかな。最近は1年に1回はニューヨークに行っている気がする。今日いらっしゃっているみなさんのなかにも、同じような方はいますか?」

来場者「私も何かあったら行きたいと思う場所です。『私はここにいていいのか』と迷った時に行くんですけど、休みもなかなか取れないので、そのために普段からマイルを貯めています」

ベイカー「その感覚はすごくわかります。住んでいて、ニューヨークがほかの場所と違うと思うのは多様性ですね。見た目や人種だけじゃなくてジェンダーとか考え方が違う人がたくさんいるのを見るだけで受ける刺激があって。みんな違うから誰とも比べなくていいというのを実感できる場所です」

大日方「今回、私が恵利沙ちゃんにこのイベントに来てほしいって思ったのが、ニューヨークに行った恵利沙ちゃんの発する言葉がポジティブに見えたからなんです。何かを求めて旅に出ても、結局答えは自分の中にあるから、それに気づかずにただ旅に行くだけなら何も変わらない。でも、もし人生を一瞬で変える方法があるとしたら、自分の内側の声に心を向けられるかどうかじゃないかと思っているんです。インスタグラムに書いていた『自分のエナジーも自分を取り巻く環境も自分の機嫌も全て自分でクリエイトする』という恵利沙ちゃんの言葉がすごく素敵だなあって。自分の人生は自分でコントロールしたいからそのためには自分の心の声に正直になるのが大事。そうすると、余計な雑音が聞こえなくなって、自分がどう動いたら良いかにフォーカスできるっていうのは、私自身も感じていることなんです」

ベイカー「さっき久美さんにはお話ししていたんですけど、精神も筋トレと同じで、ちょっとずつ鍛えていくものだと思うんです。まだまだ私も鍛えているところなんですけど、朝起きたときに、『今日は自分の良いエナジーをだれにも邪魔されないぞ!』という決意をするんです。それをとりあえず午前中できたら、午後にまた決意して…と毎日心がけていって。そうしていくと習慣になるので、ちょっとずつ自然にできるようになる。だめだって思うときは、また決意しなおしていくんです」

大日方「本当にそう思う!もしどうしていいかわからないなら、例えば朝7時に必ず起きるとか小さいことでいい。それを365日続けてみると、やり終えた時の達成感が誇りと自信に変わるんです。大げさじゃなくて、前日飲みすぎたとか、だるいとかいろんな誘惑があるなかでやり終えたら、自信がつくと思う!」

吉村「『恵利沙さんの心境を正直に綴っている姿に励まされる』というメッセージもいただいているんですが、なにか今の自分の考えにたどり着くまでに、変わるきっかけってありましたか?」

ベイカー「2年前、スーツケースひとつで泊まる場所も仕事も決めずにとりあえずニューヨークに行こうと思っている、って日本の友達に言うと『仕事どうするの?』『何のために行くの?』とか、答えに困ってしまうようなことをたくさん言われたんですね。でも同じことをアメリカで言ったら、それがニューヨークに来る1番いい方法だってみんな言ってくれて。同じことでも、こんなに捉え方が違うのかってびっくりしました。アメリカの人は結構なんでも、いいね!って言ってくれるんですけど、特に何かしてくれるわけでもないんです。逆に、日本人はきっと心配してくれているんだと思うんですけど、どうせならいいね!って捉えられるといいなと思っていて。アメリカに行ってからは、全部自分でやるしかないとタフになりました」

大日方「ニューヨークに行ったからというわけじゃなくて、恵利沙ちゃんだから変われたんだよね。どこにいても人のせいにする人はするし。人間って明日から変わろうと思ったら変われると思う。明日から7時に起きようって決めたときに、やるかやらないかという小さな選択が大きな違いになっていくんだよね」

吉村「おふたりは生まれながらに恵まれて、小さいころから旅慣れているように見えていました」

大日方「会社員の時は、お金も時間もあまりなかったから、映画をみて本を読んで、旅してた感覚です。自分の感情をどう表現するかを探す旅先が映画や小説、コラム、ドキュメンタリー、音楽だったな。今の心境はこの言葉なんだ!と答えを見つけるのがすごく楽しかった!」

吉村「そんななかで、憧れの場所に行けたな、という旅行はありますか?」

大日方「『ビフォア・サンライズ 恋人までの距離』という映画が大好きなんですが、舞台になっているウィーンに行った時は、聖地巡りをしました。この椅子で写真を撮りたいとか言うと、一緒に行った人はポカーンって感じでしたけど(笑)」

ベイカー「私は大学卒業してすぐ独立したのですがずっと仕事がなくて、なかなか旅行に行けなかったので、そもそも旅行に行くということ自体が憧れでした。自分のお金で好きな場所にいけるっていうのは今でも自分のご褒美になっていますね」

吉村「では、身近なところで国内旅行でおすすめはありますか?」

大日方「恵利沙ちゃんが京都の永観堂の写真をアップしているのを見て、絶対行こうって思って。とても美しい京都の紅葉見ることができました」

ベイカー「私は国内旅行だと修学旅行くらいしか行ったことがありませんでした。今回NYに引っ越してから初めて3週間も日本に帰ってきていたので、いろいろ行ったのですが、印象的だったのは旅館のおもてなし。あの細やかな気遣いは世界のどこにもないから、国内だったら旅館にまた泊まりたいですね」

吉村「今後、国内旅行の予定はありますか?」

大日方「私は来月修善寺に行きます! あと、ワンちゃんOKのキャンピングカーを借りて、キャンプへ行く予定です」

ベイカー「私は金沢でお魚を食べたいな」

大日方「国内だったら何か食べに行くのもいいよね。私はラーメンが大好きなので、若い時には全国色々な所へラーメンを食べに行ったこともありますよ」

吉村「旅先の食事についても質問がたくさんありました。いつもどのように選んでいますか?」

大日方「食通の人のインスタをフォローしています。食通の情熱はファッション通の比じゃないから!タイプの違う3人くらいをフォローしておくと網羅できるかな」

吉村「ニューヨークで1つずつおすすめのレストランを挙げるとしたらどうでしょう?」

ベイカー「実を言うと、 ニューヨーク では生活するのに必死であまり外食はしないんです。ニューヨークって物価がとにかく高いんですよね。でもブルックリンにある『Aurora』というイタリアンレストランは、ご飯が美味しくて大好きです。週末には25ドルでランチコースが食べられるのもとっても嬉しい!」

大日方「25ドルって、ニューヨークの一般的なレストランだと一品の価格だよね」

ベイカー「そうなんです。でも『Aurora』は安いし、周りの雑貨屋さんとかも可愛いからおすすめです」

吉村「そんな価格だとお金持ちしか外食できないのかな、と思ってしまいますね」

大日方「実際そういう一面もあると思います。住むって考えたら、お金があったら楽しめるけど、なかったら大変なことも沢山ある。でも大変でもいいって思える場所でもあるはず!大きな転機を誰にでも掴むチャンスがあって、夢を叶えられる場所なんだなって思ってる」

ベイカー「その通りです。生活は苦しいけど心は豊か。なぜかすごくキラキラしているように思われるんですけど、実際の生活はとても地味ですよ。それ以上にメンタル的に得られるものが多いのが今の生活です」

大日方「レストランの話に戻すとこの前行った『MISI』は、素敵なレストランでした。ニューヨークって人気の場所は全然予約取れないんです。だから事前に予約しておくのがおすすめ!」

吉村「そういうおしゃれな場所って緊張しませんか?」

大日方「英語ができないと恥ずかしいと思ってしまいますよね。アメリカ人はそういう感覚あまりないから、『これ、これ!』とジェスチャーで伝えればOK。あとは翻訳アプリを活用したり、事前にチェックして保存しておいた写真を見せるとか工夫をしたりするのも旅慣れの一つかもしれませんね」

ベイカー「ニューヨークは移民の街なので、英語が母国語じゃない人との会話にも慣れているんです。意外と、ニューヨークがアメリカの中で1番英語を話せなくても相手にしてもらえる場所だと思います」

吉村「最後に、『6歳の娘がおります。 沢山、旅をさせて、国内外様々な人達と交流をさせたいと思います。 お2人が考える、これからの子供達に伝えたい旅の魅力や、海外生活・交流についてお伺いしたいです』というメッセージを頂きました」

大日方「この機会に、ぜひ伝えたいことがあるんです。海外に住んでいる友人の息子は『僕の親友はお父さんが2人なんだ!』とか、『僕の友達は養子で弟はパパとママの子供なんだ』とか当たり前のように言うんですね。その友人が家族旅行で行った沖縄で、ダイビングの申し込みをしたら日本語を話せても名前が外国人だからダメだって断られたそうなんです。それを伝えたら9歳の子が『そのお店の人は本当に大切なことが何かわかってないね、かわいそうな人だね』って言ったんですって。大事なのは、名前や国籍じゃなくてお互いの違いを認め合って、お互いの大切なことを理解することだよって。その感覚って簡単には得られないですよね。でも、旅をすることで違う環境を知ることができる。日本でも自由を感じられる人もいれば、海外でも窮屈な人もいるし。そういうことは色々な経験をすることで実感できることなので、小さな頃からなるべくいろんな人と交流できる場に行って欲しいですね。それは旅行じゃなくても、公園でもそれぞれ個性があると思うので、お散歩とか日々の生活からも色々と感じる力を養ってほしいな」

ベイカー「私は6歳で日本に来たんですが、苗字がカタカナで日本人に見えないので、いろいろと悲しい思いをしたこともあります。誰でも息苦しく感じたりすることもあると思うけど、広い世界にはいろんな考え方があって、いろんな人がいるというのは自分を勇気付けてくれることですよね。自分が今いる場所がすべてじゃなくて、どこかに自分が心地よくいられる場所があると知るだけでも安心できると思います。ちょっと面白い話があって、私エラが張っているんですけど、昔はそれをすごく気にしていたんです。でも、アメリカに行ったらその張ったアゴが素晴らしいって言われたんですよ(笑) 日本だと削る人もいて、小さい顔が人気なんだよって話したら、アメリカの友達みんな目を丸くして驚いていて。アメリカだとアゴを四角くするための手術があるって教えてくれたんです。そのエピソードひとつでも、価値観ってなんなんだろうなって。一つのことに対して真逆の考え方があるって実感すると自分が楽になって、人に対しても優しくなれるんですよね」

大日方「私も、もし現状の場所に苦しんでいる人がいるなら、逃げて欲しいって思うこともあります。仕事でも、我慢してやっと3年というのと、いろいろ吸収しようというポジティブな3年って同じ時間でも価値が違うよね。我慢して苦しくて心が疲れてしまうなら、逃げたっていい。必ず生きやすくなる場所があるはずだから。職場とかママ友とかに意地悪されているとか嫌なことがあるなら、できれば新しい場所にを探してみてほしい。そのための努力は必ず人生の糧になると思うし、自分の場所が見つかった瞬間に、見える景色も、聞こえてくる声も変わる。自分が自由でいられたら幸せに感じることも増えてくる。以前の私は自分の心の声に正直にいられなくて、でもどうしたらいいのかわからず傷つくこともたくさんありました。ちゃんと自分を守ればよかったのに、なんて今までバカなことしてたんだろうって思いましたね。それは旅に出たからじゃなくて日常で向き合ったから気づいたんです。そういったことに気付いていれば、旅先で得られるものはもっと大きくなって、人生そのものも楽しくなるはずです!」

大日方さん、ベイカーさんの熱のこもった話に涙する方も。これから先の生き方も変わるような素敵なトークショーとなりました。

(取材&文・SUMAU編集部 撮影・古本麻由未)

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