テキスタイルといえば洋服を意識する人が多いかもしれませんが、実は人生でもっとも多く使うのが「室内のテキスタイル」。
3年ぶりにドイツで開かれた世界最大のインテリアテキスタイルの見本市「ハイムテキスタイル」に行ってきましたが、インテリアテキスタイルの可能性がずいぶん広がったなと思いました。
住まいのカーテンからホテルに敷き詰められたカーペットフロア、ソファや椅子の座面の張り地など、すべて布。さらに壁紙やセラミックタイルなど、ノンテキスタイルと呼ばれるジャンルも、色柄のセンスが向上し、家具以上に存在感を増しています。

これからのインテリアテキスタイルはサステナブル素材が主役に
特に注目すべきはサステナブル資源の活用です。ハイムテキスタイルの会場では世界的なデザイナー、パトリシア・ウルキオラが漁網の再活用繊維やオレンジの皮を再生した生地を使い、3次元で表現したインスタレーションを披露し、繊維素材の見方を変えていました。

この見本市では完成品のほか、カーテンやラグなどインテリアテキスタイルのメーカーやデザイナーと素材提供や製造請負などの商談をし、新しいインテリアテキスタイル製品が次々と生まれてきています。

下の写真は英国の女性デザイナーが糸を編んだ組紐のような立体アートを展示している様子ですが、広義で捉えればこれもテキスタイルの一部と考えられます。

ドイツに限らず、インテリアテキスタイルは今後、ますます可能性が広がるジャンル。私たちの暮らしでも手軽に変化をつけられる、2つの注目ポイントを解説します。1つ目はラグ。2つ目は張り地です。
ラグは床のアートに
「ハイムテキスタイル」ではラグの取引が急増し、ホールを広げたほどですが、実は他の見本市でもラグのブランドの注目度が高まっています。

イタリア系のブランドは芸術的なものが多く、大きなリビングで床のアートとして使うーそんなデザインも増えています。
こちらのデザインはインドとイタリアのカップルのデザイナーがデザインした幾何学的なラグ。日本ではラグといえば単色、またはキリムを敷くことが多いですが、カラフルでグラフィカルなラグは部屋をパッと華やかに変えてくれます。

染色や形状の技術が向上し、まるで絵を描くように自由にラグがつくれるようになったことも大きいでしょう。これはデザイナーがストリートマーケットの天然石売り場の様々な色と形からヒントを得たラグ。「ジェム(宝石)」という名前で、色と形を組み合わせて使うことができます。


また家具と連動したフォルムのラグを壁に掛ける。そんなラグのアイディアも生まれています。

心地よい素材感を楽しむラグ
一方、織物といえば北欧も得意なブランドです。色合いや形はシンプルなものが多いですが、冬の長い国ゆえの素材感が素晴らしい!リネンとウールを長さを変えて混合し、毛足が長いふかふかの厚手のラグ。

またグースアイ(鴨の目)という、北欧の伝統柄を絶妙な色合いでモダンなパターンに転じた、さらりとしたラグは、素足でも心地よい感触です。キリムのような薄い敷物も日本の暮らしでは便利ですね。

北欧ブランドもやはり壁にかけて楽しむラグを提案しています。

家具の張地は積極的に選ぶ!
最も注目は家具の張り地です。最近、多くの家具ブランドが力を入れているのが、使う人の好みや個性によって選ぶ張り地のラインナップ。座り心地やフォルムにばかり目が行きがちで、店頭にある色を見て選ぶ人が多いのは少し残念。
クッションやパイピングなどの色をアクセントにするのも、とても楽しい家具の選び方です。

日本でも多くのストアではマテリアルラックを用意し、上質な生地を揃えています。普段、質の良い衣類を身につけている人なら、手触りや色合いなど、すぐに自分の好みがわかるのではないでしょうか?
たとえば同じシリーズのソファでも色柄が変わると、こんなにムードが変わります。


最後のとてもリッチなインテリアテキタイルをお目にかけましょう。
冒頭でテキスタイルはアパレルの印象が強いと書きましたが、その影響はもちろんインテリアにも。
ファッションで知られるアルマーニの家具部門、アルマーニ・カーサは服飾で培った技術を生かして、ソファの張り地も職人が手仕事で刺繍する最高級の生地を使ったコレクションを発表

絹糸やガラスビーズ、ウールサテンなど50種類以上の素材で仕立てたクチュールドレスのような生地。インテリアテキスタイルの常識では考えられない精緻さです。ここまでの懲り方はさすがファッションから派生した家具と言えるでしょう。

インテリアテキスタイル=カーテンだけではない可能性、少しは感じていただけたでしょうか?室内のテキスタイルは私も今後、もう少し学んで注目していきたい分野です。

Report & text 本間美紀(インテリア&キッチンジャーナリスト)
早稲田大学第一文学部卒業後、インテリアの専門誌「室内」の編集者を経て、独立後はインテリア、キッチン、デザイン関連の編集執筆、セミナー、企業のコミュニケーション支援など活動を多岐に広げている。著書「リアルキッチン&インテリア」「人生を変えるインテリアキッチン」「リアルリビング&インテリア」(小学館)で、水回りとインテリアと空間が溶け合う暮らしという新しい考え方を広げ、新世代読者の共感を得ている。ミラノサローネ、メッセフランクフルト、アルタガンマ財団など世界のインテリア見本市や本社から招聘され、イタリア、ドイツ、北欧など海外取材も多数。
インスタグラム @realkitchen_interior










