人を家に招いて食卓を囲む。通常は5、6人。時には10人になることも。ここ最近は冬休みで自由三昧な娘たち、そして彼女たちの友人たちと共に夕飯をとることが日常です。昨晩も土鍋一杯に作ったおでんがあっという間にからっぽに。


大変じゃない? 買い出しも、作るのも、片付けるのも。なんてことは全然。ひとりで家にいると、どうしても食事をすっ飛ばしてしまう私にとって、誰かが家にいて一緒に食事をとってくれることはありがたいこと、嬉しいことです。あとは基本、寂しがり屋なので。人を家に招く趣味?と言ったら良いでしょうか。これは実家暮らしの反動かもです。仕事で多忙だった両親が人を家に招くことは稀でしたし、鍵っ子だった妹と私がふたりきりで夕飯をとることが常だった反動なのかもしれません。

それに両親の承諾なしに友だちを家にあげることが御法度だったうえ、私自身、塾や習い事で忙しく、友だちを家に招くことはもちろん、家に泊まってもらうなんてことは夢のまた夢でした。だから「私がお母さんになったら」みたいなところが漠然とあったんだと思います。


たとえば爽やかな朝、リビングの扉を開けると、そこには夜ふかししたであろうグダグダな子どもたちの寝顔が。



たとえば二日酔いの朝、ダイニングルームの引き戸をひくと、そこには想像以上に飲み散らかした痕跡が。



たとえば片付けずに寝た翌朝、キッチンを見渡すと、そこにはどこから手をつけて良いのかすらわからない光景が。



こういう朝の風景。「昨夜は楽しかったんだね」、「昨夜は楽しかったね」という朝の風景がたまらなく好きです。あとは、調理より普通に食器洗いが好き。あのビル・ゲイツ氏もジェフ・ベゾス氏も自宅での食器洗いが好きだと知ったら、食器洗いに興味が湧きませんか?ベゾス氏は2014年のBusiness Insiderのインタビューで「毎晩欠かさず食器洗いをしている。妻が私のことを好きだとより感じられるんだ」と。ゲイツ氏もメリンダ氏とふたり仲良く食器洗いをしていると同誌インタビューで語っていました。その後、お二方とも私と同じく離婚してしまいましたけども!



今年最後の食器洗いは、若者たちと食べる年越し蕎麦のお椀かな。来年最初の食器洗いは、私一人で飲み干すシャンパングラスかな。『徒然のすゝめ』、今回で第10回目をようやく迎えました。来年も楽しみにしていてください。


それではみなさま、佳いお年を!



クリス‐ウェブ佳⼦(モデル・コラムニスト)

1979 年10 ⽉、島根⽣まれ、⼤阪育ち。4 年半にわたるニューヨーク⽣活や国際結婚により、インターナショナルな交友関係を持つ。バイヤー、PR など幅広い職業経験で培われた独⾃のセンスが話題となり、2011 年より雑誌「VERY」専属モデルに。ストレートな物⾔いと広い⾒識で、トークショーやイベント、空間、商品プロデュースの分野でも才覚を発揮する。2017 年にはエッセイ集「考える⼥」(光⽂社刊)、2018 年にはトラベル本「TRIP with KIDS―こありっぷ―」(講談社刊)を発⾏。

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