アートと音楽、カルチャーを縦横無尽に超えて創作活動を続けているYUUKIさん。2024年3月に活動を終了したCHAIのメンバーとしては、ベースと作詞、アートワークを担当。現在はクリエイターとしてアート作品の制作や作家活動、クリエイティブプロジェクト『YMYM』にて、アパレルやライフスタイルグッズのデザインなど幅広く活躍されています。

今回は、YUUKIさんが主宰する、アートとカルチャーが融合したマーケットイベント「Art Culture Street.」の会場で話をお聞きしました。

作品を生み出すのはすごく難しいけれどそれが面白い

――アート制作をするようになった経緯を教えてください。

小さい時から絵を描くのが大好きで。音楽を聴くことも好きだったけど、プレイしたいとか、ステージに立ちたいとか思ったことはなくて、どちらかというと先に「絵を描きたい」っていう気持ちが強くあったんです。バンド活動の中でジャケットなどのビジュアルで表現する機会があって、初めて人に見せる絵を描きました。そこでやっぱり自分は絵で表現するのが好きだなって改めて思って、制作活動がどんどん発展していった感じですね。

――人に見せる作品と趣味で描いていた作品はどんな違いがありますか?

それまでは好きなものを思いついたときに描くだけでしたが、例えばバンドのために商品のビジュアルを描くとしたら、その内容をよく知って、それを表現するようにします。それとは別に自分の作品を、という場合は完全にゼロから生み出すことになるから、どこまで自分の表現ができるかっていうチャレンジになります。インプットをしていないとアウトプットが湧いてこないので、たくさんの才能ある人たちから刺激を上手に取り入れられたらいいんですけど、「私なんて…」とネガティブな気持ちになるとインプットもできなくなる。そうならないようにインプットしながら、自分の作品を生み出すのはすごく難しいし、できない、苦しいっていう時もあるけど、でも、それが面白いという感覚もあるんです。

――ほかの方の作品以外でインスピレーションはどこから得ていますか?

私は絵より色の組み合わせに先に反応することが多いんです。パッと見て綺麗な色だなって感じてから、よく見たら野菜だったというふうに情報として色が先に入ってきます。だから、街中にあふれている広告だったり、偶然見たお花の色だったりとか、海外の景色だったりとかいろんなところで刺激をもらえますね。

――絵だけではなく、アパレルブランドや音楽制作にも携わられていますが、それぞれの作品づくりで意識されていることはありますか?

服は、着る人の印象になりますよね。絵は誰かの手に渡ってお家に飾られたとしても、それは「私の絵」として残るので、同じ自分の作品でも使われ方が違うと存在の仕方が変わるので、そこは考えて作っていますね。音楽に関しては、今はプレイヤーではなく歌詞を担当していて、人が見せたいテーマを初めにもらって言葉にするので、共作している感じです。誰かがメロディを作って、歌う人はさらに別の人で、私が言葉を書くというものだから、それぞれにリスペクトしあって一つのものを作るのは、また全然違った刺激があります。別々のアウトプットをする中で、絵も音楽もファッションも全部つながっていくのかなと思っています。

集まってくる人同士のつながりを大切にしたい

――「Art Culture Street.」を始めた経緯を教えてください。

クリエイターの友だちとつながりができる中で、「一回みんなで集まってイベントをやってみよう」って。それが5回も続いてきました。開催するたびに出会った人とのつながりを意識してきました。そうしたら、お客さんとして遊びに来た方が素敵だから何かしたいって言ってくれたり、さらにその知り合いの方が出店したいと言ってくれたりとだんだん規模が大きくなってきました。今回は、「未来の交差点(※)」の方と一緒に開催しようということになって、毎回初めてのことばかりでチャレンジする日々ですね。

※未来の交差点…学生・若手クリエイターが世代を超えて出会える場として作品の展示・販売を行うイベント

未来の交差点のようす

――このイベントを続けるうえで大切にしていることはありますか。

「Art Culture Street.」という名前ですが、このイベントの1日がきっかけで、新しい出会いから今後のお仕事につながったり、友達になったり、クリエイターのファンになったり…一回で終わらない“新しい道”になって欲しいなと思っています。クリエイターのファンの方にとっては、クリエイターと会える貴重な場でもあります。そうやって、みんなが集まってくれるから盛り上げたいという気持ちが強くなります。お互いのことを知って、フックしあえる場になったら嬉しいですね。今後もちょっとずつステップアップして規模やクオリティをどんどん上げたいなって思います。

個性的なクリエイターが集まり、それぞれの作品を販売する

 

――ライブペイントも予定されていますが、どんな作品を考えていますか?

私は下描きだけをして、来場者のみなさんにぬり絵感覚で絵を描いてもらって、一つの作品を作るということを考えています。第4回の時にもそうしたら、すごく好評だったんです。普段の生活で、人前で絵を描くことって、ほぼないじゃないですか。人目を意識したうえで描くっていう刺激をみんなが体験できたらいいなと思います。また小さい子どもは大きな作品を描くっていうことが、家ではできないから、それが子どもたちにとってすごく良い体験になったってお話も聞いて。普通に一緒に描ければ楽しいかなっていうくらいの気持ちだったけど、いろんな感想を聞けてやってよかったなって思ったんです。

来場者とともに完成させたペイント

――普段、YUUKIさんはアートをどのように楽しんでいますか?

家にアートがないのが考えられない感じです。作品を飾ることはインプットにもなるし、癒やしにもなるし、安心にもなる。優しいほうからも強いほうからも、いろんな方面から刺激をもらえるのがアートです。アートって、初めて見た時に受けた印象が気分によってまた変わったりもするから、常に近くにあるっていうのが私にとってはすごく大事なんです。

――最後に今後の展望を教えてください。

これまでも、やりたいことを全部やってみるというスタンスだったので、まだ知らないだけで、何かやりたいことがあるんじゃないかと思っています。死ぬまでにもうこれ以上はないってくらいやり尽くしたいので、急に何か始めて、やめて、とコロコロ変わっていくのかな。キャパは変わらないから、入れ替えたり、また復活したりしながら、面白そうなことをどんどん知ってどんどんチャレンジしたいですね。

YUUKIさん

2024年春にバンド活動を終了したCHAIの元メンバー。クリエイティブプロジェクト「YMYM」クリエイティブディレクター、作家、アート制作などマルチに活躍。アートとカルチャーが融合したマーケットイベント「Art Culture Street.」を定期的に主催する。

YMYM公式サイト https://ymym.tokyo/

Instagram @_whoisyuuki_

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