フランスの暮らしとデザインを紹介する連載の18回目は、女優のイネス・ド・ブロワシアさんとデザイナーのピエルジル・フルキエさんが住む、パリ郊外の一軒家をご紹介します。

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Piergil Fourquié(ピエルジル・フルキエ)/パリ生まれ。ENSAAMA(オリヴィエ・ド・セール)でプロダクトデザインを学んだ後、英国バーミンガム工芸美術大学(BIAD)にてデザインの学士号を優秀な成績で取得。アリク・レヴィのスタジオを経て、フィリップ・スタルクのデザイン部門に参加。2015年に自身のスタジオを設立。エコール・ブルーでデザインの教鞭も執る。
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Instagram:@piergil.design

女優であり脚本家でもあるイネスさんと、デザイナーのピエルジルさんが3人の子供、2匹のうさぎと暮らすのはパリの南、ヴィルジュイフ市にある一軒家だ。この街に引っ越してきたのは10年前、2人目の子供が生まれるタイミングで家を探したという。「以前はパリ18区に住んでいました。いろいろな物件を見ましたが、ここはパリに近いのにそれほど高くなかったんです。見に来たのが夏で、すごく印象がよかった。庭もあって」とイネスさん。「私は他にも気に入った物件があったのですが、ピエルジルがとても厳しくて(笑)」。

家は1945〜46年頃の建築で、入居時はほとんど工事をせず、家具を入れるだけでよい状態だったという。もともと2階建てだったが、3人目の子供が生まれることをきっかけに、3階を増築。「ヴィルジュイフ市に許可を取るため、建築計画や設計図を送り、何度もやりとりをしました」とイネスさん。現在は1階にキッチン・ダイニング・リビング、2階に3人の子供部屋、3階に夫婦の寝室とピエルジルさんのオフィスという間取り。広さは3フロアで約150㎡。地下にはカーヴ(貯蔵室)がある。


インテリアのテーマは「ミックス」。ピエルジルさんがデザインした家具やカーペット、著名なデザイナーの家具やアート作品、そして古いものの3つが混在している。「ピエルジルはミニマリストで、ものを買うのが嫌い。でも私はオブジェが好きで、気に入ったものが見つかると買ってしまうのです」とイネスさんは笑う。

イネスさんのブロカント好きは母親譲りだ。「子供の頃、週末はよく母とブロカントに行きました。家にはブロカントで見つけた古いお皿や食器、お母さんからもらったものもたくさんあります」


キッチンはIKEAをベースにピエルジルさんが自らデザインしたもの。「2人ともものづくりが好きで、工事も好き。家にはピエルジルがデザインした家具やオブジェがたくさんあります。私の舞台の背景グラフィックも手伝ってもらっています」

朝は子供たちを送り出してからコーヒーを一杯。その後にピエルジルさんは家で仕事をすることが多く、木曜日は私立の高等デザイン学校、エコール・ブルーへデザインを教えに行く。イネスさんは外での仕事が多く、火曜日は演劇を教えている。ピエルジルの祖父は料理人だったことから、家では彼が夕食を作るのが日課。19時ごろに家族全員がダイニングに集まるのがこの家のリズム。イネスはお菓子を作るのが得意週末はフォンテーヌブローの森へ散歩に出かけることが多く、天気が悪い日は友人や子供たちの友達を家に招く。


イネスさんはパリ7区、ピエルジルさんは13区の生まれ。2人が初めて出会ったのはイネスさんが17歳、ピエルジルさんが19歳のときのことで、その後9年後に再会し交際がスタートした。結婚式はイネスさんの父親の故郷、ジュラ地方で行った。「ジュラ地方に家族が持っている家があり、そこでパーティをしました。今年で結婚20年を迎えるので、またイベントを企画しようかと考えています」とイネスさん。


バカンスはカンボジアやタイなど東南アジアへ、家族で1ヶ月の旅に出る。「2人ともフリーランスなので、休みが取りやすいのはいいですね」。
将来の夢を聞くと「子供が大きくなったら海か山にバケーションハウスが欲しい。映画や演劇の新聞を作りたい。そして日本にもブラジルにも行きたい」とたくさんの答えが返ってきた。
少しずつ作り上げてきたヴィルジュイフの住まいで、イネスさんとピエルジルさん一家はこれからも豊かな物語を育んでいく。

撮影/井田純代(Sumiyo Ida)
(プロフィール)
(文)木戸 美由紀/Miyuki Kido 文筆家
女性誌編集職を経て、2002年からパリに在住。フランスを拠点に日本のメディアへの寄稿、撮影コーディネイターとして活動中。株式会社みゆき堂代表。マガジンハウスの月刊誌「アンド プレミアム」に「木戸美由紀のパリところどころ案内」を連載中。
Instagram:@kidoppifr












