鹿児島空港からわずか15分から20分、自然が残る山間の一角に、「天空の森」という名の唯一無二のリゾートがあります。アクセスの良さにも関わらず、リゾートに足を一歩踏み入れると、‘秘境’‘桃源郷’という形容詞以外は思いつかないほど、まさに別世界が広がっています。
広さは約18万坪。（東京ドーム13個分という想像もつかない広さです）。とにかく敷地内には山が連なり、渓流（天降川支流、石坂川）が流れ、段々畑やハーブ園など自家菜園も作られ…自然を生かした贅沢が残されています。ここでは広大な山の頂を利用して、1棟ずつが離れているために隣との囲いも必要ありません。ヴィラ施設にはすべてに南きりしま温泉という天然温泉が引かれ、全5棟の異なるヴィラが、それぞれに山の頂を利用して建てられています。ヴィラに滞在すれば、贅沢にも山を独占してるような環境にあるのです。プライベートなヴィラからはそれぞれに眺める景色も違い、また、ヴィラのデザインやインテリアもすべてが異なり、どこに滞在しても自然との一体感は半端ではありません。
私が初めてこのヴィラを訪れたのは、2014年のこと。その後、2度も訪れていますが、その度に何かしら新しい施設が増え、さらに、「今度はここをXXXしようと考えているんです」と、オーナーからは、その都度、アイデアを聞かされました。創業は1970年と公開されていますが、それ以後も、次々に手作りの施設が新設され今に至っています。
夢のようなこのリゾートは、オーナーであり運営者でもある代表者の田島健夫氏が、1992年（平成4年）に3万坪の山を購入したことに端を発しています。自らチェーンソーを手に竹を1本1本切り倒し、木々を伐採し、植林をしながら道を整備し、水道や電気を通し、南きりしま温泉を引いたと言います。地域の人の支えを受けながらも、たった一人で山を開墾し、広大な土地のすべての施設を、なんと現在までに25年もかけて造り続けています。
恐らく、時を経た今も尚、‘何か’を追求しながら、少しずつリゾートに変化をもたらしているのではないかと想像しています。それにしても、田島氏の実行力にも体力にも圧倒されますが、同時に、リゾートへの‘美意識’には感服するばかりです。
HPには、以下のように紹介されています。「70年に懐かしいふるさとを再現した｢忘れの里 雅叙苑｣（https://gajoen.jp/）を創業。94年より竹山を開墾し、2004年霧島連峰を見渡す丘の頂に、豊かな自然の中で五感を開放するリゾート｢天空の森｣をオープンする。｢リゾートとは人間性回復産業である｣を信条とし、南九州の素晴らしさを伝えながら、常識では考えつかない、非常識なラグジュアリー体験を追求している」と。
食事にもおおいにこだわり田島氏の哲学が貫かれています。食材の9割が自家農園＆菜園からやってくるオーガニック野菜というから凄い自給率です。近隣の「にわとり牧場」からは卵や食用地鶏を仕入れ、大隅産牛やサツマイモ、鮎など季節感の旬を味わう料理も楽しみです。生命力、活力溢れる食材から作る料理は美しく季節感に溢れ、また鹿児島の滋味深い郷土料理も楽しめます。霧島連山を見渡せる絶景の「天空の森」は、現在、世界の高級ホテルや一流レストランが名を連ねるフランスの「ルレ・エ・シャトー」のメンバーでもあります。
文／せきねきょうこ
Photo:TENKU
せきねきょうこ／ホテルジャーナリスト
スイス山岳地での観光局勤務、その後の仏語通訳を経て1994年から現職。世界のホテルや旅館の「環境問題、癒し、もてなし」を主題に現場取材を貫く。スクープも多々、雑誌、新聞､ウェブを中心に連載多数。ホテルのアドバイザー、コンサルタントも。著書多数、現在、新刊出版を準備中。
住所：鹿児島県霧島市牧園町宿窪田市来迫3389
Tel: 0995-76-0777
客室数：全5棟
ヴィラ：天空、茜さす丘、霖雨の森、花散る里、ツバメの巣（日帰り専用）
料金：30万円～50万円（2名1棟、2食付き1泊料金、露天温泉付き）
施設：ダイニングルーム、天空のスパ、山や渓流を利了するアクティビティ
アクティビティ：山や渓流での食事やイベント、チャーター機での空中遊覧、散策、森の水辺に建設中「ブーアの森」(休憩所)での滞在
