仕事が早く終わった日、急に予定が空いた夜はひとりで気ままに過ごすにはいいタイミング。カウンターがあるレストラン、ワインや日本酒の注目店など、今やひとりで行っても十分に楽しいお店は増える一方です。ここでは“ひとりでも妥協なし、きちんと美味しいもの”をテーマに、ひとりごはん&お酒の良質な空間を紹介します。
シードル&ウイスキーが主役のバーを楽しむ
最近は個性的なバーが数多く誕生して、面白いカルチャーを形成している。神田駅にほど近いエクリプス ファーストもそんなニュースタイルバーのひとつだ。この店で、ウイスキーと共にもう一つの主役を担っているのがリンゴのお酒シードル。オーセンティックなバーでは蒸溜酒がメインであるため、醸造酒のシードルをこれほどたくさん取り揃えているのはちょっと珍しい。
そこで、シードルを取り揃えた理由を店主の藤井達郎さんに聞いてみた。
「ウイスキーを知るためにイギリスに通ううちにパブが好きになりました。
イギリスのパブでは、ビール、ウイスキー、シードルなど様々なお酒を扱っているんです。
そこで自然に自分の店でもシードルなども扱いたいと思っていました」
主力はやはりウイスキーで、とくに世界的な人気を誇る日本のウイスキー、イチローズモルトが充実している。さらにスコッチ、バーボンに加えてインドやイスラエル、台湾など世界のウイスキーも揃っている。
シードルは、フランスのノルマンディはもちろん、スペイン、アメリカ、イギリス、日本と様々な生産地のものがあり、日本にはほとんど輸入されていない希少なものまで。産地に直に赴いて選んだものがほとんどというから、藤井さんのシードル愛はかなり深い。そしてもちろん、グラスで気軽に飲めるのもうれしい。
藤井さんがお酒を選ぶ上で大切にしているのは、その1本が生れるまでの物語だという。生産者と出会ってその背景を知り、感銘を受けたお酒を中心に選んできた。その物語を聞きながら、ゆったりとお酒を味わえるのもこの店ならではの魅力となっている。
今回はそんな藤井さんに、夏に飲みたいウイスキーのおすすめカクテルを紹介してもらい、家で作れるレシピも伝授してもらった。
ハイボールにはオレンジを浮かべて
シュワっとしたソーダが清々しいハイボールは夏にぴったり。今回はオレンジを使ってさらに夏らしい香りを演出。ベースのウイスキーは、アランモルトのように軽い味わいのものが最適という。ソーダ3に対してウイスキー1の割合が基本だが、昼間に飲むならもう少し薄めに作るとより軽やかに味わえるそう。
オレンジハイボール
〇作り方
シングルモルトウイスキー(アランモルト10年) 30ml
ソーダ 90ml
オレンジの皮 適量
氷 適量
1.グラスに氷を入れて軽く混ぜる。
2.ウイスキー、ソーダの順に注いで軽く混ぜる。
3.オレンジの皮をグラスの上で絞って香りをつけ、グラスに浮かべる。
昼飲みで楽しむ社交場のカクテル!
ミントジュレップは、アメリカ・ケンタッキー州ルイビルで行われるケンタッキーダービーのオフォシャルカクテル。ソーダの代わりに水を入れるレシピもあるが、夏はソーダで爽やかに仕上げるといいとか。べースのウイスキーはストレートから水割りまで美味しく飲める万能バーボン、メーカーズマークで。
ミントジュレップ
〇作り方
バーボンウイスキー(メーカーズマーク)30ml
ガムシロップ 5ml
ソーダ 15ml
ミント、氷 適量
1.グラスにミントを入れて、マドラーまたはスプーンなどで軽くたたく。
2.氷、ガムシロップ、ウイスキー、ソーダを加えて軽く混ぜる。
真夏の夜のナイトキャップ
暑い夏の夜、寝る前のリラックスタイムにおすすめのカクテルは、甘さが優しいラスティネイル。モルト・ウィスキーをベースにしたリキュール、ドランブイを使うので、ハーブやスパイスの香りに癒される。ドランブイが手に入らなければグランマルニエで代用しても美味しくできるそうだ。ベースはバランスのいいブレンデッドウイスキーがおすすめ。
ラスティネイル
〇作り方
ブレンデッドウイスキー(シーバスリーガル) 40ml
ドランブイ 20ml
氷 適量
1.グラスに氷を入れて軽く混ぜる。
2.ウイスキー、ドランブイを加えて軽く混ぜる。
生ハム 1200円
藤井さんの地元・群馬県にある育風堂の生ハム。部位の違う部分を盛り合わせに。
寒い季節のお酒のように思われがちなウイスキーだが、ハイボールをはじめ、夏にぴったりのカクテルも多い。涼感を呼ぶウイスキーカクテルは難しくないので、バーで味わうだけでなく、家でも作って一人の時間を楽しんでみたい。
バー&シードレリア エクリプス ファースト
住所:東京都千代田区鍛冶町2-7-10 廣瀬ビル1F
電話:03-3525-8653
営業時間:15:00~24:00(料理LO22:30/ドリンクLO23:30)
定休日:日曜
※掲載価格は税別価格です(2020年7月現在)
(取材&文・岡本ジュン 撮影・貝塚隆)