衣装デザイナーとして舞台や映像の世界観を形づくってきた大門真優子さん。アパレルブランド「MAYUKODAIMON」を始動させ、創作のフィールドを広げています。 衣装づくりとブランドに込めた想い、その源泉を語っていただきました。

浅草橋ヒューリックホールで開催したMAYUKODAIMONの展示会

幼い頃の感動が拓いた衣装デザイナーへの道

――衣装デザイナーを目指したきっかけを教えてください。

幼い頃に観たティム・バートンの『シザーハンズ』という映画が原点です。周囲が赤と緑のクリスマスカラーに彩られる中、ヒロインだけが白いドレスをまとっているラストシーンなど、総合的に世界観が演出されていることに感動して。漠然と「こういうことがやりたい」と思いました。

高校生になり大学で何をしようか迷っている時、服飾系の学校の広告でファッションショーの写真を見たんです。楽しそう、という理由で文化学園大学に進学を決めました。当時、クラブでファッションショーをするのが流行りのようになっていて、仲間を集めてファッションショーをしていましたね。大学時代はファッションで遊んでいたという感覚です。

そんな中で、ニューヨーク州立ファッション工科大学(FIT)への留学が決まりました。英語は得意ではなく不安もありましたが、先生の推薦もあって思い切って行くことにしました。 そこでオートクチュールの授業を受けたとき、「私にはこれが向いているのかもしれない」と感じたんです。

キャラクターの背景や性格まで含めて、一着のドレスに物語を込めることができることに気づいた瞬間、こんなに面白い世界があるのか、と。 ティム・バートンの作品のように世界観をつくりあげるためのベースが、自分にとっては服なのだと理解できたんです。

そこから、衣装デザイナーを目指そうと決意しました。

――デザイナーとして仕事をするようになる経緯を教えてください。

ニューヨークから帰った後、大学に通いながら、何でもやろうとインターンに行ったり、バイトしたりしていました。その一つで、インターンとして行った映画の現場で、今も一緒に仕事をしている写真家の鈴木さゆりさんに出会ったんです。

空き時間に、当時抱えていた悩みをさゆりさんに話しました。「ドレスを一着つくっても、それだけでは世界観として成立しない。衣装は写真や映像の中で、背景とともに物語を形づくる一部だから、白い背景でただ撮るだけでは違う気がする……」と。

その話を聞いたさゆりさんが、「じゃあ撮ろうよ」と言ってくださって。 映画の仕事が終わった数日後には、海へ撮影に向かいました。

でも、撮ってみたら思い描いていたものとは違ったんです。写真自体は良いのに、どこか「あれ?」という感覚が残りました。

理由はすぐに分かりました。その衣装は自分のサイズで作っていたのでモデルを呼べず、私自身が着て撮影したんです。撮られ慣れていないし、自分の持つ世界観のイメージを的確に伝えることもできなかった。

このままではいけないと思い、さゆりさんに教わって写真の勉強を始めました。 照明、加工など必要なことを実践しながら覚えました。そうして衣装を含めた世界観をきちんと見せられる作品が少しずつ増えていきました。

その作品を持って「こんなことができます」といろいろな人に見てもらううちに、仕事の依頼が来るようになりました。 作品を撮り、仕事を受け、また作品を撮る。その積み重ねが広がっていき、雑誌の仕事から舞台、ミュージックビデオ、映画のワンシーンと、活動の幅がどんどん広がっていったんです。

服は感情を伝える生き物のよう

――衣装制作で大切にしてることを教えてください。

私の中で服というものは、単に布をまとうものではなく、もっと“人間の概念”に近い存在だと思っています。たとえ、着るのが人間じゃない場合でも、目に見えない気持ちや感情を表現できるもの。服を作っているというより、生き物そのものを作ってるような感覚なんです。そして完成した衣装を見た人がまったく違う解釈をしてくれたり、こちらの意図をそのまま受け取ってくれたりする。その反応がまた面白いですね。

その一方で、仕事としては不快ではないか、デザインを気に入ってくれているかなど、着る人の気持ちが何より大事だと思っています。

だからこそ、着る人とはとても密にコミュニケーションを取ります。 「大丈夫です」と言われても、その表情が本当に大丈夫なのか、自分の目で確かめるようにしています。こちらの思いを伝え、相手の思いも受け取って、「じゃあこうしようか」と一緒に形を探っていくことも。対話の積み重ねが、衣装と人のあいだに相乗効果を生んで、より良いものになっていきます。

パリでのコレクションがブランド誕生のきっかけに

――ブランドを立ち上げることになった経緯を教えていただけますか。

3年前にパリでコレクションを行った際、私の理想とする生地をつくるには特殊な技術が必要でした。そこで、テキスタイルに特化した小川峰株式会社に相談し、一緒に生地の開発を進めました。

ショー当日は、知人や学生時代の友人が手伝いに来てくれることになり、お礼も兼ねて、スタッフジャンパーのようなお揃いのジャケットを総勢10人分つくったんです。それぞれに好きな色の生地を選んでもらい、仕立てました。みんながそれぞれのスタイルで着こなしてくれていて、その姿がとても面白くて。するとパリでも評判が良く、「それ、どこの?」「どこで買えるの?」と街で声をかけられるほどでした。

そんな話をしたら小川峰の方から「一緒にアパレルブランドをやってみませんか?」と声をかけていただいたんです。アパレルブランドはリスクが大きいイメージがありましたが、なんとかリスクの少ない方法で続けていけるよう相談しながら商品開発を進めています。なにより今までは作品として作っていた自分の世界観を、ウェアラブルなものとして落とし込む場が作れたことを大変嬉しく思っています。

コレクションでスタッフのためにつくったジャケットはいま、「ダイヤモンドジャケット」という名前で定番アイテムになっています。2年ほど経ちましたがブランドは未知数の部分がありつつも、このチームは気持ちが同じ方向を向いていて、ものづくりを心から楽しんでくれるんです。だから、私も一緒に楽しみながら続けられています。

デザイナーと生地屋さんが組んで出来上がった、形態としても少し変わったアパレルブランド。

衣装デザイナーが手掛けるブランドとして、私がいつも舞台衣装で名前つけをしているのと同様にブランドタグには刺繍でお名前や好きな言葉を入れることができます。衣装はその人のためだけに作っているもの、という気持ちはブランドでも変わりません。

――ブランドのコンセプトを教えてください。

朝起きて、服を選んで、外に出るという一連の動作がどうしてもできない日ってありますよね。私なんてほぼ毎日そうなんですけど(笑)。そういう時に、このブランドの服を一枚羽織るだけでも、なんとなく気持ちが整う。ずっとそういう服を目指しています。「MAYUKODAIMONの服なら着替えられる」という気持ちになってほしいですね。

今も、ライブやイベントに気合を入れたいときに着て行くという方も多いのですが、「着るとすごく気分が上がります」と言っていただけることがあって。間違った方向には進んでいないのかなと思っています。

――インスピレーションはどこから得られていますか。

自分の場合は、目の前に資料を並べて描くタイプではなくて、体験とか感情からイメージが湧くタイプなんですね。 最初のパリのコレクションも、さゆりさんに初めてダイビングに連れて行ってもらった時の感動がベースになっています。

海の写真なんてネットでいくらでも見られると思うんですけど、体験すると全然違うじゃないですか。 手に水が当たる感覚とか、光が体に入ってくる感じとか、浮遊感とか無重力感とか、誰とも話せない状況とか。 調べて得る情報じゃなくて、自分が得た感覚そのものがインスピレーションの源泉になっています。

――最後に、今後の展望を聞かせてください。

今、私の軸が三つあると思っていて。 ひとつは衣装デザイナーとしての仕事。 もうひとつは「MAYUKODAIMON」というアパレルブランド。 そして、作品づくり。作品づくりは利益を生むものではないですが、自分の中では一番ないとダメな場所で、全部の根源です。どれかが欠けるとバランスが崩れてしまうので、すべてを続けながら全体をレベルアップさせていきたいですね。

そして、アパレルブランドをもっと知ってほしいという気持ちもあります。 今、日本だけで作っているブランドって、なかなかないと思うんです。 厳密に言えば多少海外の生地が混ざることもあるけれど、ほぼ日本の生地で加工もすべて国内。ニットなんて、本来大量生産ではできないことをしています。そこがすごく面白く、特別感にもつながる部分なので、ブランドの魅力を多くの方に伝えていきたいですね。

取材・文/SUMAU編集部 写真/鈴木さゆり

大門真優子さん

NYでオートクチュール技術を学ぶ。 2014年から衣装デザイナーとして活動を始め、 昨今では総合クリエイターとして映像ディレクターやプロダクトデザイナー、アーティストとしても活動。​ 2023年秋  SS24パリファッションウィークにて コレクションを発表。2024年にアパレルブランド「MAYUKODAIMON」をスタート。

HP:https://www.amugallery.com/

Instagram:@dearhoneyblond

MAYUKODAIMON

ショールーム

住所:東京都台東区西浅草2丁目16-3

オンラインショップ:https://mayukodaimon.tokyo/

Instagram:@mayukodaimon.tokyo

読者プレゼント

「MAYUKO DAIMON」のシグネチャーアイテムであるジャケットを各1名様、合計2名様にプレゼントします。タグにご希望のネーム(アルファベット最大10文字)を刺繍してお届けします。

以下の詳細を確認の上ご応募ください。

ネーム刺繍の例

・ DIAMOND JACKET  1名様 

ブランドを代表する DIAMOND JACKET シリーズからお好きなデザインをプレゼントします。以下URL内の商品からご希望のデザイン、サイズをご確認の上、応募フォームにご記入ください。
※サイズはショート(SSM)身幅:60㎝  首元から袖先 :82㎝ 着丈: 54㎝です。

①下記URLの商品よりご希望のデザインの商品名をご確認ください。

https://mayukodaimon.tokyo/collections/dmjk

商品名は赤枠部分を参照してください。

②下記応募フォームに必要事項をご記入の上ご応募ください

応募フォーム>>

・HONEYCOMB JACKET 1名様 

いまの季節にぴったりのシースルー素材のジャケットからお好きなカラーを1着プレゼントします。

こちらの商品ページで色やサイズをご確認のうえ、応募フォームにご希望をご記入ください。
※サイズはショート(SSM)身幅:60㎝  首元から袖先 :82㎝ 着丈: 54㎝です

①下記URLよりご希望のカラー/リブカラーをご確認ください。

・HONEYCOMB JACKET WHITE

・HONEYCOMB JACKET BLACK

②下記応募フォームに必要事項をご記入の上ご応募ください

応募フォーム>>

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