琵琶湖と言えば日本一の大きさを誇る湖として知られ、周辺の湖畔には観光地が幾つも揃っています。しかし賑わう観光地からは離れ、リゾートホテル「ロテル・デュ・ラク」は静かなロケーションを楽しめる絶景の地に佇んでいます。新幹線駅の米原駅(滋賀県)からJR北陸本線の快速列車で約25分。田園風景が広がる小さな駅「近江塩津駅」で下車をします。予約をすれば、この駅までホテルの送迎車が迎えにくる、奥琵琶湖地域のラグジュアリーな隠れ家です。
駅周辺からは湖が見えないのですが、ホテルの近くまで走ると、突然に美しい琵琶湖が現れるのも感動的です。さらにとても印象深いのは、ホテルへ向かう道すがら、数キロにわたり桜の並木道が続いていること。春爛漫の季節には、さぞかしこの道は美しく桜に彩られ、渋滞も…と想像したのですが、聞けば、「ここは穴場、それほどの混雑は無く地元の人が集う隠れた名所」と教えてもらいましたが、私の訪れた少し前とは違い、「日本のさくら名所100選にも選ばれている海津大崎の桜並木」の現在は、多くの人が訪れる名所となっているかもしれません。そんな風光明媚な道をもう少し走ると「ロテル・デユ・ラク」に到着です。
ホテルは山や緑の森の大自然を借景に、前面には桜並木と湖を眺めるという、リゾートとしては静かで完璧なロケーションにあります。4万坪という広大な敷地には、毎日手入れを欠かさない庭師がいるほど、丘陵地の庭園では思い切って深呼吸ができる開放感に包まれています。
贅沢なことに、広大な敷地に客室はわずか全15室。コテージ式のヴィラスィートと客室が揃っています。山のなだらかな斜面に立つホテルですので、すべての客室から湖が見渡せるレイクビューです。庭の隅にはテニスコートが4面、夏季に限られますが、ゲスト専用のプライベートプールも造られています。
客室はデザインがそれぞれ異なるヴィラスイートタイプと、犬と一緒に泊まれる1室限定のドッグルームも完備、他の客室もゆったりと居心地のいい部屋造りが嬉しい限りです。
ホテルの創業は2008年3月18日、シンプルモダンなデザインがとても印象的です。第一印象は、スペースの広さにあります。これはリゾートホテルには欠かせない贅沢な条件ですが、余計な飾りのないシンプルな高級感こそ、スタイリッシュな空間が生きてきます。ホテルのコンセプトは「私の別邸」。広大な敷地だからこそ可能なゆとりのスペース造りが功を奏した快適な滞在に繋がっています。実際に、琵琶湖を見晴らせる客室からの景色も素晴らしく、ずっと見ていても飽きることがありません。
ホテルのこだわりは、静謐で落ち着きのある空間造り、もてなし、食事への熱い思いと謳います。レストラン「ル・ペイザージュ」に新たに就任した料理長は、米国生まれのコールマン・グリフィン氏。彼が目指すのは地元の食材をふんだんに使い、食材の豊かさと新鮮さを感じさせる。「周辺の食文化や歴史風土に定義される、ここにしかない食」。季節折々の湖北の「食」が満喫できます。予約の取れないレストランとして知られる、ミシュラン2つ星レストラン「INUA(イヌア)」(東京/飯田橋)で副料理長として手腕を発揮し、この6月に「ロテル・デュ・ラク」の総料理長に。これまでに培った技術とセンスで、オリジナルの「イノベーティブ料理」を提供しています。さらに、専属ソムリエが推薦する厳選ワインの提案も、斬新な洋食には欠かせない楽しみでしょう。
なお、2021年10月よりレストランは改装工事を予定。2022年初めにグランド・オープンが予定されているのも待ち遠しいばかりです。
取材・文/せきねきょうこ
Photo: ロテル・デュ・ラク
せきねきょうこ/ホテルジャーナリスト
スイス山岳地での観光局勤務、その後の仏語通訳を経て1994年から現職。世界のホテルや旅館の「環境問題、癒し、もてなし」を主題に現場取材を貫く。スクープも多々、雑誌、新聞、ウェブを中心に連載多数。ホテルのアドバイザー、コンサルタントも。著書多数、21年4月、新刊出版。
DATA
ロテル・デュ・ラク
住所:滋賀県長浜市西浅井町大浦2064
📞: 0749-89-1888
料金:1泊2食付き ¥33,880~ 2名1室利用お一人様の料金(サービス料・消費税込み) 施設:レストラン、ラウンジ、バー、スイミングプール、スパ・エステ、テニスコート、貸し切り風呂、他