世界のどこにも負けない美しいサンゴ礁の海と、南の島ならではののんびりとした空気感。これこそが沖縄のリゾートに惹かれる最大の理由であり、世界が注目する日本屈指のリゾート島として誇る由縁でしょう。その沖縄本島の中部、読谷村(よみたんそん)の海岸沿いに、2020年7月1日、「星のや沖縄」がオープンしました。
那覇空港から車で約70分、読谷村の海沿いには沖縄の原風景を残す‘自然海岸’があり、その海岸線に沿うように誕生したリゾートは、沖縄の文化・伝統を随所に配し、ゆったりとラグジュアリーな空間が造られていました。「星のや沖縄」の敷地は約12万5千㎡を有し、海岸線は1㎞にも及ぶと言います。そんなリゾート到着後にまず驚かされるのは、敷地内の様子がうかがえないほど高く目の前に聳える壁でした。リゾートを護るように造られたこの壁は‘グスクウォール’(4.5m)と呼ばれ、リゾートのコンセプトには‘グスクの居館’と掲げられました。
そもそもグスク(城・史跡)とは、沖縄や奄美大島、宮古島、八重山群島で12~16世紀頃に造られた特殊な城を指しており、現在、その多くは遺跡として残り、数はなんと400近くにも及ぶと言われています。さらに、「琉球王国のグスク及び関連遺産群」として、沖縄本島南部に点在するグスク(5か所)は、琉球王国の史跡群で構成されるユネスコの世界遺産(文化遺産・平成12年登録)に登録されています。「星のや沖縄」では、沖縄の歴史の中で育まれたグスクに敬意を払い、また、リゾート内で過ごすゲストに対しては安心して滞在を楽しめるよう、‘護り’の意味を込めたグスクが生まれました。
敷地内には広大な畑が造られ、フルーツやハーブなどが植えられています。同時に緑濃い植物が客室棟を囲むように植えられ、大きなガラス戸の入る客室内も植物によって隠され、プライバシーが守られています。客室はすべてがオーシャンフロントであり、窓からは珊瑚の海が広がりを見せています。客室はタイプの異なる客室もありますが、どのタイプも広く、共通して「土間ダイニング」と呼ぶダイニングルームが客室の中心に造られ、大きなテーブルが用意されています。
家族や友人同士が一堂に集まれるほど、室内の中心を成す「土間ダイニング」では、「ギャザリングサービス」(有料)という、特別なルームサービスを楽しむことができます。テーブルの端には水場も設置されており、予めメニューから選んだ料理の数々をオーダーすれば、丁寧な下準備まで終えて、本格的な料理を客室に届けてくれるのです。この画期的な「ギャザリングサービス」により、時間を気にせず、食べたいときに部屋で食べるプライベートな食事が楽しめるというわけです。実際、運んでもらったアイテムは冷蔵庫に保管され、いざ食べるときには、運ばれた調理器具や備え付けの電子レンジを使い、自身で最後の温めや簡単な仕上げを施せば食事が出来上がります。
一方、メインダイニングは最も自慢のレストランとしてあり、「琉球シチリアーナ」という新しいジャンルのイタリア料理を提供しています。沖縄とシチリアは、気候風土や人々の陽気さ、‘海’が中心のライフスタイルがあり、地域性も食文化も双方が酷似していることから提案されたといいます。シチリア料理で研鑽を積んだ料理長が沖縄の食材を融合させて作る料理は、「星のや沖縄」の魅力として期待されています。
敷地内には、このほかにも、感動の瞬間や遊びの思い出づくりに様々な施設が造られています。夕陽を見るベストスポットの‘サンセットプール’、プールに隣接する‘集いの館’(ラウンジ&ショップ)、空手の特訓や、ぶくぶく茶が振舞われる‘道場’、そして、沖縄随一の大きさを誇る「バンタカフェ」も造られました。バンタカフェは、中央部にメインの「大屋根デッキ」があるほか、サンゴ礁の海を見渡す崖の上から浜辺へと続く敷地内に4つの異なる施設が点在し、巨岩の合間には、休暇らしくゴロゴロと時を過ごすような隠れ家「ガバナ」もあり…すべての施設を利用したいならば、数日間の滞在がお勧めでしょう。
取材・文/せきねきょうこ
Photo: 星のや沖縄
せきねきょうこ/ホテルジャーナリスト
スイス山岳地での観光局勤務、その後の仏語通訳を経て1994年から現職。世界のホテルや旅館の「環境問題、癒し、もてなし」を主題に現場取材を貫く。スクープも多々、雑誌、新聞、ウェブを中心に連載多数。ホテルのアドバイザー、コンサルタントも。著書多数、現在、新刊出版を準備中。
DATA
星のや沖縄
沖縄県中頭郡読谷村儀間474
📞 0570-073-066(9:00-20:00)
https://hoshinoya.com/okinawa/
客室:100室
室料:1泊109,000円+税~(1室、サービス料10%別、食事別)
施設:プール・ライブラリーラウンジ、スパ、メインダイニング、カフェ、グリルレストラン、ショップ、他