分譲でマンションに住む白澤さんと、購入を検討中の大日方さん。仕事仲間でもある2人が、自らの経験をもとに、家のことや人生プランについて本音でぶつかります。今回は、FPの田中さんを交え、女性が家を買うことについて話し合いました。




ナビゲーター 白澤貴子さん



19歳からファッション雑誌の制作に携わり、現在はVERYをはじめとした雑誌やウェブ、女性を題材としたコラムやショートストーリーなどを執筆する他、広告のディレクション、人気ブランドのブランディング、アドバイザーなども精力的に行う。近年、家族の住まいとしてヴィンテージマンションをフルリノベーション。細部までコーディネートした家はその妥協のないこだわりが話題となり、各メディアで取り上げられている。

Instagram:@takakoshirasawa




アンバサダー 大日方久美子さん



アパレル販売の経験を経て2013年よりパーソナルスタイリストとして独立。独立後に始めたインスタグラムでは、服の値段にかかわらずエレガントでスタイリッシュな着こなしを提案し7万5千人のフォロワーを持つ。現在はアパレルブランドのWEBページのスタイリングやモデル、イベント企画なども行っている。2016年4月には初となる著書『“エレガント”から作る大人シンプルスタイル』を発売。

Instagram:@kumi511976




株式会社アルファ・ファイナンシャルプランナーズ代表取締役
田中佑輝さん



1982年6月21日生まれ。アジア金融の中心地であるシンガポールに10年間滞在。その後、外資系銀行で資産運用アドバイザーとして、金融資産運用相談、日興コーディアル証券仲介業務、マネジャー、行員向け経済学講師を経て独立。フジテレビ、テレビ朝日、ラジオ日経などでメディアにも多数出演しながら、経営面でも金融、不動産、コンサルティングのグループ会社を経営し業界の裏側も知り尽くした情報収集力が持ち味。自身でも金融商品もさることながら、不動産物件を8部屋所有し、実践的な資産運用の提案に努めている。




家を購入することが
自分の安心にもつながる



白澤「男性なら人生プランのなかに家の購入というのが組み込まれている人も多いと思いますが、女性ではあまりないですよね。女性にとって家を買うのは一大事。価格が大きいというのもあるし…。私の場合は、結婚したときにすでに主人がマンションを購入していたんです。移り住むときには売って買って…と。こういうやりかたもあるんだな、と知ったからそれが普通に思えているけど、一般的に考えたら踏み切るきっかけってないですよね」



大日方「そうそう。でもね、白澤さんから、家を売って買って…その繰り返しの18年間家賃は実質0円だったって聞いて『ウソでしょ!』って。思い返すと私は1人暮らしを始めたころから12年間、家賃を払い続けてきたんです。計算したら何千万も払い続けてきたって気づいて。これは購入を本気で考えたいって」



白澤「主人は私と結婚する前の30歳前後に買ったほうがお得だよって、周囲から聞いて買っていたんです。それがたまたま人気エリアの物件で、9年間住んでも、プラス1000万円で売れて。そのあとはもちろん、マイナスになったこともありますが、その繰り返しで、計算したら結果的には±0だったんです」



大日方「私もシングルだったときに購入したほうがいいと知っていればよかった…と。その後悔をいまからでも取り返したい! まず、買う時にどれだけお金があればいいのかローンを組むってどういうことか、そういう単純なところから知りたいです」



田中「購入したほうが得だという話を聞くと『それってお金があるからでしょう』と思ってしまいますが、決してそういうわけじゃないんです。住宅ローンの金利が低い今は、頭金を入れないほうが得ですし、最近は20代で買う方も、女性の方も多いですよ」




白澤「知らないと、頭金を入れないと買えないと思ってしまいますよね」



田中「約30年前のバブルの頃は、物価が高い分住宅ローンの金利も高くて、利子が今では考えられないくらい高額でしたので頭金がなければ家が買えない時代でした。今はそんな時代ではありませんから、物件にもよりますが年収が4~500万円あればそれなりの物件が買えると思っていただいて大丈夫です」



大日方「そうなんですね! 今どきの働く女性なら手が届きそうですね。頑張って働いている女性にこそ、このことを知ってもらいたいです」



田中「今の女性に多いのは『結婚をしてないのにマンションを持っているのって周囲からどう思われるだろう』という相談ですね」



白澤「マンションを買ったら『一生独身宣言』みたいな考えってどこから生まれたんだろう」



大日方「シングルで犬を飼ったら結婚できないとかね(笑)。そんなのもはや都市伝説じゃないか、と」



田中「そうですね。むしろ持っていたほうが、結婚したときに得なんです」



白澤「シングルのときに買っておいて、結婚してもっと広い家に住みたいなって思ったら、そのときに貸し出したり売ったりすれば新生活の足しになりますし、選択肢が増えますよね」




都心の人気エリアで買うなら
ローンは怖くない



田中「結婚や出産などライフスタイルの変化が大きい女性にこそ、購入した家が自分の資産になるという感覚を持ってほしいです。シングルの方で、結婚の予定があってもなくても賃貸に住んでいる方は、家賃を払い続けますよね。頑張って家賃を払い続けても自分の手元には何も残りませんが、家賃と同額のローンを払ってマンションを購入すれば、それは自分の資産として手元に残るんです。もちろん、それぞれのライフスタイルがありますので絶対に賃貸より購入がいい、というわけではないですよ」



大日方「なるほど。じゃあ、たとえば月15万円の家賃と月15万円のローンの支払いの違いはどこでしょうか? 同じ金額でもローンは何千万もの借金を背負うことになるので、怖いと感じてしまうんですが…」




田中「怖くないですよ。ローン=借金ではなく資産につながるものなので、目的が違います。将来的に資産になるからこそ、貯金ができない人ほどローンを組んで家を買った方が良いとも言えますね。10年たてば、ローン残高に対して3割近くは支払い終えています。もし支払いが不安になったら、売るという選択肢もありますよ」



大日方「私のように何も知らなくても、売ったり貸したりするのは、誰かにお願いできるんでしょうか?」



田中「だいたいは、マンションを買った会社にお任せすれば大丈夫です。自社で売った家を低く売ったら自社ブランドを低くさせることになりますから」



白澤「我が家は運よく大きな損はしていないのですが、売れないことや、二束三文になってしまうということはないですか?」



田中「都内の人気エリアなら、常識の範囲内の価格で売れますよ。たとえば、青山で1000万円のマンションがあっても、怪しくて買いませんよね。安すぎるとかえって売れないものです。相場の波もありますが、10年も経てばローンに追われるということはないと思っていいくらいです」



白澤「東京近郊であれば大丈夫ですか?」



田中「そうですね、アクセスが確立されていれば埼玉や神奈川でも大丈夫です。見極めは難しいですが、説明しないと場所が伝わらないようなエリアでなければ大丈夫かと思います」




これからの人生を
楽しむための選択を



大日方「いろいろとお話を聞いて、賃貸で家賃を払い続けても何も残らないけど、購入してローンを払えば大きな資産が家として残るということがよくわかりました。一生懸命働いてきた女性で、家賃を払い続けている人がいるなら、買うことも選択肢のひとつだよって言ってあげたいです」



田中「いま、人生100年時代と言われていますよね。老後ずっと賃貸で家賃を払い続ける方が不安だと思いませんか? 毎月7万円でもずっと払ってたら莫大な額になりますよね」



白澤「まず、お金があったとしても、年を取ると家を貸してもらえないと聞きます。働いていても、長期的な補償って今の時代にないから、何かあったときの備えとして家があるというのは何よりも安心ですよね。購入した立場からも人生を楽しみたいなら、やっぱり家を購入した方がいい気がします」



大日方「確かに。私がリアルに老後を考えると、まだ動けるうちは田舎の広い家に住んでもいいと思うけど、老後は都心に住みたいんです。病院や友人の家が近くにあってほしいって思うから。だから、がんばって収入があるうちに繰り上げ返済して自分の家として持っておく。仕事をしているうちは都心の拠点として利用して、老後はそこに移り住んでもいいなって」



田中「その考え方はすごくいいと思います」



白澤「(大日方)久美さん、買う気満々になってるね(笑)」



大日方「うん、もう今すぐ物件探しに行きたいくらい!」


(取材&文・SUMAU編集部 撮影・川野結李歌)

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