家の購入を検討しながらも、最後の決め手が見つからずにいるという小松あやさん。今回は、ファイナンシャル・アドバイザーである鈴木千尋さんを迎えて、購入のタイミングから、価値の下がらない家探し、家の購入にまつわることを色々とお伺いしました!

家探しから引き渡しまで
どのくらいの期間がかかる?


小松「結婚5年目で賃貸マンションで暮らしているのですが、購入を検討しています。中央区というのは決まっていて内見や説明会に参加したんですけど、まだ決められない状態で…。家探しから引き渡しまで、どのくらいのスケジュールで考えていればいいんでしょうか」

鈴木「ざっくりとした流れとしては、いいなと思う家が見つかったら、ローンの仮審査を受けます。それに通ればローンの本審査、引き渡し、となりますね。中央区だとマンションで考えていますか?」

小松「そうなんです。新築のマンションを中心に探しています」

鈴木「新築だと、建設に時間がかかるので、購入から引き渡しまで1年ほど、タワーマンションなど大規模なものだと、引き渡しまで3年かかる場合もあります。一戸建てを建てる場合は、まず土地を探して、そこから打ち合わせして…となると1〜1年半です。中古マンションや中古の戸建てで、すぐに住める状態であれば、早ければ1ヶ月という短期間で引き渡しになりますから、いろんな書類にどんどんハンコを押して…と大変になりますよ」

小松「それは慌ただしいですね。諸費用はどのくらいかかりますか?」

鈴木「マンションでも新築か、中古か、中古をリノベーションするかで、少しずつ変わってきます。新築なら修繕積立金を入金しますし、中古なら仲介手数料が発生します。リフォームをするなら、そこからさらにリフォーム代が必要になります」

小松「リフォームは購入後に自分たちで対応するものなんですね」

鈴木「リフォーム済み物件もありますが、自分でリフォームをする場合、規模にもよりますが、購入後スケルトンにしてフルリノベーションとなると、住むことができる状態になるまでは、半年くらいでしょうか。ですので、家探しから引き渡しまで、期間も諸費用も、どんな家を選ぶかで大きく変わりますね。小松さんは、家探しをしていて一歩踏み切れないという理由は何でしょうか?」

小松「間取りが使いにくそうだなと感じたり、広告の写真で良さそうだと思っても実際見てみるとイメージが違ったり…なかなか決められないんです。購入のタイミングもすごく迷います。運命の家を見つけて買うのがいいのか、妥協をしても買ったほうがいい時期があるのか、と」

鈴木「決めるタイミングは人によってまちまちなんですけど、100点満点の家って見つからないものなんですよ。もちろん、これが運命の出会いっていう物件があればいいですが、3年、4年と家探しの期間が長くなるほど目が肥えてきてしまって、家が決められないということが多いですね」

小松「そうなんですね! 確かに理想の家を探しているとどんどん時間がたって、迷いが大きくなっている気もします」

鈴木「妥協できない部分だけ守って、それ以外は良いところが多ければいいんです。50点以上あれば良いと考えてください。100点を求めるのなら、自分で建てるしかないですね。でも、私も注文住宅を建てた経験があるんですけど、素人だったので、コンセントの位置が微妙だとか、ここは引き戸のほうが良かったとか、色々と思うことがありました。3軒くらい建てれば理想に近づくのかもしれないですね(笑)」

小松「50点! 意外と低い感じがしますが、完ぺきを求めすぎないほうが良いということですね」


今は物件が高いから
買わないほうが良いというのは本当?


鈴木「家を買うときのポイントは大きく言って4つだけで時期・エリア・間取り・予算です。まずこの4つの中で最初に決めないといけないのは予算なんです。私はみなさんに収入に対して『借りられる額』と、『返せる額』は違うという話をいつもさせていただいています。自分たちで返せる金額がどのくらいかを知っておくと大きな基準ができて、家探しがスムーズになりますよ」

小松「『借りられる額』と、『返せる額』は違うというのはどういうことですか?」

鈴木「同じ年収でも、人によってお金の使い方って違いますよね。家にかけられるお金はライフスタイルによって変わってくるんです」

小松「だからこそ、予算を先に知っておかないといけないということですね。お金を貯めておくのと、ローンを組んで返済にあてるでは、どちらがいいのかも知りたいです」

鈴木「今の世の中ですと、住宅ローンの金利が低いので、ローンを組める方は、その仕組みをうまく活用いただくのがいいと思います。例えば1000万円貯めるのに、10年かかるとして、その間家賃を払い続けているとしたら、家賃にいくらかかると思いますか?」

小松「え!ちょっと待って…月に家賃が15万円だったら年間180万円…それが10年となると、考えるのも怖いです! 私、これまで家賃を無駄に払ってきてしまったんですね。それなら、早くローンを組むのがいいと思えてきます。購入時期を迷っている理由として、今は物件が高いと聞いたこともひっかかっているのですが、それは本当ですか?」

鈴木「データを取っていると、ここ2001年以降上下を繰り返しながら徐々に高くなってきているのは事実です。ただ最近はそれ以上に金利が低いので、最安値であった2001年にローンを組んだ方と比べて、もし今1000万円くらい高い物件を買ったとしても、総支払額は同じくらいなんですよ」

小松「私はチラシに書いてある金額しか見ていなかったんですけど、金利によって大きく変わるんですね! そこまで深く考えていなかったんだなって思いました。でも、今物件が高いのは事実なんですね。オリンピックが終わったら下がるという噂もよく聞くのですがそれはどうですか?」

鈴木「オリンピックが開催されると、インフラが整備されて生活の利便性が高くなることで、長いスパンで景気が良くなるものなんです。だから、オリンピック後に大幅に下落するということは考えにくいですね」

小松「下がるのを待つよりも、いいなって思う物件に出会えたらオリンピックにかかわらず買ってしまった方がいいということですね」

鈴木「そうですね。あとは、タイミングとしてはいつでも購入はできるんですが、ローンを組む際に団体信用保険に入らないといけないんです。そう考えると健康なうちにローンを組んでおいたほうがいいというのも考え方の一つではあります」

小松「なるほど、買うタイミングを悩みすぎていたのかも…。あとは、やはり買うなら価値が高い物件が良いと思うのですが、見分け方を知りたいです。例えば、先日見に行った物件の外観に柄があって、私は柄がないほうが良いと思ったんですね。でも営業担当の方には『この柄があることでデザイン性が高くて価値が上がるんです』って言われたんですよ! あまり納得ができなかったんですけど、どうなんでしょうか?」

鈴木「もし、デザイナーが有名な方で賞を取っているなど実績があれば、価値にもつながる場合はあると思います。でも、それよりもやっぱり一番は最寄り駅からの距離などの立地ですね。いま日本は人口が減っていますよね。そうすると都心回帰という現象が起きるので、都心のほうが価値が上がっているということは言えますね」

小松「駅近だったら、どこでもいいのでしょうか?」

鈴木「資産価値でいうと、駅の力が大きいのでターミナル駅などの栄えた駅のほうがいいでしょうね。でも、自分が住みたい場所との兼ね合いもあると思うんです。都会の駅前は商業地になっていることが多いので、それがいいかどうか。私はゴミゴミしたところは苦手なので、あえて都会過ぎない場所に住んでいます。ライフスタイルによってもその辺は違ってくるのかなって」

小松「そうですね。都心は便利ですが、そのなかでも少し落ち着いた雰囲気の街で暮らしたいという気持ちもあります」


住んだあとのことも考えた
家探しのポイントは?


小松「購入すると、ご近所づきあいなども気になりますよね。何かポイントがあれば教えてください!」

鈴木「新築のマンションを購入する場合は、同じタイミングで入居するので、コミュニティがこれからできていく感じですよね。戸建ても、エリアで一斉に新築が建つ場合は同じです。中古はすでにできているコミュニティに入っていく状況なので、それが難しいという方もいらっしゃいますね」

小松「それは全然考えていなかったな。ちょうど購入のタイミングが同じくらいだと、世代も似ているかもしれませんね」

鈴木「逆に、中古は出来上がっているので、周りの状況を見ることはできますよね。どんな人が住んでいるのか、住環境、窓からの景観なども細かく確認できますから、住んだあとのギャップは少ないかもしれません」

小松「賃貸を借りる時も、エントランスの郵便受けにチラシがいっぱい入って、それを取らずに散らかっているマンションは嫌だなって思うんです。中古だとそういったことも確認できますよね。マンション購入って、本当にいろんな面から考えないといけないですね」

鈴木「たくさんお話しましたが、大きなポイントは時期・エリア・間取り・予算だけですから」

小松「まずは予算ですよね! 住宅ローンについても、もっと知りたいです」

後編では、小松さんご自身も悩んでいる住宅ローンについて、鈴木さんにさらにお話をお伺いしていきます。

小松あや
インスタグラム @i_am_ayakomatsu
オフィシャルブログ「私に鞭打つ再婚ライフ」
https://ameblo.jp/komatsuaya9021/


ファイナンシャル・アドバイザー/鈴木 千尋

広島県広島市出身。息子の出産を機に、保険会社に入社。10年間、800組以上の顧客を対応するも、得られる知識量に限界を感じる。多くの知識が必要になる独立系FP会社の門戸を叩き、数少ない独立系女性FPの一人として年間100件以上の個別相談やセミナー講師を務める。「保険を売る」という利害を捨て、親身に相談者と一緒に考える家計プランやライフプランで“世界に一つだけのマネープラン”を提供することを得意とする。相談者に家計のメリハリを覚えてもらう「楽しく節約」、「楽しくお金が貯まる仕組みづくり」が顧客の反響を呼ぶ。

■撮影協力

フォーカス蔵前
住所:〒111-0051 東京都台東区蔵前4-21-2
HP:https://focus-kuramae-jp.book.direct/ja-jp

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