「Inspiration Life」では、さまざまな分野で活躍されている方のご自宅を訪ね、ルームツアーのように空間を巡りながらお話を伺います。
今回伺ったのは、フリーアナウンサーとして活躍し、SUMAUのイベントでは司会進行役としてもおなじみの吉村 民さんのご自宅です。ご夫妻と小学生の息子さん、そして柴犬の小鉄と暮らすお部屋は、建築好きの夫こだわりのフルリノベーションでまるでギャラリーのような美しさ。お部屋についてはもちろん、お仕事に対する想いも、たっぷりと話を聞きました。

人との縁に導かれて仕事がつながる
――フリーアナウンサーになった経緯を教えてください。
子どもの頃からサッカーが好きで、「サッカー番組のお姉さんになりたい」というのがきっかけでした。よく観ていた高校サッカーの番組にアナウンサーの方が出演していたんです。大学時代にはアナウンサースクールに通い、チャレンジしたのですが放送局への就職は難しく、大学卒業のタイミングでフリーアナウンサーの事務所に入りました。
そこでNHKの科学番組のオーディションに参加。当時は何もわからない状態で行って「私は日本史が好きです。漫画がきっかけで歴史にハマって…」と熱く語ってしまったんです。変わった子だなと思われたようで(笑)、そこに居合わせた世界史担当の方に「世界史のオーディションも受けてみない?」と声をかけてもらい「ぜひ受けたいです!」と即答。「高校講座世界史」のアシスタントに決まりました。それが、最初のお仕事です。
そのディレクターさんが、NHKの厳しい審査の中で“この子と一緒に仕事がしたい”と残してくださったんです。人のご縁って本当に大事だなと感じています。

――お仕事の楽しさはどこにありますか?
何より人が好きで、話を聴くことも好きなので、すべての現場が楽しいと思えます。
また、企画を考えることも楽しいですね。この業界に入って、大好きな歴史の番組に関わりたいと思っていたんですが、常に番組があるわけではなくて。仲の良いスタッフの方に相談したら「企画書を書いてみたら」とアドバイスをもらいました。企画書を提出して、実現したりしなかったりを繰り返しているうちに、企画を考えること自体が好きになっていきました。
最近では、自分が出演しなくても良いなと思っています。自分が伝えたいことを形にしてアウトプットする。その方法が企画だけなのか、出演するのかは、その時々で変わると思いますが、これからも続けていきたいですね。
――仕事で心がけていることを教えていただけますか。
初めて会う方とトークを展開することが多いのですが、限られた時間の中で「来てよかった」と思っていただくためには、台本に書かれていることだけではなかなか盛り上がらないんです。 でも、相手が犬好きだと事前に知っていれば、「私も飼っているんです」と話すことで一気に距離が縮まります。
その方がどんなことが好きで、どんな生活をしてきて、過去にどんな作品に出演されていたのか。できる限り調べておくと、本番でも本音が出やすくなります。

――どのくらいリサーチをされていますか。
相手が映画監督だとしたら、もちろん最新作はチェックしますが、気合が入ると3本、4本前の作品まで観ます。さらに、原作があればその本を読んで、映画化するにあたってはどう変わってるのかまで調べる時もあります。
好きなことと仕事が重なる幸せ
――下調べをする時間はどう捻出されていますか?
配信されている映画なら移動中の電車で観たり、本を読むならお風呂に持ち込んだりしています。家に帰ると子どものことや家事で時間が取れないので、 本当に隙間時間ですね。何度もお風呂に本を落としています(笑)。
それでも、大変さは感じません。番組で新作映画を毎週紹介するのも、「やった、また新作が観られる」と嬉しくなるくらい。もともと本も映画も好きなので、趣味がそのまま仕事になっている感覚です。日々の生活の中で2時間何も考えずにいられる時間ってなかなかないので、試写会でがっつり映画を観ると、気持ちもすっきりします。
ファッションや器など、関わっているジャンルは自分の好きなものばかり。仕事とプライベートが一致していて、その境目がないことがむしろ楽しいのかもしれません。

――アート番組『ブレイク前夜』のナレーションを担当され、美術骨董品鑑定士でもあります。そこもご自身の趣味とつながっていますか。
日本の歴史展示でお茶碗を見たりするなかで、アートでも特に陶芸作品などの立体作品に惹かれるようになりました。
ある時、歴史番組のロケで訪れた骨董屋さんで館長に「いつか鑑定番組に出たい」と話したら、「鑑定士になればいい、うちで修行したら?」と言われて。そこから行ける時にお店へ行き、鑑定会を手伝ったりして、古いものから現代アートまで幅広く触れています。
作品そのものはもちろんのこと、作る工程や込められた思いを知るのがすごく楽しくて、こんなことを考えてこの作品になるんだと驚かされることが多いんです。自分の想像を超える世界を作る人たちに出会えることが、アートに興味を持つ大きな理由かもしれません。

ジョン・ポーソン作品をイメージした部屋へフルリノベ
――お住まいについて教えてください。
もともとは義父母のマンションで、引き継ぐ際にフルリノベーションをしました。このリビングも、以前はフローリングと和室の二部屋だったんです。夫が建築好きで、イギリスの建築家ジョン・ポーソンの大ファン。ミニマルな空間が特徴なのですが、夫はずっとそんな世界観の部屋にしたいという構想を持っていました。 でも、建築とかアートって感性の部分が大きいじゃないですか。何年もかけて、価値観を共有できる建築士を探して、ジョン・ポーソンと一緒に仕事をした経験のあるSEKI DESIGN STUDIOに出会えて、お願いしたんです。

――お部屋の中で特に気に入っているポイントを教えてください。
床はモールテックス仕上げ、壁、天井は石灰ベースの左官で職人さんに仕上げていただきました。壁紙にはない陰影が生まれるのが魅力で、手仕事ならではの温かさがあります。冬に入ったヒビが夏には消えていたりして、まるで呼吸しているように感じられるんですよね。

――レコードのコレクションも素敵です。
これも夫のこだわりで、レコードがぴったり収まるように棚のサイズを細かく調整しています。私の父も音楽が好きでレコードを集めていたので、小さい頃からCDとレコードに囲まれて生活してきました。今はなかなか時間がないのですが、いつかはゆっくりレコードを聴けるような生活をしたいと思っています。
―― 綺麗な部屋を保つ秘訣を教えてください。
私はどちらかというと大雑把だし、そんなに綺麗好きでもないんです。夫が綺麗にしていないと落ち着かない性格で、息子がリビングに宿題を広げていることもあるんですが、「パパが帰ってくるぞ」って慌てて自分の部屋に持っていくんですよ。ただ、帰ってきた時に気持ちいいのは、やっぱり整理された綺麗な部屋だなと思うと、綺麗にすることも悪くないなと感じるようになりました。部屋の乱れは心の乱れと言われることもありますが、本当にそうなんですよね。最初は面倒だと思っていたけれど、長く暮らすうちにだんだん気持ちが変わってきました。

――お家で快適に過ごすために大切にされていることは。
好きなものを集めることですかね。作家さんの器でご飯を作ると、ご飯作りは面倒でも、器に盛るのは楽しいとか。掃除は苦手だけど、可愛い掃除道具だとちょっと気持ちが上がるとか。陶芸家の安齊賢太さんや西川 聡さんの作品を集めているのですが飾ってあるものが好きなものだと、そこを綺麗にしようと思えるし、自分の好きなもので周りを固めると、生活や家事で嫌だなと思う事が少なくなる気がします。好きなもので身を固めるって、心地よく生活するためのひとつの手段かもしれないですね。

吉村 民さん
ホリプロ所属。フリーアナウンサー、レポーター。現在は、BSフジ「ブレイク前夜」(第二・第四火曜 21:55~22:00)、ラジオ日本「SWEET!!」(9:00~11:55)月・火曜パーソナリティを務める。アートへの造詣も深く、美術骨董品鑑定士、アートアドバイザーの資格を持つ。
Instagram:@yoshimuratami














