花の都パリ。

ファッション、芸術、食──すべてが調和するこの街で、「ワイン」という視点からパリを旅してみると、新たな魅力に出会えます。

ブルゴーニュやシャンパーニュといった名醸地に囲まれたこの都市は、洗練されたワインスポットの宝庫。地元パリジャンの行きつけから、旅人の記憶に残る美しき一杯まで、今回は五感で楽しむパリのワインスポットをご紹介します。


美しきセーヌ川沿いのビストロ、Chez Julien(シェ・ジュリアン)

素朴かつ芸術的な料理。フィレ肉にフレンチフライ、セビーチェ、エビのカクテルソースなど豊富なメニューが魅力。

パリ4区、セーヌ川のすぐ近くに佇むシェ・ジュリアン(Chez Julien)は、1900年代初頭のアール・ヌーヴォー様式が息づく美しいビストロ。クラシックな外観を一歩くぐると、大理石のテーブルにアンティークの鏡、フレスコ画に囲まれた空間が広がります。

友人を待つ間におまかせでオーダーした赤ワインが美味しくて、その夜はずっと赤ワインを飲みながら食事を楽しみました。パリでの最初の一杯が、忘れられない思い出となりました。

ローヌ渓谷にあるワイン産地クローズ・エルミタージュ(Crozes-Hermitage)で作られるシラーを使ったまろやかでフルーティーな赤。さすが世界で最もエレガントなシラーが作られる場所ローヌ地方のワインだけあるな、と納得の赤ワイン。ぜひ現地で飲んでいただきたいワインです。

季節感のある魚介や肉料理、野菜と選択肢が幅広いメニューが魅力でバターや香味野菜の香りと味わいにワインが見事に調和します。

川沿いの街並みを望む窓際の席で味わう一杯は、まるで映画のワンシーンに入り込んだような余韻を残してくれます。

Chez Julien

シェ・ジュリアン

HP:https://www.chezjulien.paris/


ラルフ ローレンの世界で味わう、アメリカンエレガンス

洗練されたショップ、レストラン、そしてパリで最古の教会として知られる中世のサンジェルマン デ プレ教会などが立ち並ぶサン=ジェルマン・デ・プレ地区に位置するRalph’s Restaurantは、ラルフ ローレンが手がけた、アメリカンラグジュアリーを体現するレストランです。ニューヨークの邸宅のような中庭や、英国風の暖炉に統一された食器やリネンまで洗練されたインテリアが魅力です。

ランチタイムのおすすめは王道のアメリカンスタイルのハンバーガーに赤ワインをあわせて。ディナーでは前菜のクラブケーキに爽やかなサンセール(Sancerre)の白ワインがよくあいます。アメリカンスタイルをベースにフランスのエッセンスが加わったメニューが楽しめます。

ディナータイムは常に満席のため、早めの予約がおすすめ。ラグジュアリーでありながらどこか落ち着く、そんな「もうひとつのパリ」に出会えるはず。

Ralph’s Restaurant

ラルフズ・レストラン

HP: https://www.ralphlauren.co.uk/en/global/ralphs-paris/7120


雨音とワイン、パリジャンの隠れ家ギャラリーバー

パリの歴史が息づくギャルリ・ヴェロ=ドダのガラス屋根の下の老舗ワインショップ&バー、ル・コントワール・エ・レ・カーヴ・ルグラン(Le Comptoir et les Caves Legrand)。
ギャルリ・ヴェロ=ドダは1826年にオープンしたパサージュ(アーケード商店街)で、当時道路が舗装されていなかったパリにおいて雨や泥水に汚れることなく買い物ができるパサージュは、ブルジョワ階級の暇つぶしにはもってこいの快適な場所だったようです。

1880年代から続くこの場所では、フランス各地のワインがセレクトされており、併設のカウンターではグラスで気軽に楽しむことができます。

雨の日も美しいギャラリーの屋根が守ってくれるので、天気に左右されずゆっくりと過ごせるのも嬉しいポイントです。

選んだのはボルドーの宝石とも呼ばれるシャトーマルゴーの赤。香りは温かみのあるブラックベリーやカシスの香りが広がり、白檀、アニス、葉巻箱の香り、ほのかなラベンダーが加わります。ミディアムからフルボディで、濃厚な黒い果実とエキゾチックなスパイスが重なり、しっかりとしたタンニンに長い余韻が楽しめます。

クラシックな空気感とモダンなセンスが融合する、知る人ぞ知るワインのオアシスです。

Le Comptoir et les Caves Legrand

ル・コントワール・エ・レ・カーヴ・ルグラン

HP: https://www.caves-legrand.com/


ルーヴルの余韻が満ちる、大人のパリステイ

記念日に宿泊。部屋の外にはルーヴル美術館やオペラ座などパリの町並みを一望できる

ルーヴル美術館、オペラ座、パレ・ロワイヤル――芸術と文化が交差するパリの中心地に佇む、ホテル・デュ・ルーヴル(Hôtel du Louvre)。優雅さと静けさが同居するこのホテルは、都会の喧騒を忘れさせてくれる隠れ家かのよう。

クラシカルな外観とは対照的に、館内はミニマルで洗練されたデザインに整えられ、大人のパリ滞在にふさわしい上質な空間が広がります。

Hôtel du Louvreのバーラウンジ

旅の終わりには、ホテル内の美しいバーラウンジへ。

街の余韻に包まれながら味わうグラスワインは、心を満たす静かな贅沢。感性にやさしく寄り添う、パリでの特別な時間がここにあります。

Hôtel du Louvre

ホテル・デュ・ルーヴル

HP: https://www.hyatt.com/fr-FR/hotel/france/hotel-du-louvre/paraz


パリでのワイン体験は、五感を満たす芸術

パリのワインシーンは「飲む」という行為を超えた、空間やパリならではの時間の流れ、新しい出会いまでを五感で味わう、まるで芸術のような体験です。

星付きレストランの完璧な一皿も、ふと見つけたカーヴ(ワインバー)で交わすグラスワインも、すべてがこの街の美しさを語ってくれます。

ぜひ、自分だけのパリの一杯を見つけてみてください。

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マリーニ あゆみ

Ayumi Marini

福岡生まれイタリア在住2児の母。ワインジャーナリストを目指しトスカーナでソムリエ資格を取得後、ロンドン拠点のWSET level2を取得。イタリア拠点にヨーロッパを中心にワイナリーやワインが美味しく飲める場所をお伝えしています。

ワインのある食卓を彩るジャポニズムなホームウェアブランドLaobi-decor.comを展開中

Instagram: @ayumi_asm

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