仕事が早く終わった日、急に予定が空いた夜はひとりで気ままに過ごすにはいいタイミング。カウンターがあるレストラン、ワインや日本酒の注目店など、今やひとりで行っても十分に楽しいお店は増える一方です。ここでは“ひとりでも妥協なし、きちんと美味しいもの”をテーマに、ひとりごはん&お酒の良質な空間を紹介します。


ワインを買って、飲んで
美味しい料理で大満足

ひとりでも気楽にワインを飲みたいけれど、ワインバーに“おひとりさま”で入るのはちょっとハードルが高い。ワインに詳しくなければなおさらドアを開ける勇気は湧いてこない。
そんな人でもフラリと立ちよれそうなのがここ『ペロウ』。

三軒茶屋の人気店「ブリッカ」が手掛けるワインショップ&スタンドだ。ガラス張りなので店内がよく見渡せ、すっきりした空間に温かみのある家具が心地よい雰囲気を作っている。

立ち飲みスペースとテーブル席が用意されている。


初心者にとって何より好都合なのはワインリストがないこと。「メニューがないとどうやって選ぶの?」と心配かもしれないけれど、20種類ほどのグラスワインから店長の森田雅人さんと相談しながら選ぶのが『ペロウ』のスタイル。迷ったら(なんなら初めから)“おまかせ”のひと言でも大丈夫!

他ではグラスであまり飲めない銘柄もここではグラスで提供する。
店の奥はウォークインセラーになっていて、中にはナチュールワインがズラリ。

ワインのセレクトが秀逸と評判の『ブリッカ』だけに、『ペロウ』のワインもかなり攻めている。ワイン好きが今飲みたいと思う銘柄が並んでいるのだ。でもウンチクは後回し、それをさらりと飲ませてくれるところがまたうれしい。

ワイン初心者には「このワインはどこで買えるの?」というお悩みもつきものだ。『ペロウ』はワインショップでもあるため、奥のウォークインセラーからお気に入りを即購入できるのも強みだ。

ラディコン リボッラ・ジャッラ1200円
自家製アンチョビと水牛のバターのクロスティーニ600円
自家製パンに、4年間熟成させたアンチョビと水牛バターを乗せて。アンチョビの塩気や旨み、バターのコクとドライでほのかな苦みのあるワインがよく合う。


フードはチーズや生ハムといった気軽なおつまみと日替わりの「ブリッカのお惣菜」が2種類。リストランテ出身の『ブリッカ』金田シェフの手による、シンプルにしてハイクオリティなブリッカの料理とワインの相性は抜群にいい。

ダニエーレ・ピッチニン アリオーネ 900円
お野菜の盛り合わせ 800円
3種類の野菜は、なすのパテ、揚げなす・トマト・ケイパーのマリネ、パプリカムースとなすのタルタル。優しい味わいの野菜料理は寝かせて深みを増したスプマンテと。


「最初の一杯は、シンプルに“美味しい”と思えるワインを飲んで欲しいんです」。
冷蔵庫から出したばかりの冷えたスプマンテをグラスに注ぎながら、森田さんが朗らかに話し出す。
注いだのは店のセラーで1年間寝かせて味を整えたというイタリアのスプマンテ(スパークリングワイン)だ。酸がシャープでキリリとした印象のスプマンテが、一年という時間を経て、味は丸く整い、色もほんのり濃くなって麦わら色に輝いている。

ハンドドリップでリズミカルに淹れるコーヒーもおすすめ。ワインのアフターにもいいし、もちろんコーヒーだけでもOK。
熱い季節にぴったりのアイスコーヒーは山盛りの氷を入れて。澄んだ味わいのまろやかなアイスコーヒーだ。600円


グラスワインは注ぐ量もフレキシブル。少しずついろいろ飲みたいというわがままも聞いてくれるし、たくさん飲みたい人にはそれなりにたっぷりと。
ワインの後は『Mui』のコーヒー豆を挽いて淹れたハンドドリップのコーヒーを飲む人も多いとか。この季節はガツンと氷を入れたアイスコーヒーで、ワインの余韻をクールダウンするのもおすすめ。

イタリアのヴィネリアでも働いた経験のある森田さんがワインをナビゲートする。

森田さんのサービスには、ワインを楽しんでもらうこと、その魅力をより知ってもらいたいという思いが込められている。イタリアでも飲食店やワイナリーで働いた経験があり、その時代に肌で感じた、イタリア人がワインを謳歌するスピリットをこの店から発信できればという。

ひとりワインの入門編としてぴったりの『ペロウ』。家に帰る途中の一杯のブレイクワインはここから初めてみては。

取材&文・岡本ジュン 撮影・マツナガナオコ
Però

ペロウ
東京都世田谷区三軒茶屋1-40-11 B1
TEL/03-5432-9784
営業時間/17:00~24:00 土曜日15:00~24:00 日曜日15:00~21:00
定休日/月曜日・不定休

※掲載価格は税込み価格です(2019年7月現在)

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