友人が訪ねて来たら連れて行きたいお気に入りの店が誰にでもひとつはあります。街の人々に愛される店こそ、胸をはって紹介したい“わが街の味”。この連載では、そんな街で人気のお店を紹介しています。今月は神奈川県・日吉で愛されるショコラトリー。日常の中の少しの贅沢がここにあります。

紹介する街●日吉

【チョコレート】 

バラエティ豊かな40種類のショコラが圧巻

日吉駅が開業したのは大正15年。東京横浜電鉄、今の東急東横線の駅として始まり、日吉台という住宅街の開発が進められることとなった。この場所は、ちょうど同時期に造られた田園調布と同じく、イギリスで提唱されていた新しい都市形態『田園都市』の構想を受け継いで開発されたという。その後、日吉には昭和初期に慶應義塾日吉キャンパスも誘致され、高級住宅街として人気の街になっていった。

美しく並ぶチョコレートや華麗なケーキに魅せられる。

そんな日吉駅に2017年にオープンしたのが『パティスリー ショコラトリー ルメルシエ』だ。ブティックのようなおしゃれな店内には、都心にあるショコラティエさながらの洗練されたお菓子が並んでいる。

なぜ都心ではなく日吉駅という場所を選んだのだろう。そう思って聞いてみると、

「出身は東京ですが、人が多過ぎる東京よりも緑豊かで交通も便利な

このあたりが気に入ってずっと住んでいます。

自分の店を持ちたいという意識が強くなったタイミングでちょうどこちらの物件に出会いました。」と店主の三本さん。

店主の三本陽平さん、奈実さん夫妻。

実家がレストランを営んでいたという三本さんは、子供の頃から料理やお菓子が大好きだったという。大学時代に進路を考えた時、やはりお菓子を作りたいという思いが強く、この道を選んだ。そこで在学中からフレンチの名店『パリの朝市』でパティシエとして修業を始める。その後もいくつかの都内有数のショコラトリーなどで腕を磨き、独立を果たした。

見た目も麗しいショコラはどれを選ぼうか迷うこと必須。一粒324円。

ショーケースに並ぶボンボンショコラはなんと40種類と多い。その数のショコラが美しく整列した姿をのぞき込むと、思わず引き込まれてしまう。

ボンボンショコラの作り方には、何層も重ねるものもあるが、三本さんは一層で仕立てる。

「層が多い方が調整はしやすくなりますが、

すべてにベストなバランスで作る方がよりよいものができると考えています」という。

つくりたてのボンボンショコラはフレッシュさや香り高さがあるが、時間がたつにつれて変化をしていくという。

「その変化もまたショコラの楽しみのひとつだと思っています」と笑う。

カカオの産地別ショコラ。マダガスカル、ペルーなどが人気。ひとくせあるヴェネズエラなども面白い。

産地別のカカオを使ったシリーズは10種類以上。それぞれの産地の特徴を生かしたショコラは食べ比べるのも楽しそうだ。フルーツなどを使ったものは、オリジナリティあふれる組み合わせ。例えば、『ベルガモット・ジャンジャンブル』はベルガモットとしょうが、『トリュフ・ローズ・マント・フレーズ』、『トリュフ黒糖ノワゼット』など。

面白いところでは『トマト・バジリク・フロマージュ・バルサミク』といったものまで。その組み合わせの妙に三本さんならではの感性が光る。

左から『グリオット・ピスタージュ』、定番の『エクアトゥ-ル』各702円

ボンボンショコラのほかにもチョコレートの多様な楽しみ方を提案したいと、ケーキや焼き菓子も手がけている。味についてはフランスの伝統的なレシピを基本にしており、あれこれ加えるのではなくシンプルに素材そのものがそれぞれ際立つように作りたいという。

きれいなタブレットチョコレートや焼き菓子などもギフトにおすすめ。

ご近所だけでなく、遠くからわざわざ買いにくるお客様も少なくないというから、他にない地元の名品としておもたせにも喜ばれそうだ。わが街にこんなショコラトリーがあったら自慢できるに違いない。

パティスリー ショコラトリー ルメルシエ

住所:神奈川県横浜市港北区日吉4‐4−20-101

電話:045-566-7557

営業時間:10:00~ ※売り切れ終了 

定休日: 不定休 ※詳細はSNSで確認

※掲載価格は税込価格です(2024年7月現在)

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