東急目黒線の武蔵小山駅と西小山駅と東急東横線の学芸大学駅の中間に位置し、閑静な住宅街が広がる目黒本町。2路線が使えることで渋谷・新宿・東京などの都心の主要駅へも、横浜方面へも好アクセス。エリア内にはどこか懐かしさを感じさせる「平和通り商店街」があり、駅の周辺までセンスあふれる店舗が軒を連ねる商店街が続きます。
そんな目黒本町の一角に2024年3月に移転オープンしたヴィ―ガンレストランPLANT PLANET(プラントプラネット)。唯一無二の空間と味わいを求め、連日全国からファンが訪れます。オーナーシェフであり、アーティストでもある相馬一斗さんに、エリアの魅力、そしてお店について想いをお聞きました。
幅広い世代の人が心地よく暮らすエリア

目黒本町に移転オープンしたのは本当にご縁で。移転先の物件探しに困る中、ちょうどお店を閉める方がいるからご紹介できるかもしれないと、繋いでいただいたのがこの場所でした。
店舗の立地を確認しにきたときにとても過ごしやすそうなエリアだな、という印象を持ちました。近くに清水池公園があるのですが、弁財天様が祀られていて気がいい感じがしますし、自然を感じられる場所があるのはいいですよね。
お店を営む上で魅力に感じたのは、ファミリーや学生、おじいちゃんおばあちゃんまで、かなり幅広い世代、立場の方が住まわれていることです。どんな方にとっても、居心地のいいエリアなのかなと思います。

また、学芸大学駅と武蔵小山駅、2路線を利用できるのも魅力です。学芸大学駅の周辺には、おいしいお店がいっぱいあるんですよ。ナチュールワインとかクラフトビールのお店も多くてふらっと立ち寄りたくなります。商店街が続くので、駅から散策しながら目黒本町まで歩くのも楽しいです。
武蔵小山駅の方では、清水湯によく行きますね。銭湯価格でリーズナブルですが、温泉なのが嬉しいです。学芸大学駅方面にも鷹番の湯という温泉があって、都心で昔ながらの風情のある温泉が楽しめる場所ってそう多くはないですよね。

きちんと美味しいものを作り続ける
お店をスタートしたのは、コロナ禍でした。それまでモデルをしたり、映画を撮ったり、ITベンチャーを起こしたりと様々なビジネスに携わってきましたが、コロナによって色々なことが進まなくなってしまったんです。
そういった流れをなんとか切り替えようと、ファスティングしたのがきっかけになりました。自分の内に取り入れたいものと取り入れたくないものと向き合って、そこから徐々に食生活が切り替わっていったんです。
自炊も続けるうちに料理も楽しくなってきて。気づいたらこのPLANT PLANETを初めていました。

特にカレーとチャイが人気です。チャイひとつにしても、12時間以上かけて煮出すなどきちんと手間をかけて作っています。
ヴィーガン料理と聞くと、どうしてもヘルシーで軽めというイメージが強く、味については期待されていない方もまだ多くいらっしゃいます。
僕としては、食というジャンルとして、“きちんと美味しいもの”をご提供したいという思いが強いんです。その上で、お店に通ううちに「なんだか最近身体が楽になってきたな」とか「実は環境のためにもなっているらしいよ」というのは、押し付けがましくなく、間接的に広がっていったらなと思っています。お店を通して、みんなの風向きがよくなってほしいですね。

僕にとって“美味しいもの”というのは、味覚として美味しくうま味があり、見た目が美しく、食後の余韻も満たされて、そこにきちんと思いとかエネルギーが込められているもの。そのすべてを含んだものを作ることにこだわっています。

ヴィーガンと言っても、例えばお肉の代わりに大豆ミートを使用するという単純な変換ではなく。例えば、人はハンバーグのどういった所に美味しさを感じるのかを考え、まず要素分解しています。香ばしさなのか、ニンニクの香りなのか、ブラックペッパーのスパイシーさなのか。
その上で、素材の旨味や、スパイスなどの組み合わせを考慮しながら、いま自分ができるより美味しいと思える料理をお届けしています。
実は、ヴィーガンとはかけ離れていますが、父方が精肉店で母方は漁師という家系で。昔から肉や魚の味わいには親しんできたので、だからこそ食として素材の善し悪しも分かるのです。
そして、先程お伝えしたように、左脳と右脳を使い分け、絵を描くときと同じように頭の中で味わいを想像して、料理として表現しています。全ての表現は、アートの延長なんです。
料理を一度作ってみて、レシピに置き換えたうえで、次はどうやったらもっと美味しいものを作れるかと試行錯誤してさらに120%いいものを…と繰り返してきました。
みんなで作り上げる空間
料理のクオリティが高いのは大前提として、大切にしているのは、手触りや体温を感じられる店であり続けること。今の時代ってただ美味しいものだったら誰でも作れるんですよね。レシピ動画もいっぱいありますし。その上でなぜお店に行くのかと言えば、その人の作った空間も一緒に味わいたいということが大いにあるなと。食事はすなわち、作り手を食べる行為だと考えています。

店内のインテリアは、フランスアンティークを使って温かくも味わい深く、インダストリアルな雰囲気にしています。普段からInstagramを見てくださっていたファンの方々や、移転前からの常連さんたちと一緒に壁を抜いたり、漆喰作業をしたりしたんです。確かに業者さんに任せたら早いし綺麗かもしれないけれど、それ以上に、想い出がこもっていたり、空間からも手触り感や温かみが感じられたりする場所にしたかったんです。
「みんなで作っていく」ということも大切にしています。知り合いのクリエイターの方を呼んで、みんなが表現できる場としてこの店を使いたいという思いがあるんです。アーティストの方の作品の販売をするなどギャラリーの要素もあります。

お店にはSNSを見て遠方から来てくださる方は結構たくさんいらっしゃるんですが、今後はご近所の皆さんにももっと知っていただきたいですね。地域に馴染みながら長く続けていけたらなと思っています。

PLANT PLANET
住所:〒152-0002 東京都目黒区目黒本町2丁目3‐1 1F
TEL:050-3138-4946
営業時間:月・水 11:00 ~15:00(L.O. 14:30)
木・金・土・日・祝日11:00 ~15:00(L.O. 14:30)、18:00~21:00(L.O. 20:30)
定休日:火曜
Instagram:@veganshop_plantplanet
※金額は税込み、情報は2025年1月取材時のもの

相馬一斗さん
『PLANT PLANE』オーナーシェフ。アートのように料理を創り出すフードアーティスト。菜食レストラン検索サービ『VEGAN MANIA(ヴィーガンマニア)』運営。個展やアートワークショップを開催するなど、アーティストとしても活動している。
Instagram:@kazuto_plantplanet
