夜8時。車で六本木通りを走っていたら、いつもの光景がそこには戻っていて、なんだか嬉しくなりました。10月11日から水際対策の大幅緩和によって一気に増えた外国人観光客。交差点で信号待ちをする人の顔ぶれも、久しぶりに多国籍です。渋谷も品川も虎ノ門も築地も、とにかく東京のどこへ行っても外国人観光客を見かける、懐かしの日々がついに戻ってきました。

だから私もそろそろ…と、Booking.comでお気に入りしたホテルを暇さえあれば眺めています。直近で、どの日程だったら行けるかな?って。

・何もしない贅沢を味わいに行きたいのは、12月に夏期のピークを迎えるタイランド。バンコク市内にある緑豊かな「スコータイホテル」にとりあえずチェックイン。

・いたるところに神々と人々の信仰心を感じられる神聖なバリ島。朝市でエネルギーチャージをして、「ティルタウンプル寺院」で沐浴をして、「星のやバリ」に連泊。

・異国に来た!という感覚が強烈。香りも色彩も人々も強烈なモロッコのマラケシュ。泊まりたいのはまるで宮殿、マラケシュを代表する最高級ホテル「ラマムーニア」一択。

他にも今は寒いから先の希望予定としては、①デンマークのコペンハーゲンでは北欧建築とビブグルマン&ミシュランスターのレストランを巡りたいし、②まだ行ったことのない韓国で、ソウルの広蔵市場で本場の韓国料理をたらふく食べたいし、③円安が進んで現地の物価に驚愕しながらでも、久しぶりに子どもたちと一緒にニューヨークへも行きたい。

つらつらと旅先をリストアップしてみましたが、でも結局今一番行きたいのは島根県。一人暮らしをする祖母に会うため、とにかく島根県へ行きたいのです。ただ、行けない。いや、行けるのですが気軽に会いに行けないのです。母に「疲れさせるから会いに行くな」と念を押されているのです。母曰く、私が来るとなると、きっと祖母のことだから全ての窓ガラスを磨き上げ、冷蔵庫を私の大好物で満たし、天気の良い日には事前に布団を天日干しするはずだと。私が来たら来たで、座ることを忘れたかのように動き回るはずだからと。

会いたくても会えないって一番つらいです。喧嘩して意地を張り続け、本当は会いたいのにそうとは言えない恋人とか。遠征や留学で手元を離れて異国で暮らす我が子とか。単身赴任で遠方に暮らす夫とか。互いにか、片方かが忙しすぎて思うように会えない友人とかね。行きたい場所があるよりも、会いたい人がいる。会いたい人がいるから旅に出る。そんな旅が一番幸せな気がする今日この頃です。

年内に行けるかな〜?行かせてもらえるかな〜?島根県。

クリス‐ウェブ佳⼦(モデル・コラムニスト)

1979 年10 ⽉、島根⽣まれ、⼤阪育ち。4 年半にわたるニューヨーク⽣活や国際結婚により、インターナショナルな交友関係を持つ。バイヤー、PR など幅広い職業経験で培われた独⾃のセンスが話題となり、2011 年より雑誌「VERY」専属モデルに。ストレートな物⾔いと広い⾒識で、トークショーやイベント、空間、商品プロデュースの分野でも才覚を発揮する。2017 年にはエッセイ集「考える⼥」(光⽂社刊)、2018 年にはトラベル本「TRIP with KIDS―こありっぷ―」(講談社刊)を発⾏。

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