福島県の須賀川温泉「おとぎの宿 米屋(全18室)」が、世代交代をきっかけにスタイリッシュな客室を造り、リニューアルオープンを迎えました。効能あらたかな自家源泉掛け流しの良質な温泉と、安心安全で心のこもった美味しい料理、つかず離れず、自然で温かなもてなしもこの宿の魅力です。帰路の度に、また訪れたくなる温泉旅館なのです。その旅館の客室「別館」が斬新なリニューアルを遂げ、‘プライベートスイートルーム’となりました。
リニューアルオープンは2021年11月18日。別館の11室が新しい客室プライベートスイートルーム「離れ88」(はちじゅうはち)として全6室、それぞれにデザイン、設えの違う客室が揃いました。これら6室は自然界にとって大切な6つの要素【水・太陽・雲・土・風・虫】をモチーフに、その彩が家具、ファブリック、内装に配されたといいます。ゆったりとした大きさ(デッキを含めて70~80㎡)の客室は、デッキに温泉露天風呂が設置され、また、内風呂には檜風呂も備わるという贅沢な客室です。スタイリッシュモダンなデザインの客室には余計なものは配さず、すっきりとミニマルな印象です。本館には、温泉風呂付の客室がこれまで同様にあり、いずれも居心地のいい落ち着いた客室として人気です。
温泉は無色透明、無臭の須賀川温泉(アルカリ性単純温泉)として、神経痛、筋肉痛、関節のこわばりなどの優れた効能で知られています。飲泉もあり、源泉は51.6度。豊富な湯量の温泉が空気に触れて泉質を損なわないよう、宿では風呂への注ぎ口にも工夫をするなど細やかな対応が施され、温泉を大切にする思いが滞在客にも伝わり、見えないところのもてなしが、リピーターに心地よさとして伝わるのでしょう。
さらに、地球に優しい宿として人にも環境にも配慮を続ける「おとぎの宿 米屋」。実は、無農薬、有機栽培の野菜など、オーガニック食材に厳しくこだわり、健康的でフレッシュ、美味しい食事の提供が好評です。2016年からは4年間「BIO HOTEL」認証を取得し、ガイドラインに沿って安心・安全な野菜類、加工品迄90%以上を使用する規約を護ってきました。近年は、近くの生産農家と直接触れ合い、新鮮で安全なものをこれまで同様、またはそれ以上に供給できるよう自分たちで生産者を訪れて交流を深めていると言います。
「離れ88」の6室に滞在するゲストには、通常の「おとぎ会席」とは異なるスィートルームらしい料理が提供されます。料理はいずれも夢のあるおとぎ話のストーリーが含まれ、一皿ごとに季節感をたっぷりと満喫できるのです。料理を目的に訪れるリピーターも少なくないと言いますが、納得です。
家族経営の温泉旅館として、リニューアル前まで経営に携わってきた社長と女将夫妻はフロントラインからやや退き、現在は、美男美女で若さ溢れる子息・息女にバトンタッチ。こうして次世代にしっかりと継がれる温泉宿には、リピーターとして変わらずに応援するゲストも多いはずです。
取材・文/せきねきょうこ
Photo: 須賀川温泉 おとぎの宿 米屋
せきねきょうこ/ホテルジャーナリスト
スイス山岳地での観光局勤務、その後の仏語通訳を経て1994年から現職。世界のホテルや旅館の「環境問題、癒し、もてなし」を主題に現場取材を貫く。スクープも多々、雑誌、新聞、ウェブを中心に連載多数。ホテルのアドバイザー、コンサルタントも。著書多数、21年4月、新刊出版。
DATA
須賀川温泉 おとぎの宿 米屋
福島県須賀川市岩渕字笠木168-2
📞0248-62-7200
http://e-yoneya.com/