歴史的な背景に彩られた長崎の街。近代化は進み、新しい街の印象が強いものの、散策をすればところどころで出会う歴史遺産や誇り高き老舗店舗が目を惹きます。今なお情緒あふれる長崎に、2022年9月23日、長崎と武雄温泉を結ぶ西九州新幹線が開通しました。まさに未来に向けた新しい街づくりがまた始まった印象があります。
その長崎駅に隣接して建つ商業ビル「アミュプラザ長崎 新館」に併設し、西九州新幹線の始発駅「長崎駅」を一歩外に出れば、「長崎マリオットホテル」のエントランスが目の前に見えます。その外観は、まるで長崎港に入港する大型高級客船がモチーフとなりました。そして館内に入れば、インテリアデザインにも客船を意識したものが多く、アートワークには長崎が継承する異国文化のエッセンスが加わっています。
館内で最もドラマチックな光景を魅せるのは、7階にあるレセプションエリアから最奥のオールデイダイニング「HARBELLA」にかけ、ガラス窓越しに見える長崎の港や街並みです。総支配人の吉満啓一郎さんは、「ここから真正面に長崎市のシンボルともいえる稲佐山が見え、麓に広がる港町の光景を見晴らす景色が最高なんです」と語っています。天井から床まで高さ3.5mのガラス窓が多くあるのは、周囲の景色はもちろんのこと、南に長崎港の東西を結ぶ斜張橋、美しいフォルムの「女神大橋」を見晴らし、大浦天主堂やグラバー園が位置する南山手エリアや、夕陽を望む西側には長崎市のシンボルのひとつ「稲佐山」を含む山々の稜線が見え‘これぞ長崎’という360度の情景が楽しめます。
客室は全207室、その7割にバルコニーが設けられました。エグゼクティブルームやスイートルームに滞在すれば、贅沢な空間であるエグゼクティブラウンジ「Mクラブ」の利用が可能。インターナショナルブランドだけに、世界各国からの到着ゲストを鑑み、24時間オープンのラウンジでは飲み物を終日無料で提供。カクテル＆コーディアルタイムには、毎日、温製と冷製のオードブル、フィンガーフード、スイーツが用意されゲストを喜ばせています。
客室はすっきりとモダンなスタンダード（36㎡）から、最高級のインペリアルスイート（242㎡）、列車マニアにはたまらない、西九州新幹線が走行するのが見える「かもめスイート」（78㎡）も6室用意されています。ここは列車フリークにはたまらない部屋であり、早い者勝ちになるかもしれません。港側も街側もそれぞれに情緒あふれる長崎の街。豪華客船に乗ったつもりで部屋のバルコニーに立てば異国情緒が感じられるはずです。
パブリックスペースは前述の通りオールデイダイニング「HARBELLA」そして隣接のバーラウンジ「THE AZURITE」の他、鉄板焼き、江戸前寿司を提供するレストラン「De Jima（デジマ）」が揃い、いずれのダイニングも長崎県産高品質の地産食材が振る舞われています。
運営はJR九州ホテルズアンドリゾーツが担っており、成長しながら「長崎マリオットホテル」はいずれ長崎のランドマークにと願っています。これ以上ないロケーションに建ち、長崎の歴史や文化を館内に香らせ、長崎の人々特有の柔らかな優しさと温かみのあるもてなしの３拍子が揃うホテルでは、旅の緊張が解けてリラックスできる滞在となりました。真のラグジュアリーホテルとは、常に清潔で快適な滞在、高級感あふれる施設造り、ゲストに向き合う真摯なもてなしがあってこそです。さらに地元食材の料理に舌鼓を打つ…こうして高品質のホテルに出会えれば、すべてが相俟って忘れがたい旅の情緒となるのです。
取材・文／せきねきょうこ
Photo: 長崎マリオットホテル
せきねきょうこ／ホテルジャーナリスト
スイス山岳地での観光局勤務、その後の仏語通訳を経て1994年から現職。世界のホテルや旅館の「環境問題、癒し、もてなし」を主題に現場取材を貫く。スクープも多々、雑誌、新聞､ウェブを中心に連載多数。ホテルのアドバイザー、コンサルタントも。著書多数。
Instagram: ＠ksekine_official
DATA
長崎マリオットホテル
長崎県長崎市尾上町１−１
https://www.marriott.com/ja/hotels/ngsmc-nagasaki-marriott-hotel/overview/
