今の時期、確定申告に頭を悩ませている方は多いのではないでしょうか?
「今年は提出期限の延長はあるのか?」
「コロナに感染してしまった場合はどうすれば良いのか?」
「提出期限内に確定申告ができなかった場合はどうなるのか?」など・・・
今回はこのような疑問について、期限後に申告はできるのか、期限後に申告する場合にペナルティはあるのかを解説していきます。
2021年(令和3年)分の確定申告期間は、2022年2月16日から2022年3月15日までとなっています。
新型コロナウイルス感染拡大の影響で昨年までは2年連続で一律延長してきましたが、今回は見送りとなりました。
提出期限を過ぎてしまった場合でも申告は可能です。
原則として5年間であれば遡って申告することが可能ですが『期限後申告』といった扱いとなりペナルティが課せられます。
但し、払いすぎた税金の還付を受けるための『還付申告』は例外です。この場合は3月15日までという縛りもなく、その還付申告の対象となる年の翌年1月1日から5年以内であれば、いつでも還付申告書を提出することができペナルティもありません。
コロナの影響で期限までの申告が難しい場合、令和3年分の確定申告については令和4年4月15日まで、簡易な方法により期限を延長することが認められます。
簡易な方法による延長申請とは、申告書の余白に『新型コロナウイルスによる申告・納付期限延長申請』と記載するだけです。
この場合、申告期限と納付期限は申告書を提出した日となります。申告書の作成完了だけでなく、納付の準備もできた段階で申告書を提出するようにしてください。
1.無申告加算税
無申告加算税は、期限内に確定申告をしなかったことに対するペナルティです。
・税務署の指摘を受ける前に自主的に期限後申告した場合:納税額の5%
・税務署から指摘を受けた後で期限後申告した場合:納税額のうち50万円までは15%、50万円を超える部分は20%
但し、申告期限後であっても無申告課税が免除される場合もあります。
1. その期限後申告が、法定申告期限から1ヶ月以内に自主的に行われていること。
2. 期限内申告をする意思があったと認められる一定の場合に該当すること。なお、一定の場合とは、次の(1)及び(2)のいずれにも該当する場合をいいます。
(1) その期限後申告に係る納付すべき税額の全額を法定納期限(口座振替納付の手続をした場合は期限後申告書を提出した日)までに納付していること。
(2) その期限後申告書を提出した日の前日から起算して5年前までの間に、無申告加算税又は重加算税を課されたことがなく、かつ、期限内申告をする意思があったと認められる場合の無申告加算税の不適用を受けていないこと。
引用:国税庁「No.2024 確定申告を忘れたとき」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/tebiki/2015/taxanswer/shotoku/2024.htm
2.延滞税
延滞税は、期限内に納税しなかったことに対する遅延利息にあたるペナルティです。
確定申告は申告から納税までを期限内に終える必要があるため、確定申告を正しく期間内に行ったとしても、納税が遅れた場合は延滞税が課されます。納税が遅れた日数に対して延滞税が加算されるため、遅れれば遅れるほど延滞税の割合が高くなるよう設定されています(不正行為などがない通常の修正申告の場合は、法定申告期限から1年より後の期間に対しては遅延日数がカウントされません。)。
原則として、延滞税の最高割合は年14.6%で、非常に高い延滞税の割合が設定されています。
税率はその年の特例基準割合によって変動するため、令和4年中は8.7%となっています。
国税庁のウェブサイトでシミュレーションすることができます。
https://www.nta.go.jp/taxes/nozei/entaizei/keisan/entai_r03nen.htm
デメリットは何か
期限後の申告では無効になってしまう税法上の優遇措置があります。
1. 最大65万円控除の青色申告特別控除
青色申告事業者である場合、青色申告の魅力の一つである最大65万円の青色申告特別控除を受けるためには期限内の申告が要件となっています。
期限後に申告した場合は、控除額が最大10万円まで減額されます。
2.純損失の繰戻し還付
青色申告で前年分については黒字の確定申告が済んでいて、本年分が赤字の純損失になってしまった場合は、前年分の黒字に本年分の赤字をあてがい、前年分の税額から還付を受けることができます。この制度を「純損失の繰戻し還付」といいます。
青色申告特別控除と同様、この制度に関しても期限内申告が要件となっているため、期限後申告では無効になってしまいます。
なお、期限後申告が2年続いた場合、法人であれば青色申告は取消となりますが、個人の場合はその規定はありません。
確定申告書を提出した後で間違いに気付き再度提出したいという場合、まだ提出期間内であれば訂正した申告書をもう一度出せば問題ありません。
提出期限を過ぎてしまっている場合は、別途手続をする必要があります。
税額を実際より多く申告していた場合は『更正の請求書』の提出を、税額を実際より少なく申告していた場合は『修正申告』を行って、確定申告の内容を修正することになります。
更正の請求書は、法定申告期限から5年以内なら提出可能です。
まとめ
確定申告の期間は、原則2月16日~3月15日と決まっていますが還付申告の場合は3月15日を過ぎても問題はありません。
しかし、納めるべき税金があるにも関わらず期限に遅れてしまうと、無申告加算税や延滞税、青色申告特別控除が最大10万円に減額されるといった大きな不利益が発生し、税金を多く納めなくてはいけない場合もあります。
期間を過ぎてしまわないよう、早めの書類提出を心掛けてください。
ブランコンサルティング株式会社CEO
佐原 由起

新卒で会計事務所に就職後、税理士と共に2013年にブランコンサルティング株式会社、及び会計事務所Blanc Tax Spaceを設立。
起業を目指す方や若手経営者に対してお金や税金のアドバイス、マネープランニングを行っている。税務・会計業務以外にも、ブランディングやPRコンサル業務も得意とし、双方をニーズに合わせて提供している。
Instagram: @yuukisahara
(記事監修:Blanc Tax Space代表税理士 宍戸 智之)