この連載では、暮らしの中で知っておくとちょっと得する知識や、今さら周囲の人には聞きづらい疑問などについて、毎回その道のプロから教わります。

 今回は、洗練された独自の雰囲気を持つフラワーショップDuftのフローリスト若井ちえみさんに、春らしい花のある暮らしの楽しみ方を選び方から長く楽しむ方法まで、幅広くポイントをお伺いしました。

初心者にこそおすすめのお花屋さん・世田谷Duft

梅ヶ丘駅から徒歩1分という場所に位置するDuft。フローリスト若井ちえみさんが「日常的に花を飾る人が増えてほしい」という思いから、色や形に個性が際立つ花を中心にセレクトしています。

最近は、ブーケの状態で販売しているお花屋さんも多くありますが、Duftはすべての花が1本からの販売。それは、どんな組み合わせで花を選んでも、素敵なまとまりが生まれるような品ぞろえになっているから。

自分で選ぶ楽しさを提案してくれるので、花をインテリアに取り入れたいと考える初心者におすすめのお花屋さんです。

店内に並ぶ花器は、作家による一点ものがほとんど。こちらも、若井さんが「素敵」と感じた作家さんの作品を中心に取り扱っています。

お花屋さんで迷わない! 花の選び方のコツ

・まず1本目は何を選ぶべき?

一歩お花屋さんに入ると、たくさんの花の種類があって迷ってしまいますが、直感で「かわいい」「素敵」と思った花で大丈夫。
気に入った花の方が、家に飾ったときに気分が上がり、お手入れにも気持ちが入ります。

気をつけたいのは花瓶のサイズ。

大きな花瓶に短い花を飾るということはできません。

小さめの花瓶しか持っていないという場合、長い花を切って調整することはできますが、たくさんの本数を入れるのは難しくなります。

とはいえ、考えすぎず、まずは1輪手に取ってみましょう。

・長持ちする花の見分け方は?

花の状態を見極めるのは知識がないと難しいため、信頼でき安心して質問できるお花屋さんを見つける事が一番です。それがどんなお店かと言うと、店頭の花を見て、自分とセンスが合うな、かわいいなと感じるお店で大丈夫。

「自分で選ぶとお花の組み合わせが難しい」と感じている場合も、相性の良いお店が見つかればどんな組み合わせにしてもしっくりくるようになり、解消するはずです。

花の飾り方のコツ

・飾りたい場所を決めてその場でいける

別の場所で花をセットして、終わってから飾りたい場所に持って行くと、雰囲気が合わない場合があります。飾りたい場所に花瓶を置き、その場で花をいけていくのがおすすめです。

・花瓶と花のバランス

花瓶と花のバランスには、「花瓶:花」の高さの比が「1:1」「3:7」「7:3」といった比率がよく使われています。初心者の場合は特に、ここを意識すると、全体のバランスが取りやすくなります。

何本か花を入れる場合は、すべてを同じ高さにしてしまうと、全体が平坦に見えてしまいます。
一番高い花を「1:1」や「3:7」として、他の花は低めにして差をつけると、動きが出て華やかなアレンジになります。

・客観的に花をチェックしよう

ずっと近くで花を見て作業をしていると、離れて見た時に、バランスが悪かった、ということがあります。

花をいけながら、途中で少し離れてバランスをチェックすることを心がけましょう。スマホで写真を撮ってみるのも客観的な視点を持つことができるのでおすすめです。

・葉っぱは必須ではない

花だけでバランスを取るのが難しく感じる場合は、葉ものを少し追加すると、隙間が埋まる安心感があります。ただ、「お花を買ったら葉っぱもセットで買わなきゃいけない」と思い込んでいる人が意外と多いなと感じます。必ずしも葉っぱが必要というわけではありません。花と花の“色と色”を組み合わせることで、お互いの色が引き立って、より綺麗に見えることもたくさんあります。
ナチュラルな雰囲気にしたい気分なら葉ものを入れるのが合いますが、色を楽しみたいときや、少しモダンに仕上げたいときは、あえて花だけで組み合わせるのもとても素敵です。

・花の色の組み合わせ方

色合わせを「難しい」と感じる人が多いですが、たとえば、 ピンクの濃淡 やピンク〜紫 など、同じトーンでまとめると、上品で落ち着いた印象になります。

黄色× 紫 、ピンク × グリーンなどのような反対色を入れると、花の見え方がガラッと変わり、元気さや華やかさが生まれます。

花の色だけでなく、花瓶の色も全体の印象に大きく影響しますので、花瓶の色も合わせて組み合わせを楽しんでください。

同じ花でも、色の組み合わせによって仕上がりの雰囲気がまったく違って見えるので、思い切って色と色を掛け合わせてみるのがおすすめです。

飾る場所に合わせた飾り方のポイントと実例

<高さを出したいキッチンなど>ミモザだけで大胆に

春を代表するような花の一つ、ミモザ。色の組み合わせなどいろいろと考えなくても、ミモザ1種類だけで華やかな空間を演出できます。

枝もののミモザは、いろんな場所に花が咲いていて動きがあるので、そのままザっと花瓶に入れるだけで、素敵にしあがります。

ポイントは大きめの花瓶を用意すること。大きいほうが大胆に楽しむことができます。

<リビングのテーブルなど花を近くに飾る>色とりどりの花でアレンジ

(使用した花:胡蝶蘭・コワニー・ユリ・チューリップ・ラナンキュラス・フリージア・アリウム・スノーフレーク)

リビングやダイニングのテーブルに置く場合、目線と花が近くなるので、いろんな種類の花を入れて賑やかに楽しめるようなアレンジにしました。

花のバランスは、やはり“3:7”を基本にして、花瓶の高さを“3”としたら、いちばん高い花が“7”くらいの位置にくるようにすると、全体がきれいに見えます。

まずは、いちばん高い花を決めてから、次に低い位置にくる花を決めます。

そのあとで、残りの花をその間に入れていくと、自然とバランスが整っていきます。

切り花を長く楽しむための方法

・花瓶の口より下の葉っぱを落とす

最初に花を生けるときは、花瓶の口より下にくる葉っぱを取り除きます。水に浸かる部分に葉っぱが残っているとそこから雑菌が増えやすくなります。

・花瓶は毎日洗う

花瓶は、毎日、食器用洗剤で洗います。水を替えるだけだと、花瓶の中に雑菌が残ってしまって、せっかく水を替えてもあまり意味がなくなってしまいます。そのとき、茎も少し切るのがおすすめです。

・なるべく涼しい場所に置く

暖かい地域が原産の花は暑さに強いものもありますが、圧倒的に涼しい環境が向いている花の方が多いので、できる限り涼しい場所に飾りましょう。
土に植わっている花は光合成が必要なので日当たりが良い方がいいですが、切り花の場合は基本的にあまり関係ないことの方が多いんです。

冷暗所というほどではなくても、直射日光が当たらない涼しい場所の方が、花はいい状態を保ちやすくなります。

・最後まで花を楽しむには

花がしおれてきたら、湯揚げや焼揚げなどの方法は、いろんなサイトや動画で紹介されています。 ほかに、散った花びらをお皿に散らしたり、花の部分だけ切って水に浮かべて楽しんだり、ということもできます。枯れてしまった場合は、花びらを集めて乾燥させてドライフラワーにして、器に入れるのも可愛いです。

この春、花のある暮らしを楽しもう!

お客様からはよく「ちょっと今、部屋が散らかっているからお花はまた今度」という声を聞きます。でも、一輪でも花を飾ってみると「ちょっと片付けようかな」という気持ちになる魔法があるんです。花があると部屋の空気が変わって、生活に目を向けるきっかけになるものだと思います。花瓶がなくても大丈夫。空き瓶や、普段使っているコップで十分です。
まずは一輪、お部屋に迎えるところからはじめてみませんか。
その小さな一歩が、暮らしの景色をそっと変えてくれるはずです。

取材・文/SUMAU編集部 撮影/古本麻由未

若井ちえみ(わかい・ちえみ)さん

1986年生まれ。北海道札幌市出身。札幌・東京のフラワーショップで経験を積み、2015年に独立し、フラワーショップ〈duft〉を営む。そのほか、撮影やブランド展示会などでフラワーコーディネーターとしても活躍。

Duft

住所:東京都世田谷区梅丘1-33-9 モンド梅ヶ丘ビル2F

定休日:不定休

HP:https://duft.jp/

Instagram:@duft__jp

※来店の際は、インスタグラムの最新の投稿で営業情報をご確認ください。

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