日本に早い冬が駆け足で訪れた11月の後半、寒さを逃れるように、穏やかな気候に恵まれる高知市に向かいました。高知龍馬空港まで飛び、空港からは車で「OMO7高知 by 星野リゾート」(以下OMO7高知)へと直行する道すがら、陽気なドライバーさんの話が始まりました。「OMO7高知」のビルは市内で2番目に高いのですわ…!」と。車中に乗り込み龍馬に想いを巡らせていたら、夢心地から我に返りました。そんなに高いビルのすべてを「OMO7高知」が占めている…、活字では理解していたものの、実際にホテルに到着し22階建てのビルの高さに驚かされました。

ホテルに向かう車の中で

すでにテンション・マックス!

車を降りエントランスでスタッフに歓迎の挨拶を受け、一歩館内に足を踏み入れると、ここでもまた驚きがありました。1階OMOベースに迫力のある木彫りの大型犬が、まるで訪れる人々を歓迎しているかのように座っていたのです。これが実物大の土佐犬と知り、その大きさにもパワフルなオーラにも足が止まってしまいました。今にも動き出しそうに座る木彫りの土佐犬は、英語の表記でも‘Tosa Inu’なんですね。魅力たっぷりの土佐犬像から隣に視線を移すと、広い舞台と、毎夜開催される演舞ショーの観客席となる大階段が見えました。スタッフは、「ここに皆様がおかけになって、毎晩、‘よさこい楽宴LIVE’をご覧になります。お陰様でとても人気でして、多い時には立席までずらっと…凄いんです」と、嬉しそうに教えてくれました。到着時から‘土佐犬’と‘よさこい’という、土佐ならではのもてなしに心まで温かくなりました。それに加え、食と言えば‘土佐のカツオ’‘土佐のお酒’‘柚子’‘芋けんぴ’など、多くの名物、名産品がずらり揃う高知ですから、滞在が大いに楽しみでした。

整然としたメインエントランス。館内で起きるエキサイティングなもてなし文化の諸々や食の楽しみが詰まった滞在がここから始まる。
あまりに本物と見紛うような木彫りの土佐犬像。思わず足を止めて撮影。迫力ある実物大の土佐犬が見守るロビーエリア。後ろに見えるのは大階段の一部。
誰もがじっくりと目を通すカラフルなご近所マップ。レトロな路面電車に乗るのも、市場探索も、高知県立牧野植物園に行くのも、現在の高知を知る楽しい街観光。
133室揃う客室の「うたげスーペリアルーム(38㎡)」。すべての客室内の壁には色もデザインも違う、人に見立てた土佐犬が宴を楽しむ様子が飾られている。写真の客室はツインベッドと2台のソファーベッド(最大4名)、眺望の良さも旅の情緒に。

高知の文化・伝統を全身に纏う

ホテル滞在の醍醐味が始まる

「テンションあがる『街ナカ』ホテル」がコンセプトの「OMO」のひとつとして、「OMO7高知」は2024年6月13日に創業しました。土佐のおきゃく文化に敬意を払い、その伝統を踏襲し、高知でのコンセプトには「こじゃんと楽宴 さぁ、夜さ来い!」と掲げられました。高知のおきゃく様文化を体験できるよう、様々に工夫がされています。‘こじゃんと’は土佐弁で目いっぱいの意味があり、‘夜さ来い(よさこい)’は高知を代表する「よさこい祭り」で、高知独特の宴会文化から着想を得ているもてなし方といいます。そのよさこいの語源は、まず「夜さ来い(夜にいらっしゃい)」という古語が変化した言葉。そして、高知県の民謡「よさこい節」が基となり、戦後の不況下に地域振興を願いながら、1954年に高知市で始められた「よさこい祭り」の略称として使われるようになりました。パワフルな祭りの裏側には、未来を見据えた高知市民の熱い願いが込められていたのです。

ホテルは22階建てです。客室は7階~21階を占め、全客室数8タイプ、133室。そのうち愛犬と泊まれる部屋(ドッグフレンドリークィーンルーム)が3室揃っています。そしてここにも他の「OMO」同様に、1階には滞在の拠点となり、皆が集える「OMOベース」があり、高知市のイラストマップやよさこい祭りの舞台、夜は観客席となる大階段、ライブラリー、OMOカフェ&バルなど、吹き抜けで開放感のあるスペースは彩り豊かでテンションの上がる快適な空間です。

レストラン「OMOダイニング」は2階にあり、郷土料理をたっぷりと披露するビュッフェスタイルが楽しめます。特に夕食時に目の前で仕上げる‘カツオの藁焼き’や‘ローストビーフ’は一番人気。ダイニングもこれまでの施設のように個室ではなく、敢えてみんなで集まる宴好きの高知の地元の人々のように、ワイワイと食文化を堪能する広いダイニングが用意されています。

なんといっても興奮冷めやらないのは、毎晩開催される祭りの熱気に包まれる時間です。「よさこい楽宴LIVE」は高知の伝統工芸品のフラフ(大漁旗をイメージした旗で男児の健やかな成長を願い端午の節句にこいのぼりと並んで立てる)と、土佐和紙でできた行灯の飾りと共に、スタッフが魅せる「よさこい楽宴ショー」の30分は実に素晴らしく大いに盛り上がったのです。振り付け、楽曲、衣装もすべて「OMO7高知」のオリジナル演出と言うことを知れば感動も一入。全3曲の演舞の中には、途中から観客も誘われて参加できるショータイムがあり、恥ずかしそうに舞台に上がる観客も、踊りを習いすぐに演者に様変わり。祭りは本当に人を高揚させ、特にこうした地元ならではのショータイムは旅の思い出として印象的であり、誰もが心に刻まれる贅沢な時間となるはずです。ご近所アクティビティでOMOレンジャーとの地元マーケット巡りも楽しいものでした。特に食材に関しては、高知の人々の食文化の豊かさを知る思いで、自身の買い物にも熱が入りました。

OMOダイニングでのディナータイムは酒を酌み交わしながら宴会をする「おきゃく文化」をもとに「TOSAインスパイア」がコンセプト。大皿に色々な料理を盛り付けた「皿鉢料理」で、カツオやローストビーフの藁焼き、ずらり揃う高知ならではの食材。デザートには名産芋けんぴも登場。
この日、総料理長が挑むカツオの藁焼き。ローストビーフも藁焼きで香ばしくジューシーに仕上がる。
大浴場「トサノユ」(女性用)は土佐の風景に浸る鮮やかなフラフのタイル壁画が好評。内湯、露天風呂、サウナを備えており、とりわけ露天風呂は世界的な植物学者、牧野富太郎博士が生まれ愛した土佐の原風景を模し薬用植物を多く植栽。
オリジナル演舞が楽しめる「よさこい楽宴LIVE」。毎晩9時よりOMOベースで開催。踊り手も客も鳴子を鳴らして大盛り上がり。ショー終了後には季節の土佐酒3種とおつまみ2種、スイーツ1種をセットで提供(1セット2,600円)

取材・文/せきねきょうこ

Photo: OMO7高知 by 星野リゾート

せきねきょうこ/ホテルジャーナリスト

スイス山岳地での観光局勤務、その後の仏語通訳を経て1994年から現職。世界のホテルや旅館の「環境問題、癒し、もてなし」を主題に現場取材を貫く。スクープも多々、雑誌、新聞、ウェブを中心に連載多数。ホテルのアドバイザー、コンサルタントも。著書多数。

http://www.kyokosekine.com

Instagram: @ksekine_official

DATA

OMO7高知 by 星野リゾート

高知県高知市九反田9-15

Tel:050-3134-8094(OMO予約センター)

https://hoshinoresorts.com/ja/hotels/omo7kochi/

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