今、季節を問わず注目されているのが屋外で使える家具です。この10年で素材の改良や考え方が変化し、以前とは比べ物にならないほど、進化しているのが「アウトドア家具」なのです。例えば上の写真の家具は、イタリア・モルテーニによる屋外用リビング家具。テープ状の木材風樹脂素材で編んだフレームにクッションと座を詰め、ローマのヴィッラをイメージしたデザイン。水辺をリビングに変えてしまいます。

アウトドアといっても日本で捉えられがちな、キャンプで使うようなものではなく、インテリアで使うものと遜色ないものが、世界の家具ブランドから登場しているのです。以前はガーデン家具専門のメーカーものだけが選ばれていましたが、とんでもない。今はインテリアのトップブランドが、インドア、アウトドアのラインナップを揃えるのが当たり前になってきているのです。

Photo/DAYLIGHT (minotti/Italy)

日本でも人気のイタリアのミノッティは早くからインドア、アウトドアの家具を同じデザインのものを揃えています。リビングからテラスにつながるスペースも、同じ家具にすることで視覚的な連続性が生まれ、広さを感じさせています。

Photo/Tufty-Time 20 Outdoor_(B&B Italia/Italy)

B&Bイタリアでも誕生から20年経ったパトリシア・ウルキオラのデザインのソファのアウトドアバージョンを発表。インドア用と全く同じ見た目ですが、内部や素材は同社の技術で、屋外でしっかり使えるものになっているそうです。

進化する素材が「屋外に居場所を広げる」

アウトドア家具のラインナップが激増した理由として耐候性ファブリックの進化と品揃えの幅広さ、金属や木部の技術改良。耐候性のある樹脂コードもアウトドアインテリアでは多用される素材です。そしてブランドやデザイナーたちによる、雨水や汚れを避けながらも、居心地の良い家具の形状やデザインが生み出されています。

この家具もアルミニウムメッシュで構成されたとても魅力的な家具。座面はデンマークのテキスタイルブランド・クヴァドラによる耐候性ファブリックのチューブで編まれています。雨水も溜まりにくく、見た目も軽快です。

Photo /Built composition Club chair (GANDIABLASCO /Spain)

イタリアのジェルバゾーニは「カバリング」をすることで、水着を毎年変えるように、ファッションのように家具を着替えようという発想で、存在感を増してきたアウトドア家具のブランドです。

自然や庭は室内と違い360度、景色が広がります。どちらを向いても素晴らしい。そんな時こそ、こんなセンターソファが活躍します。それぞれ好きな方向を向きながら、一緒に過ごせる。まさに「居場所」ができるのです。

Photo/MATES(Gervasoni/Italy)

この写真のようにすべてファブリック張りでも、屋外で使え水に濡れてもすぐに浸透し、乾くので、多少のスコールは平気。汚れが気になる、色を変えたいといった時はカバリングを変えればOKです。普段は専用のカバーをかけておきます。

また軽装や水着姿の素肌にも心地のよいニット素材のアウトドア家具も登場し、プールから上がったまま、ソファに寝そべるといったことも、すでに現実になっています。

Photo /MANGAS (GANDIABLASCO /Spain)

アウトドア家具の素材の進化には目を見張るばかりなのです。

改めて考える、自然となじむ色とは?

また屋外家具で重要なのは色でしょう。目の前の花や木々、四季で移り変わる森や山の色、1日の中で変わってゆく空や海の色。

イタリアのパオラ・レンティは耐候性コードを使ったアウトドア家具でいち早く頭角を表したブランドで、魔術師のような独特の色使いは世界でも有名です。

単品で見ると、ライトグリーンやヴィヴィッドピンク、オレンジやイエローなど驚くほど華やかな色なのですが、実は緑の近くに置いてみるとこんなに馴染みます。

Photo/Plisse/ Portofino(Paola Lenti / Italy)

オレンジの椅子も、トロピカルなガーデンの中で南洋の花や植物の艶やかさと調和しそうです。

Photo/Giro/Kiti/Baleari/Ombra(Paola Lenti / Italy)

これらの家具のデザイナーのパオラ・レンティさんは、色は常に自然の中からピックアップしていると話しています。単色だけではなく、グラデーションなど、さまざまな表現を自然から着想しています。

家具に色がなくても、前述の通りアウトドア家具の張り地は、多種多様な色柄が選べるようになりました。

Photo/Erica(B&B Italia /Italia)

プールサイドや海辺の別荘、湖のそばのテラスなど、環境の色と馴染ませれば、自然に包まれたようなリビングができるのです。

屋外家具はどんな場所をも居場所に変える

ここはミラノ市内のある修道院の中庭を期間限定でリビングに変えた、イタリア・フレックスフォルムの展示ですが、緑の絡まったパーゴラや経年変化のある建物は、インテリアとは違う景色を生み出します。

Photo/Everett Outdoor (FLEXFORM/Italy)

それでいて座り心地や居心地は室内と遜色ない。どころか、全く違う過ごし方ができるのです。最近はアウトドア家具を室内用に選ぶ人も増えているそうです。

なぜこんなに屋外家具が進化しているのか。

その理由の一つはやはり「自然の中で過ごす心地よさ」。そこに置けば、どんな場所もリビングやダイニングになってしまうのが驚きです。

Photo /ISLA(GANDIABLASCO /Spain)

特にヨーロッパや北欧は緯度が高く、太陽の光への渇望は日本とは比べものにならないほど。ヨーロッパといえば路上にはみ出したカフェやレストランのテラス席が風物詩。冬でも日差しがあればカフェでもレストランでも屋外席を好む人がいます。風や新鮮な空気も大切なものだそうです。

Photo/PatioCODE (minotti/Italy)

もう一つは室内の居住空間の限界でしょう。広さや天井高、家具を置く位置など、室内では建築躯体や日常のルーティンに縛られますが、広い庭を持つ郊外の家なら、過ごし方で自由に家具を動かせます。また都市部のテラスであっても、自然の空気を感じ、夜空を眺める小さな場所があれば、心がホッと休まるはずです。

タイトルでもいったことですが、屋外家具のバリエーションはどんな場所でも居場所を生み出してくれるのです。

Report & text  本間美紀(インテリア&キッチンジャーナリスト)

早稲田大学第一文学部卒業後、インテリアの専門誌「室内」の編集者を経て、独立後はインテリア、キッチン、デザイン関連の編集執筆、セミナー、企業のコミュニケーション支援など活動を多岐に広げている。著書「リアルキッチン&インテリア」「人生を変えるインテリアキッチン」「リアルリビング&インテリア」(小学館)で、水回りとインテリアと空間が溶け合う暮らしという新しい考え方を広げ、新世代読者の共感を得ている。ミラノサローネ、メッセフランクフルト、アルタガンマ財団など世界のインテリア見本市や本社から招聘され、イタリア、ドイツ、北欧など海外取材も多数。

Instagram:@realkitchen_interior

HP:https://realkitchen-interior.com

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