待ち望んでいたホテル「W」は、誕生の噂が出ては消えしたこともあり、実際に2021年3月16日、「W大阪」として誕生した歓びは一入でした。「W」という一文字の名による強烈な印象の‘ダブリュー・ホテル’は、1998年、当時の「スターウッドホテルズ&リゾーツ」がニューヨークの「Doral Inn」というホテルを改築し、個性派ホテルとして誕生させたことから始まりました。現在はマリオット・インターナショナル系列の個性派デザインホテルとして世界に知られる存在です。

「W」はデザインやコンセプト、館内の施設それぞれのネーミングにも徹底してこだわり、独自性を発揮しています。因みに「W」のネーミングの由来は、”Whatever / Whenever”(お望みの物を/お望みの時に)という経営理念から採られたと一説にはいわれています。

大阪南船場に誕生した日本初の「W大阪」は、地上27階建て、建物全体がブラックで統一され、外壁の白いWのロゴが一際輝いて見えます。内観はとにかくカラフルで華やか、各客室には地元を象徴するかのように道頓堀をイメージしたネオン装飾が施されるなど、大阪らしさに溢れた元気印のホテルです。設計は日建設計、デザイン監修は今や建築界を牽引する安藤忠雄氏が手掛けました。


Wの大きなロゴとカラフルなエントランスのデザイン。世界中の「W」が必ず大きなロゴマークのオブジェをどこかに飾っている。


アライバルトンネルを通りホテルの館内へと導かれる。


アライバルトンネルを抜けるとウェルカムエリアに。


カラフルな色の家具や調度品で飾られたホテルのコアとなる「リビングルーム」。真ん中に赤いステージが見える。


施設内にはワンダフル(標準的な客室)、マーベラスorファンタスティック、WOWスイート、エクストリームWOWペントハウススイート(最上級、200㎡、1泊126万5,000円)など、ネーミングもそれぞれ個性的な客室が7カテゴリー、全337室揃います。そんなホテルに一歩入ると、折り紙にインスパイアされたという、立体的な飾りの通路が造られ、ピンク色が華やかに変化するこのエントランス付近の空間を通るだけで気持ちが高揚してきます。


和洋折衷のインテリア「エクストリームWOWペントハウススイート」。


大きなガラス窓の「ワンダフル」は美しい夜景が見渡せる。


ここで、ホテル施設内のユニークンネーミングもご紹介しましょう。プール「ウェット」、フィットネス「フィット」など、なるほどと思うネーミングもお洒落です。また、ミシュランの星付きシェフである「La Cime」(ラ・シーム)の 高田裕介氏と提携し、新たなるダイニング体験を発信するブラッセリー「Oh.lala…」では、ヘルシーでエキサイティングな料理が揃っています。

ただ個性派という以上の「W」ホテルの圧倒的な特徴は、世界中の「W」が共有するコンセプト以外に、その土地にしかない魅力や、その土地の伝統、特徴を捉えた表現が強く生化されていることにあります。筆者自身、世界中の「W」に泊まる度に、ホテル内でもその土地の魅力を感じてきました。イスタンブールでは本場のトルコ式ハンマーム(バス)とマッサージを楽しみ、ガルニエ宮に近い「Wパリオペラ」では、パリ満載の建物と芸術を感じるインテリアに感激し、「W 香港」では、76階の屋外プールで香港全体を天空から仰ぎ見ながらエキサイティングな時を過ごしました。他の国の「W」でも毎回、かなり刺激的な体験が待っています。


人気の高い鉄板焼きレストラン「MYDO」。店内のデザインは「W香港」を手がけた森田恭通氏、アートワーク黒田征太郎氏が担当。


鉄板焼きのコース‘おまかせ’も上質な食材がずらり。

「W大阪」では、食道楽、グルメの街らしく、ミシュラン星付きシェフとタッグを組んだブラッセリーや、鉄板焼き、寿司など味自慢の食処がずらり揃っています。また、 ホテルのコアとなる「LIVING ROOM」では、特注カクテルやアフタヌーンティーが人気といいます。それに、このスペースにはステージが造られていますので、時にはここに‘お笑い芸人’が来て笑わせてくれるのでしょうか。それでこそ最強の大阪らしさ満載、ソーシャルハブとして、カラフルなインテリアに終わらない「W大阪」の魅力に違いありません!!


プール「ウェット」のある4階のフィットネスフロアに2021年7月、プールサイドテラス&バーもオープン(季節営業)。


取材・文/せきねきょうこ

Photo: W大阪

せきねきょうこ/ホテルジャーナリスト

スイス山岳地での観光局勤務、その後の仏語通訳を経て1994年から現職。世界のホテルや旅館の「環境問題、癒し、もてなし」を主題に現場取材を貫く。スクープも多々、雑誌、新聞、ウェブを中心に連載多数。ホテルのアドバイザー、コンサルタントも。著書多数、21年4月、新刊出版。

http://www.kyokosekine.com

DATA

W大阪

大阪市中央区南船場4丁目1-3

📞06-6484-5355

https://www.whotels-asiapacific.com/ja/w-osaka/

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