今や、現代フラワーデザインの代名詞ともなっているニコライ・バーグマンさん。その代表作である、シックなボックスに色彩豊かな花々を敷き詰めた「フラワーボックスアレンジメント」は、2000年に誕生し、今年で25周年を迎えます。

この節目となるタイミングでこれまでを振り返り感じていること、そして25周年を記念して開催されるフラワーエキシビション「KUMIAWASE」について話を伺いました。

フラワーボックスから世界が広がった

――フラワーボックスが25周年を迎えました。今、どんなお気持ちですか?

気づけばあっという間の25年。でも振り返ると、本当にたくさんのことを積み重ねてきたと感じます。
多彩なフラワーボックスを生み出してきたのはもちろん、ブランドやキャラクターとのコラボレーションも数多く実現できました。
ひとつのプロダクトが、これほどまでに広がりを持てることに、改めて驚きと感謝を感じています。
人とのつながりも広がり、アーティストとしての活動の幅も大きく広がりました。フラワーボックスがあったからこそ、今の私があると実感しています。

――改めて、フラワーボックス誕生のきっかけを教えてください。

イベントの手土産として花を贈りたいというクライアントから、「会場の都合で重ねて置けるようにしたい」という要望があったんです。
通常の器にアレンジメントを作って箱に入れてみたのですが、予算が合わない。そこで、悩みに悩んだ末に、箱に直接花をアレンジするというアイデアを思いつきました。残念ながら、そのイベントの手土産は採用されなかったのですが、せっかく作ったので、店に並べていました。
そのとき、お客様から「これは何?」「どう使うの?」と、今までにない反応があったんです。
いつものブーケやアレンジメント以上に興味を持っていただけて、「これは商品として喜ばれるかもしれない」と思ったのが始まりです。そうして2000年に、フラワーボックスが誕生しました。

――その後、2001年にショップを立ち上げられました。その時はどんなビジョンをお持ちでしたか?

ショップを持つことは、花を学び始めた頃からの夢でした。
多くの人に花を見せられる“ステージ”を作りたいという想いがずっとあって、それこそひとつの箱(店舗)の中で自分が何を表現できるかを試したかったんです。
素敵なお店を作り、見てもらって、買っていただき、インスピレーションを届ける。
そのコンセプトは今も変わっていません。
ただ、長く続ける中で、以前のように自分が毎日お店に立ち、全てを直接確認することは難しくなりました。だからこそ、自分の目が届かない部分をどう表現に落とし込むか、そこに今の難しさと挑戦があります。

――ずっとお店への思いは変わらないということですが、お店を続けられるうえで大切にしていることは何ですか?

常に完璧な状態でお客様を迎えること。そして、驚きや話題になるようなフラワーデザインを届けることです。
「綺麗だった」「素敵だった」だけでなく、「この色の組み合わせが良かった」「形が印象的だった」と、具体的に記憶に残るような体験をしていただけたら嬉しいですね。
それが、私たちの目指すところです。

――フラワーボックスが25年も愛され続けている理由はどこにあると思いますか?

花を贈るという行為の中に、これまでになかったスタイルを築けたことが大きいと思います。
唯一無二の存在だからこそ、世界中に広がっていった。Instagramでハッシュタグを検索すると、330万件以上の投稿があるんですよ。すごいことだなと感じます。
もちろん、25年前と同じ形ではありません。最初はグリーンの箱でしたが、ブラックに変更したり、紙の質や内側の色も変えたりと、常に理想を追い続けています。
母の日やサマー、クリスマスなど、年に6回はシーズナルの新しいボックスが登場しますし、コラボレーションも含めて、バリエーションは豊富です。
お客様の中には、プリザーブドフラワーのボックスをコレクションしてくださっている方もいて、写真を送っていただくことも。ずらりと並んだ様子は本当に美しくて、そんなふうに大切にしていただけることが何よりの励みです。

――この25年を振り返って、特に印象的なターニングポイントはありますか?

まずは、フラワーボックスの誕生。そして、2010年にフラッグシップストアをオープンしたことです。
南青山という場所で200坪のビルに入るというのは、当時のフラワービジネスとしては大きな挑戦でした。
有名なアパレルブランドならともかく、花屋としては「ここで失敗したら終わりかもしれない」というプレッシャーもありました。
でも連日多くのお客様が来てくださって、今振り返ると本当にチャレンジしてよかったと思います。
そして、毎年がターニングポイント…というほどではありませんが、毎年何かしらの新しい挑戦を続けてきました。
25周年を迎える今年は、東京・原宿のヨドバシJ6ビルで展示会を開催します。シャネルやルイ・ヴィトンなどの名だたるメゾンブランドが展示を行ってきた場所で、私たちが展示をするなんて、誰も想像していなかったと思います。

25周年の展示はこれまでにない規模のコラボレーション

――その25周年のエキシビション「KUMIAWASE」について教えてください。

最初に話した通り、これまでフラワーボックスを通して多くの方に出会いました。その皆さんへの感謝の気持ちと25周年の祝福を兼ねて、180cm四方のフラワーボックスに見立てたステージを25個、会場に並べます。
それぞれのステージで、アーティストやブランド等とコラボレーションします。
例えば、著名な彫刻家・名和晃平さんの鹿の彫刻に私が花を装飾するのがひとつ。
また、ルイスポールセンのランプを置いて、その周りに私が空間を構成。デンマークの陶芸家が制作した25個の器に、私が花を生けるなど、ジャンルも表現も多彩です。
これまで私が手掛けたなかでは最大の規模であり、25組のアーティストやブランドと同時にコラボレーションするのは初めてです。
このような作品作りができるのは、私自身もとても楽しいですし、来場いただく皆さんにも、大きなフラワーボックスそれぞれの世界観の違いを存分に楽しんでいただけると思います。

――展示タイトルを「KUMIAWASE」とした理由を教えてください。

「組み合わせ」という言葉が昔から好きなんです。「わびさび」のように世界に広がっている日本語もありますが、今回はあえてあまり海外で使われていない言葉を選びました。
英語にすると「arrange」と訳せるので、意味も伝わりやすい。
今回のように多くのコラボレーションを行うテーマに、ぴったりの言葉だと思っています。

――今回の展示を通して伝えたいメッセージはどのようなものですか?

次の25年へのステージです。この展示を通して、新しいフラワーボックスの可能性を提示し、次の時代が始まる。見た方が「次はどんなフラワーボックスが生まれるんだろう」とワクワクしてくれたら嬉しいですね。

――30年、40年とこれから先に向けて挑戦したいことはありますか?

花を通してできることに、リミットはないと思っています。花を通して何かを生み出すことに制限がないことを、私自身が体現していきたい。
今、「お花屋さんに何をしに行きますか」と聞くと、ほとんどの人が「ギフトを買う場所」「ブーケを買う場所」と答えるはずです。
洋服のプリントやパッケージデザインに使われる花のことを思い浮かべる人はほとんどいません。
だからこそ、まだまだ可能性がある分野だと思っています。
これから先、フラワービジネスを進化させていくことが、私の役割だと感じています。

ニコライ・バーグマンさん
デンマーク出身。卒業旅行で訪れたことをきっかけに1998年に来日。スカンジナビアスタイルの感性と、日本ならではの繊細な美意識を融合させた独自のスタイルで注目を集める。発案した「フラワーボックス」は革新的なデザインで、フラワーギフトの定番に。フラワーデザインにとどまらず、ファッションやプロダクトデザインの分野でも世界的企業とのコラボレーションを多数手がけ、日本を代表するフラワーアーティストとして活躍。2022年には箱根・強羅に「ニコライ バーグマン 箱根 ガーデンズ」をオープン。

ニコライ バーグマン フラワーズ & デザイン フラッグシップ ストア

住所:東京都港区南青山5-7-2

TEL: 03-5464-0743

営業時間:10:00 ~ 19:00

定休日:不定休

HP:https://www.nicolaibergmann.com/

Instagram:@nicolaibergmann

フラワーボックス誕生25周年アニバーサリー企画

フラワーアーティスト ニコライ・バーグマン フラワーエキシビション

KUMIAWASE – 25年の軌跡を、25のフラワーアートと組み合わせで紡ぐ5日間 –

日時:2025年11月12日(水) – 11月16日(日) 10:00 – 20:00 (最終入場19:30)

場所:東京都渋谷区神宮前6-35-6 ヨドバシJ6ビル

展示内容

生花、ドライフラワー、プリザーブドフラワーなどを使用したフラワーアートを展示。また、フラワーボックスアーカイブの展示、展示会限定のグッズ、そして25年分のフラワーアートをまとめた作品集「KUMIAWASE(組み合わせ)」の予約販売を実施。

HP:https://www.nicolaibergmann.com/flowerbox25th/

  • 前売チケット:大人 ¥800 / 学生 ¥500(中学生以下無料)※販売期間11月11日まで
  • 当日チケット: 大人 ¥1,000 / 学生 ¥800(中学生以下無料)※販売期間11月12日-16日
  • ニコライ・バーグマンと一緒に巡る案内ツアー付きチケット:大人 ¥8,800 ※販売期間11月11日まで

13日(木) 20:00 – 21:00 / 14日(金) 20:00 – 21:00 / 16日(日) 20:00 – 21:00(各日20枚限定)

ニコライ・バーグマン本人が作品の見どころや展示への想いを案内する特別ツアーに参加でき、ブランドの世界観をより深く体感できる。

  • 会場限定プリザーブドフラワーボックス「KUMIAWASE BOX」特典付きチケット:大人 ¥4,900 ※販売期間 11月11日まで

25種類のボックスカラー、25種類の蓋カラー、25種類以上のフラワーデザインの中から、好みの組み合わせを選んで自分だけの特別なボックスを完成させる体験ができる。

展覧会チケット販売サイト

https://cloud-pass.jp/project/25th-kumiawase

Share

LINK

  • ピアース石神井公園
  • ディアナコート永福町翠景
×
ページトップへ ページトップへ