早いもので「アマン東京」は、昨年の12月に開業5周年を迎えました。世界的なリゾートブランドとして知られる‘アマン’が、27軒目にして初の大掛かりな都市型ホテルとしてオープンしたのが2014年12月22日。ちょうど、世間がクリスマスを迎えようと賑わう時期でした。‘アマン東京’開業に際しては、政財界も含め、多くのセレブリティや華やかに活躍する人々、アマンジャンキーらが集い、身動きもできないほどの開業ガラパーティーが進行したのを思い出します。密やかな隠れ家的リゾートとしてあったかつてのアマンは、この時から大きく舵を切り替え、輝かしい‘未来’へと進み続けています。
新しいアマンには、新しいタイプの根強いファンが生まれています。オープン時からはしばらく静かだったラウンジやレストランは、徐々にその存在感が知れると、予約の取れ難い人気を得て今に至っています。また、メインダイニングは世界のアマン共通のイタリア料理「Arva」と名を変え、総料理長も変わり、独自の感性を活かした北イタリア中心の料理を提供し大好評です。最近では洗練さに磨きがかかり、いつ食べても美味しいメニューに「食事をすることの喜び」さえ感じるほどです。
ウェルネスもまた進化を見せています。2フロア、2500㎡ものスペースを贅沢に使うウェルネス施設は、30mのプール、温浴施設、そして、日本古来の健康法である生薬療法や「禅」の哲学、「坐禅」を通しシーズナルジャーニーをはじめ、数々のカスタマイズされるトリートメントが用意されています。
開業5年を想うと、長いことアマンに寄り添ってきた私は、熱いものがこみ上げてきます。様々な変化を見せているアマン東京で、最も多くの人に、具体的に歓びを提供しているレストラン「Arva」の総料理長に話を聞きました。
総料理長は1976年生まれの平木正和氏。1999年にイタリアへ渡って以来、様々なイタリアの街や村で実のある研鑽を積んだと言います。アマン東京の彼のプロフィールにはこう記されています。「北から南まで数年かけて各地の様々なリストランテや家庭料理で修業後、ベネツィアの5つ星ホテル「ザ・バウアーホテル」に13年勤務。2016年に帰国し、「アマン東京」メインレストランの料理長となる。2018年に総料理長となり、イタリアンレストランを「Arva」にリニューアル。「料理はシンプルに作りたい、そこに遊び心も必要です」と。何を選んでも美味しい料理に大満足ですが、平木氏の流儀は、「もっとリラックスして食事を楽しんで欲しい」と願っています。
現在は、知らない食材や気になる食材を深く知り、新しい食材にも出会いたいと、全国の農家や生産者を自分の足で訪ね歩いていることが楽しいと言います。「関東近郊も行きますが、北海道や鹿児島など、いろいろなところで有機農法の農業家や酪農家に話を聞いています。料理業界自体を発展させてもらえるよう、若い料理人にもこの意思を伝えていきたいですね」と未来を語っています。今、アマン東京のレストラン「Arva」は、毎日、ゲストの笑顔で活気に満ちています。
文/せきねきょうこ
Photo:Aman Tokyo
せきねきょうこ/ホテルジャーナリスト
スイス山岳地での観光局勤務、その後の仏語通訳を経て1994年から現職。世界のホテルや旅館の「環境問題、癒し、もてなし」を主題に現場取材を貫く。スクープも多々、雑誌、新聞、ウェブを中心に連載多数。ホテルのアドバイザー、コンサルタントも。著書多数、現在、新刊出版を準備中。
アマン東京(AMAN TOKYO)
東京都千代田区大手町1-5-6 大手町タワー
TEL:03 ‐ 5224 ‐ 3333
https://www.aman.com/ja-jp/resorts/aman-tokyo
客室数:84室
料金: デラックスルーム90,000円(税・サ別)~