1997年に駒沢公園周辺エリアでは飲食店の草分け的な存在となる“東京の食堂”「BOWERY KITCHEN(バワリーキッチン)」をオープンした山本宇一さん。2013年には、同じ通り沿いにコーヒーが楽しめる「PRETTY THINGS(プリティシングス)」もオープンしました。大日方久美子さんは深沢に暮らす前から、バワリーキッチンのファンだったそう。そんなお2人に、改めて深沢・駒沢エリアについて語っていただきました。

前編はこちら「犬たちも私も、小さな幸せを日々感じられる街」大日方久美子さん―深沢エリアの魅力―Vol.01




ドキドキしながら通った

憧れのお店

――お二人の出会いについて教えてください。

大日方さん:駒沢に住んで10年になるんですけど、バワリーは25年という歴史のあるお店なので、もちろんその前から知っていました。初めて来たのは、99年頃だったかな。三軒茶屋に住んでいた友だちにおしゃれなカフェがあるから行こうって誘われて。その頃はまだ千葉に住んでいたんですけど、こんなに素敵なお店があるんだってドキドキしながら行きました。

山本さん:当時はそうやって遠征してくれる人も多くいたからね。

大日方さん:そのあと、何年も経って駒沢に住むようになり、初めて宇一さんとお会いしたのはプリティシングスがオープンしてすぐの頃でした。その頃は宇一さんが毎日のようにプリティシングスに居たので、共通の知人を介して話をするようになったんですよね。

山本さん:プリティシングスは50歳の誕生日の頃に作ったから、もう9年前だね。長い付き合いだね。

大日方さん:それでも、宇一さんの駒沢25年の歴史からすると、たった3分の1ですね。


難しい球を投げても

受け取ってくれる人が暮らす場所

――山本さんがこのエリアにお店を作った理由を教えてください。

山本さん:まず、公園の近くに店をオープンしたいという気持ちがあったんです。公園って老若男女誰でも来る場所じゃないですか。それでこの場所に物件を決めて、銀行の人と見に来たら「ここは全く人が通っていませんね」と言われました。でも、そう話している間にも外車ばかり通るから、住んでいる人は感度が高いと思ったんです。「遊びのわかる人がいるはずだから大丈夫ですよ」と伝えました。

大日方さん:確かに、普通に考えれば駅からは離れていますし、住宅街の真ん中で、何もなければ人は通らないですよね。

山本さん:僕の考えとしては、自分も毎日通う場所だから、店にたどり着くまでが心地よくないといけないという思いもありました。そういう点でもぴったりの場所だったんです。




大日方さん:その銀行の人に言った通り、宇一さんがこの場所を作ったことで、エリア全体に人が集まるようになった、そんなカフェですよね。お店を目指す人たちで、すごい渋滞になっていたこともあったと聞きました。

山本さん:一度、車が並んでいるのを数えたら30台待っていたこともあったね。

大日方さん:当時は深夜までやっているカフェというのもほかになかったですよね。当時は午前4時まででしたっけ?

山本さん:最初は3時までにしてたんだけど、それだと入りきらなくて4時までにしたんだよ。潜在的にそういう場所を求めている人がいたということ。感度の高い人が多い場所だから、こんな難しい変化球を投げても受け取ってくれるんです。なぜなら海外に行っている人や自由業など、新しいものに敏感な人が多いから。海外にはこういう場所があるよね、とすぐに理解してもらえる。

アーティストやクリエイター系の人も多くて、僕らはあえて「アウトロー」って呼んでいるけど、ならず者という意味ではなくて、みんなが求めているものと違う価値を求めている人は、このエリアにぴったりなんじゃないかな。

大日方さん:世間の価値観を基準にしないで、自分の価値観を持っている人が合う街ですね。

山本さん:よく年代で30代、40代って分けることがあるけど、そういう年齢の軸じゃなくて価値の軸で人が集まっている。だからいろんな年代の人が来るんです。

大日方さん:本当に、子どもだけ、恋人同士、親子…といろんな人が来ていますよね。




山本さん:だから、ここにいる人同士が仲良くなるんだよ。この辺は有名人の方も多いけど、オフのモードだからフラットで、隣に座って話ができるんだよね。

大日方さん:長年通っている方も多い印象です。「生まれたときからバワリーに来てました」って人がいま25歳。プリティでアルバイトしている子たちと話すと、やっぱり子どもの頃から親と一緒に通っていたという子がいて。

山本さん:みんな親子連れで来て、その子どもがそのまま通い続けてくれて、ということが多いね。事情があって引っ越してしまう人も当然いるんだけど、大体が戻ってくる。学生時代に来ていた人が、独立して出て行ったとしても、やっぱり本拠地を移しましたって。社会人になってすぐの頃はなかなかお金が無くて住めなくなって、また頑張って生活に余裕が出たら戻ってくるんだよ。居心地がいいんだと思います。それも、住んでいる人たちがこのムードを作っているんじゃないかと。お店も住んでいる人に合わせたものが出来ていくし、結局テンションがそろってくるんです。

大日方さん:テンションが同じというのはわかりますね。常に穏やかで人がいっぱいいるわけでもなく、誰もいないわけでもなく、流行りすたりがない。

そして、犬と一緒に入ることができるから、自然と犬好きな人が集まる。25年前に犬と入れるおしゃれなカフェってほかになかったんじゃないかと思います。

山本さん:実はこちらから「犬OKです」と発信したことはないんですよ。あくまでこのエリアに住んでいる人の生活の中に犬がいるのでそれを受け入れているだけなんです。開店当時、いつも外にワンちゃんをつないで、コーヒーを飲んでるご婦人がいて。犬も飼い主もお互い気にかけながらコーヒーを飲んでいる様子を見て、くつろげないからそれなら店内にいれたらどうですか、というのが始まりだったんです。

大日方さん:それも素敵な話ですね。この地に根付いた場所だからこそできることですね。


――大日方さんはどういうタイミングでバワリーキッチンを利用されていますか?

大日方さん:朝、昼、夜いつでも。本当に1日で朝、昼、夜と来たこともあります(笑)。朝おかゆを食べて、ランチに来て、さらに友だちから「飲まない?」って誘われて。このエリアに住んでいると「バワリー行こうよ」というのが合言葉みたいになってくるんです。朝から夜まで開いているから、どこかに出かけて飲んでいたとしても、「じゃあこの後はバワリーで飲もう、バワリーに帰ろう」、となるんです。

山本さん:僕はずっといるから、わからないけど実際にお客さんに「おかえり」って言うときもあるね。

大日方さん:でも私は、じつはそこまで犬を連れてこないかな。散歩の帰りにちょっと寄ることもあるけど、トリミングの待ち時間とかに一人で来るほうが多いかも。私にとっても生活の一部かな。

山本さん:犬がいて、公園に散歩に来て、そんな毎日を過ごしているうちにこの店も公園も生活の一部になる。そんな暮らしってすごく豊かだよね。


写真左からオムライス¥1,300、グリルチキンゴルゴンゾーラ¥1,500、トマトソースのパスタ¥1,000「特にグリルチキンゴルゴンゾーラ好きすぎて、作る人が変わったときにも気づいたぐらい、よく食べています。オムライスは洋食屋さんにありそうな正統派の味わい。トマトソースのパスタは酸味があまりなく、ガーリックが効いて味に深みがあるんです」(大日方さん)


万願寺唐辛子とラー油チャーハン¥1100「バワリー好きなら一度は食べたことがあるはず! こんなにオシャレなお店なのに、こういうパンチの効いたチャーハンがあるって本当に嬉しいですよね」(大日方さん)


世間の感覚が

この街に合ってきた

――バワリーキッチンのオープンから25年経って感じている街の変化はありますか?

山本さん:街の本質は変わっていないんだけど、これまでの大都会に住むのがかっこいいという価値観から少しずつ変わってきて、もうちょっと穏やかでナチュラルな街がいいというふうになっている今、深沢とか駒沢という街がみなさんの価値観に合ってきているんじゃないかと思いますね。

大日方さん:25年前に人通りが少なかったという話でしたが、お店はほかにもありましたか?




山本さん:大手のチェーン店はあって、先代でいいと気づいてる人はやっぱりいたんだよね。ただ街並みは実は大きく変わってはいないんです。オリンピック公園なんて前回の東京オリンピックからあるわけで。

大日方さん:昭和39年だから、そうですよね。

山本さん:僕の記憶で、父親と二子玉川の高島屋ができたころに駒沢公園の横を車で通ったらホットドッグのスタンドなんかがあって、アメリカみたいだって思ったんです。子ども心にそんな印象が残ったんだよ。

大日方さん:素敵!そういった想い出と、ニューヨークのカフェとかレストランが心に染みついていて、バワリーキッチンができたんですか?

山本さん:そうだね。ロンドンならハイド・パーク、NYならセントラル・パークと、やっぱり公園の近くに良いカフェがあるんだよ。パークシティに住んでいる人は、あんまりがちゃがちゃしてなくて感じがいい印象もあった。

大日方さん:やっぱりそうなんですね。25年前にこんな素敵な場所ってなくて、私からはNYとかカリフォルニアとかの抜け感があるお店に見えました。当時の私は田舎にいた子だから、来るだけでオシャレになった気がして、緊張しちゃって。そんな私が今、朝、昼、夜と恥ずかしげもなく来られるのがなんだか不思議ですね。

山本さん:お店は変わってないから、久美さんが大人になったんだと思うよ。

大日方さん:それができるようになったのが、自分としてもいいなって。一度出て行ってしまった人たちが、また頑張ってこの場所に戻ってくる人がいるっていうのは、私も昔ここに憧れた一人だからすごくわかる気がします。


本日のケーキ¥ASK「アメリカンな雰囲気がかわいいケーキは、見た目が良いだけじゃなくておいしくて手土産にもぴったりです!」(大日方さん)



山本宇一/『BOWERY KITCHEN』のほか、表参道の『Lotus』(2000年)、『montoak』(2001年)を手掛け、”東京カフェブームの草分け”2000年代の東京カフェブームの立役者でもある。



大日方久美子
インスタグラム:@kumi511976




BOWERY KITCHEN

バワリーキッチン

東京都世田谷区駒沢5-18-7

TEL.03-3704-9880

営業時間:11:00~27:00

http://www.heads-west.com/shop/bowery-kitchen.html

■SUMAU読者プレゼント

大日方さんと山本さんが着用しているものと同じTシャツのほか、バワリーキッチン・プリティシングスで販売しているアイテムを計9名様にプレゼントします。

以下のフォームよりご応募ください。

応募フォーム:https://sumau.com/base-form


プリティシングス Tシャツ(Mサイズ)1名様
バワリーキッチンTシャツ(S・Mサイズ)各2名様



プリティシングス マグカップ2名様



WIND AND SEAパーカ(Sサイズ)1名様



WIND AND SEAロングTシャツ(Mサイズ)1名様


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